「ご存知」の意味や使い方。「ご存じ」との違いを解説
「ご存知」の類語・言い換え表現
「ご存知」にはいくつか類語があります。いつも「ご存知」ばかり使うのではなく、「ご存知」の言い換え表現を織り交ぜてボキャブラリーの幅を広げましょう。
「お聞き及び」
「お聞き及び」は、「すでに聞いて知っていること」を表す敬語表現です。動詞「聞く」「及ぶ」をつなげて名詞化した「聞き及び」に、接頭語「お」をつけることで丁寧さを強調しています。
「お聞き及び」は「ご存知」と同じような意味を持っており、「お聞き及びかもしれませんが」「お聞き及びの通り」といった形で使えます。
「ご承知」
「ご承知」は、「事情を知っていること、理解していること」を敬語にしたものです。「知っている、要求を聞き入れる」を意味する「承知」に、接頭語「ご」をつけると丁寧さが強まります。
「ご存知」に似たような意味を持ちますが、目上の人に対しては使うのを避けた方が良いでしょう。
例えば「ご承知おきください」と言うと、「理解してください」といった命令・要求のニュアンスになり、押しつけがましい印象を与えかねません。
また、「ご承知の通り」は「もちろん知っていると思いますが」と偉そうな印象を与える可能性があります。基本的に「承知」は自分を主語とし、「分かっています、知っています」の意味で使うのが無難です。
「ご周知」
「ご存知」に似ている言葉として、「ご周知」もその一つに挙げられます。そもそも「周知」とは、「周りが知っている」「周りに知らせる」という意味の言葉。そこに尊敬を表す接頭語「ご」をつけることで敬意を高められます。
例えば「ご周知ください」「ご周知願います」と言うと、「周りに知らせてください」と相手に依頼できます。
「ご周知」と「ご存知」のニュアンスの違いは、相手に求める反応が異なる点。「ご存知」は主に相手が知っているかどうかを知りたい時に使いますが、「ご周知」は相手に対して情報を広く知らせてほしい時に使います。
「ご存知ですか」と言われた時の返し方
「ご存知」は自分で使う以外に、相手から聞かれることも多い言葉です。「ご存知ですか」と言われた時に不適切な返答をしてしまうと、失礼に思われかねません。
「ご存知ですか」への正しい返し方を知っておきましょう。
聞かれた内容について知っている場合
「ご存知ですか」と聞かれた内容について知っている時は、「存じています」と答えるのが適切です。
この時注意したいのが、「ご存知です」は誤用であるということ。「ご存知」は尊敬語のため、「ご存知です」と言うと自分に対して敬意を込めていることになります。
自分が知っていると伝える時は「ご存知」ではなく、「知る」の謙譲語「存じる」を使用しましょう。「存じています」の他、「存じております」「存じ上げております」も同じ意味で使えます。
聞かれた内容について知らない場合
「ご存知ですか」と聞かれた内容について知らない時は、「存じません」という表現が適しています。
「存じています」と同様に、「知る」の謙譲語「存じる」を用い、否定系の形で返答しましょう。「存じません」以外に「存じておりません」「存じ上げておりません」も同じようなニュアンスで使えます。
「ご存知」の英語表現は?
ビジネスシーンで便利に使える「ご存知」は、英語で会話する際にも頻出の表現です。いざという時に困らないように、「ご存知」の英語表現を押さえておきましょう。
「Do you happen to know〜?」
「Do you happen to know〜?」は、「ご存知でしょうか」の英語表現です。「Do you know 〜?」だけでも「知っていますか?」という意味は通じますが、丁寧な表現とは受け取られない可能性があります。
そこで、「ひょっとして」という婉曲的なニュアンスを持つ「happen to」を加えることで、丁寧な印象に変化させることができます。
また、「Do」を「Would」に変えて「Would you happen to know〜?」にすると、さらに丁寧さを強調することも可能です。
「As you know〜」
「ご存知の通り」を英語で言いたい時は、「あなたが知っている通り」を意味する「As you know〜」が使えます。
「As you know〜」を使う場面では、相手が内容について知っていることが前提です。もし相手が知らなかった場合は失礼になる可能性があるので気をつけましょう。
もし相手が知っているかどうか確かではない時は、「As you may know〜」と言い換えるのも一つの手です。「may」を加えることで断定を避けることができ、相手が知らなかったとしても無礼にはなりません。
さらに丁寧さを高めるなら、「You might already know〜」「You probably already know that〜」といった表現もあります。その時の状況や相手の立場などに応じて表現を使い分けましょう。
「ご存知」を正しく使えるようになろう
「ご存知」は「ご存じ(御存じ)」と書くのが正しいものの、ビジネスシーンでは「ご存知」を使うのが一般的です。敬意が含まれるため目上の人には使えますが、自分に対しては「ご存知」と言うことはできません。
「ご存知」は仕事のやりとりをする上で頻繁に登場するため、失礼な印象を与えないように正しい使い方をマスターしておきましょう。
(山本茉莉)
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※この記事は2021年07月27日に公開されたものです