予想外のキャリアチェンジも楽しむ「運命キャリ」。第一三共ヘルスケア 日辻愛理さんの働き方
「バリキャリ」「ゆるキャリ」……女性の働き方って、本当にこの2つだけなの? 100人いれば100通りの働き方がある。一般企業で働く女性にインタビューし、会社の内側や彼女の働き方を通して、読者に新しい働き方「○○キャリ」の選択肢を贈る連載です。
取材・文:太田冴
撮影:洞澤佐智子
編集:照井絵梨奈/マイナビウーマン編集部
たった1分間お話ししただけで、分かってしまいました。「絶対良い人だ……!」と。
柔らかい物腰、穏やかな笑顔、取材陣への気遣いーーその全てに癒されて、春の“敏感”になった心がほぐれていった私。
それもそのはず、今回お話を伺った第一三共ヘルスケア株式会社の日辻愛理さんは、あの敏感肌さん御用達ブランド「ミノン アミノモイスト」の商品を開発された方なのです。
研究開発に携わった後、現在は業務推進部人事グループで働いているという日辻さん。「ミノン アミノモイストって、どうやって開発しているの?」「どうして研究開発から人事に?」と、根掘り葉掘り聞いてきました!
「ミノン アミノモイスト」の混合肌ラインを0から開発
嬉しいです! 「ミノン アミノモイスト」は、太田さんのような敏感肌・乾燥肌の方に向けた商品ラインナップからスタートし、大変ご好評いただいているブランドです。
ただ、敏感肌の方の中には、敏感肌だけれどニキビができやすい、というような悩みを持つ混合肌の方もたくさんいらっしゃるということが分かったんです。そこで、敏感肌・混合肌の方に向けたラインナップを新たに作ろうということになり、私はその「敏感肌・混合肌ライン」の企画を0から担当しました。
研究開発の部署には大きく分けて「研究」と「開発」の2種類の役割があるんですが、私は「開発」を担当していました。商品の企画から発売まで、一貫してものづくりの舵取りをするような立ち位置です。
マーケティングを行う部署で市場調査をしてもらい、それに対してどのような技術・成分を使うべきか、研究担当と相談をして――と、とにかくものづくりには多くの部署が関わります。それらのアイディアを持ち寄って企画を推進していくのが私の役割でした。
かなり試行錯誤が必要になる、根気のいるお仕事ですね。特に私はテクスチャーにこだわっていたんですが、理想のテクスチャーに仕上げるのが本当に大変でした。
弊社は自社工場を持っていないので外部委託先の工場で製造をしてもらうんですが、あがってきたサンプルに対して「もっとこうして欲しい」とリクエストを出すんです。ただ、「もっとしっとりした感じで」などと言葉で伝えても、正確に意思疎通することは難しいですよね。
テクスチャー、パッケージ表記――こだわり抜いた商品は「我が子のよう」
それらの表記は、一つひとつテストにクリアしないと記載できない決まりになっているんです。信頼できるパッケージ表記は、敏感肌向けの商品としては絶対に妥協したくないポイント。ひとつのテストをクリアする度に、ほっと胸を撫で下ろしたことを今でもはっきり覚えています。
そのこだわりや情熱は、どこから生まれてくるものなんですか?
やはり「こういう人に届けたい!」という届けたい相手が明確にいたからだと思います。敏感肌・混合肌の方はこれまで「ニキビができるのは嫌だけど、乾燥も気になる」「肌は弱いから刺激の強いものは使いたくない」という複雑な悩みを抱えてきたはず。そんな方々の役に立ち、愛されるものが作りたかったんです。
既に多くの方から信頼を寄せていただいている「ミノン アミノモイスト」から新しいラインが出る、となると、やはり肌に悩みを抱えている方が使うケースが多いと思います。となると、安心して使い始めていただきたいですし、その上で使い続けていただけるものにしたかったんです。そのためには、心地の良いテクスチャーも、根拠に基づいた安心できるパッケージ表記も、どちらも妥協できないポイントでした。
まさに「我が子のよう」という感覚でした。とにかく想いを込めた大切な商品ですし、それを愛していただけていることは誇りです。妥協しなくて良かった! と心から思っています。
突然の人事への異動。予想外に「自分に合っていた」
正直に言うと、私が希望していたわけではなかったんです(笑)。研究や開発関連の部署に異動しながらキャリアを積んでいくものだと思っていました。人事に配属と聞いた時は本当に驚きましたね。
はじめは、慣れないお仕事で大変だったのでは?
開発のお仕事をしているときもそうだったのですが、私、周りの人が笑顔で楽しく働いていることに喜びを感じるんです。もちろん自分も笑顔でお仕事したいですし、私以外の方にも笑顔でいてほしい。そのための場所づくりをするのは、苦にならないんです。
今は採用以外にも女性活躍推進やD&I(※)の領域も担当しているので、社員全員が働きがいのある会社にしていくのが私の仕事。そういう意味では、私のスタイルと仕事内容がぴったり合っているんだと思います。
※ダイバーシティ&インクルージョン。性別・年齢・障がい・国籍・ライフスタイル・職歴・価値観など、外的・内的属性にかかわらず、それぞれの個を尊重し、認め合い、長所を活かすこと。
子育てと両立しながら「皆が笑顔になれる職場を作りたい」
コロナ禍でリモートワークが増えていることもあって、ある種スムーズに復職できている感じがします。というのも、実は今、パートナーの勤務地と私の勤務地のちょうど間をとって、茨城県に住まいを構えています。
片道100分くらいかかります(笑)。そういう意味でも、リモートワークが進んで本当にありがたいんです。実は弊社ではコロナ禍に入る前からリモートワークの準備が進められていたのもあり、働きながら育児をする私にとってはとても働きやすい環境ですね。
今は時短勤務なのですが、いつも同僚が「あとはやっておくから遠慮しないで帰って」と優しく声をかけてくれて。女性活躍推進を担当している私が言うのもなんですが、本当に働きやすい、働きがいのある環境が整っています!
良かったです(笑)。でも本当に環境に恵まれていると思います。私がそう感じているからこそ、周りの社員も皆笑顔で働ける環境づくりに取り組んでいきたいですね。
「ミノン アミノモイスト」を開発していたときもそうですが、「幸せになってほしい」と思う相手の顔を思い浮かべて仕事をすると、頑張れるんです。商品開発をしていた頃も、人事の今も、その気持ちは変わりません。これからも「笑顔」を作る仕事をしていきたいですね。
※この記事は2021年04月30日に公開されたものです