【File37】恋と勘違い? 負けず嫌い女子「あるある」の話
今振り返れば「イタいな、自分!」と思うけれど、あの時は全力だった恋愛。そんな“イタい恋の思い出”は誰にでもあるものですよね。今では恋の達人である恋愛コラムニストに過去のイタい恋を振り返ってもらい、そこから得た教訓を紹介してもらう連載です。今回はさかいもゆるさんのイタい恋。
「一番」にならないと気が済まない女のサガとは?
若い頃、恋愛ではとにかく負けず嫌いだった私。
好きでもないのに、ライバルが居ると自分のモノにしたくなる。自分に気が無さそうな相手ほど振り向かせてみたくなる――そんな、競争意識を煽られると燃え上がってしまう「負けず嫌い女子あるある」で、好きでもない相手と付き合ってしまうこともありました。
そう。私は「一番」にこだわる女。自分が一番にならないと気が済まないところがあり、恋愛でも「勝つ」ことに意義を見出してしまっていたのです。今思えば、本当に「イタい」のですが……。
今回はそんな、競争意識から付き合ってイタい目に遭った私の、過去の恋愛エピソードをご紹介したいと思います。
女好きチャラ男に惹かれた理由も「闘争心」!
大学時代、男女でよく遊んでいる仲良しグループがありました。その中に、年下でロン毛の、いかにもチャラそうなA君という男子が居て、私はそのA君に口説かれていたのです。
よく電話がかかってきて「かわいいね」とか言ってくれるけど、どうやらA君は、グループ内の他のかわいい女子全員に同じようなことを言っている様子。「一番にこだわる女」さかいは、他の女子にちょっかいを出すA君を見るたびにイライラしていました。
冷静に考えれば他の女性にも「かわいい」って言いまくるような(しかも私の前で臆面もなく!)男性なんて、「なんて軽い男なんだ」と思って相手にしないと思うのですが、私は負けず嫌いゆえ、「私が一番じゃないなんて許せない……!」と、闘争本能に火がついてしまったのですね。
そんなワケで、他の女の子にちょっかいをかければかけるほど、特に見た目が好みでもないA君のことがどんどん気になり出したある日。A君が運転する車でグループで遠出した際、車の後方座席で寝ていた私の前の席で、男友達がA君に「AってもゆるちゃんとB子ちゃんだったらどっちが好きなの? 本当はB子ちゃんの方が好きなんじゃない?」と尋ねるのを聞いてしまったのです。
B子ちゃんは最近グループに加わった、ものすごくかわいい女の子。華奢で小さくて、はんなり京都弁でしゃべり、おしとやかで女の子らしい、男だったら誰もが好きになっちゃうんじゃないか、というタイプのモテ女子です。
そのまま寝たふりをしながら、息を呑んでA君の回答を待つ私。
「いや、僕はもゆるちゃんの方がかわいいと思うし、好きですよ」
そう言い切る彼の言葉を聞いて、「よっしゃあぁあああああ!」と内心ガッツポーズ。脳内では恋の勝利を祝福する、くす玉が割れていたような。「自分が選ばれた」という事実により、なぜか他の女性たちに「勝った」という気持ちになっていたんでしょうね。恋は勝ち負けなんかじゃないのに。
付き合ってもヤキモチからバトルの日々
そうやって「一番になりたい」という気持ちから、今思えば大して好きでもなかったA君と付き合い始めたのですが、付き合ってもA君のチャラさが直るワケもなく。高校時代の元カノと未だに連絡を取り合うA君にヤキモキし、いつもケンカばかり。
A君はそんな歴代の元カノエピソードを武勇伝のように語ってくるので、ヤキモチ焼きの私は会ったこともない女性たちにまで嫉妬していましたが、過去の思い出に勝つ方法なんて無いんですよね……。しょっちゅう取っ組み合いのケンカをしていて、本当に疲れました。ふたりとも若かったんでしょうね(笑)。
よく考えれば、そのヤキモチは単なる独占欲で、別に彼のことが好きだから妬いていたワケではなかったように思います。それでも何だかんだで1年半くらいは交際が続きましたが、最後は私に他に本当に好きな人が出来て、あっさり終わりました。
そしてA君には申し訳ないですが、自分の中では「付き合った人リスト」にA君はカウントしていません(許せ、A君……!)。
競争心だけで手に入れたものは、手に入ったらそれで気が済んじゃう、虚栄心からの恋。本当の恋愛(その定義は何かというのも難しい問題ではありますが)とは、ほど遠いんですよね。反省!
イタい恋から得た教訓「競争意識から付き合った恋は、黒歴史にしかならない」
先ほども書きましたが、恋愛は勝ち負けじゃないです。
たとえ他のライバルを抑えて自分が選ばれたとしても、それは自分がいい女だという証明にはなりません。そして付き合う前からライバルがいっぱい居るような相手は、付き合ったらさらに不安になるだけ。また、相手のことをきちんと見て惹かれたワケではないので、結局どうでもいい黒歴史にしかならない恋になりがち。付き合うなら安心感のある人がいいなと気づかされた、イタい教訓になりました。
(文・さかいもゆる、イラスト・菜々子)
※この記事は2022年02月06日に公開されたものです