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「目をつぶる」と「つむる」で意味は違う? 類語も解説(例文つき)

前田めぐる(ライティングコーチ・文章術講師)

「目をつぶる」はどんな時に使えるのか?(例文つき)

「目をつぶる」という言葉は、実際に目を閉じる動作を表す他にも、いくつかの比喩的な意味があります。実際に目をつぶると、その意味に納得がいきます。

順に解説しましょう。

「目を閉じる」「眠る」という意味で使う時

まずは、読んだまま、見たままの意味です。特に眠くて仕方がない時などは、自然に目が閉じてしまいますね。

「目をつぶる」は単に目を閉じることや、目を閉じて眠りにつくことを意味します。

例えば、自分や第三者が眠る様子を表したり、目を閉じる様子を表したりする時などに使います。

例文

・母は「おやすみ」と言い、目をつぶった

・私は目をつぶって、今日起きたことを静かに思い返していた。

死ぬことを婉曲的に表す時

「死ぬ」という意味を婉曲的に表す時、「目をつぶる」という言葉を使います。

「永眠しました」という言葉がありますが、同様に「目をつぶる」も死ぬことを婉曲的に意味する言葉です。

人は、人生でたった一度だけ、死という永い眠りにつくために「目をつぶる」のです。

身内が逝去したことを婉曲的にいう時には使えますが、目上の人について「目をおつぶりになりました」と敬語にして使うことはしません。

その場合には、「永眠されました」「他界されました」などの方が適切です。

例文

・母は、「ありがとう」と言うと、そのまま静かに目をつぶりました。

誰かの失敗や過失を故意に見過ごす時

失敗をしたり、迷惑をかけたりした本人や親などの関係者に対して、それをとがめる立場にある人が使う表現です。

また、注意をする人のさらに上の立場の人が「今回は目をつぶってくれ」などと使う場合もあります。

「目をつぶる」という言葉には「欠点や過失を見て見ぬふりをする」という意味があります。

起こしてしまったことが消えるわけではありませんが、強引に見ないふりをすることで、処分なしにするわけですね。

ただし、目をつぶる側、迷惑を被った側としては何度も繰り返されては困ります。

そのため、「今回限りは」「今回だけは」「一度だけなら」「○○さんがそうおっしゃるなら」「○○に免じて」など、何らかの理由や条件と一緒に使われることがよくあります。

例文

・弁償だけしてもらえたら、被害届は出しません。謝ってくださって、誠意は感じたので、今回だけは目をつぶります。

・今回のことは、私に免じて目をつぶってもらえないだろうか?

何かを我慢したり、諦めたりして妥協する時

欠点を我慢したり、諦めたりする時に「目をつぶる」と使います。

ビジネスでもプライベートでも、私たちはさまざまなことで折り合いをつけながら生きています。

例えば、部屋探しなどは、その良い例です。

「駅には近いけれど、部屋が狭い」「日当たりは良いけれど、エレベーターがない」など、たいていは好条件と悪条件が同居しているもの。

そんな時、人は好条件に目を向け、悪条件を小さなマイナスとして我慢することが往々にしてあります。いわば、妥協です。

「目をつぶる」には、「見ないようにして、気持ちを抑える」という意味があります。

交渉上、「目をつぶる」という言葉を使うことで、相手に対して「全面的にOKと言っているわけではないですよ」と予防線を張ることもできます。

マイナス面も意識しつつ、前に進めたい契約の際には、この「目をつぶる」をうまく使うと良いでしょう。

例文

・本当はもっと駅近が希望でしたが、この際、徒歩20分には目をつぶります。

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