『セブンティーン・アゲイン』が教える、過去の栄光から解放される方法
映画のなかにはいろいろな人生が存在し、自分では経験することができない世界がたくさんあります。そんなめくるめく映画の世界を、映画好きイラストレーターのトモマツユキさんが紹介。金曜夜は、映画の世界にトリップして、非日常を体験してみてはいかがでしょうか?
こんばんは。イラストレーターのトモマツユキです。
まだ今年が始まったばかりだと思っていたのに、気がつけばもう春ですね!
歳を重ねると時間の流れの早さを身をもって実感します(笑)。
さて、春は新たな出会いと変化の季節。入社してきた新入社員の初々しさが、まぶしすぎて直視できない……なんて方もいるのでは?
今回はそんな“若さを羨ましく感じてしまう人”におすすめしたい映画『セブンティーン・アゲイン』をご紹介します。
突然、17歳の姿に戻ったら!?
『セブンティーン・アゲイン』の主人公・17歳のマイク(ザック・エフロン)は、コーチから期待されるほどのバスケットボールの実力の持ち主。スカウトマンに認められれば奨学金で大学にいけることになっていました。
スカウトマンが観に来る大事な試合の日。
応援に来た彼女のスカー(アリソン・ミラー)の様子がいつもと違うことに気づきます。マイクがその理由を問い詰めると、スカーはマイクの子を妊娠していたのです!
マイクは一度試合に出るものの、会場を後にしたスカーを走って追いかけます。
そして、二人はめでたくゴールイン!
……ところが、それから20年の時が経ち、37歳になったマイク(マシュー・ペリー)は、妻のスカー(レスリー・マン)と離婚調停中で、親友のネッド(トーマス・レノン)の家に居候の身。
若い頃は周りからキャーキャー言われていたルックスも、現在はお腹も出てきて冴えない中年になっていました。
さらに追い打ちをかけるように、仕事での昇進を逃し、上司に暴言を吐いてクビになってしまったマイク。
彼は、かつていた高校へ行って、17歳の自分の写真を眺めながら、輝いていた頃の思い出に浸っていると、急に現れた用務員さんに、「“あの時”に戻ってやり直したいか?」と聞かれます。
マイクは「もちろん」と答えるのですが、振り返ると用務員さんの姿はありません。
その夜、あの用務員さんが橋の上から川へ飛び降りようとしているのを見かけ、マイクは慌てて止めに行きます。
しかし、近づくとまた用務員さんの姿はなく、マイクは覗き込んだ川の中へ落ちてしまうのです。
……そして、朝、目が覚めると、見た目だけが17歳の頃の姿に戻っていて!? というコメディ映画です。
“若さ”は過去のもの
この映画の面白いところは、“17歳にタイムスリップして人生をやり直す”という話ではなくて、時間も周りの人たちもそのままで、自分の見た目だけが若返る(“名探偵コ○ン”と同じ)ところです。
マイクは、“高校生に戻って人生をやり直せる!”と浮かれて、親友のネッドに父親役を演じてもらい、偽装工作して高校に入学するのですが、実際入学してみると同じ学校に通う自分の子どもたちが問題を抱えていることに気がつきます。
息子のアレックス(スターリング・ナイト)は、マイクの前ではバスケを頑張っているフリをしていたけど、実はバスケ部員からいじめられていました。
また、娘のマギー(ミシェル・トラクテンバーグ)は、弟のアレックスをいじめているバスケ部員のリーダー的存在の男子と付き合っていて、恋にのめり込みすぎて有名大学への進学をやめようとしています。
マイクは17歳になったことで、ずっと過去の栄光にしがみついて自分のことしか見ておらず、離婚したいと言い出した妻の気持ちも、子どもたちのことも、何も見えていなかったことに、やっと気づくのです。
そして、ようやくマイクは“現在”を見つめ、家族を救うために動き始めるのですが……。
はたしてマイクは家族を救うことができるのでしょうか? そして、元の姿に戻ることができるのでしょうか?
ぜひ、映画を観て確かめてみてくださいね♪
“今の自分”を認めて楽しもう!
現実でも、マイクのように若かった頃にすがりついてしまうことってありますし、ちやほやされている若い子を見て羨ましく思ってしまうこともありますよね……。
でも、私はこの映画を観て、戻ってこない日のことを考えるよりも、大切なのは“今”ということを再認識させられました。
若さをもてはやされるのは、若い人たちが“今”楽しむべきためのもの。
若いとは言われなくなった年頃の人たちは、その人たちが楽しむべき“今”が別にあるはずですよ♪
小じわが増えたことに気づいたり、寝ても疲れが抜けなかったり……歳を感じて悩んでしまう日もあるけれど、大人になったからこそ楽しめる余裕があったり、知識も沢山ありますよね。
過去は変えられないけど、今からできることだって沢山ありますよ!
前向きに“大人”を楽しみましょう♪
(文・イラスト:トモマツユキ)
※この記事は2022年04月01日に公開されたものです