エビデンスとは。どんな意味&使い方を業界別に簡単に解説
エビデンスと「ファクト」「ソース」「プルーフ」の違い
エビデンスに関連したカタカナ語として、「ファクト」「ソース」「プルーフ」という言葉があります。各々、エビデンスはどのように異なるのか、意味と使い方を見ていきます。
エビデンスとファクトの違い
ファクトはfactのことで、「事実」という意味です。日本では「ファクトチェック」など、複合語として使われる場合もあります。ファクトチェックとは、事実かどうかを判定するという意味です。
エビデンスはそれ自体が目的ではなく、何かを証明するために用いられるものです。例えば、エビデンスはファクトの判定に用いることができます。
ファクトは結果であり、エビデンスは結果を導き出すための手段と考えると分かりやすいでしょう。
ファクトを使った例文
・ファクトかどうかを判定するために、エビデンスが必要だ。
エビデンスとソースの違い
ソースは英単語のsourceのことで、「情報源や出所」を指します。「ニュースソース」など複合語としても使われます。
ソース自体は「どこから来た情報か」「誰が言ったことか」を示すものでしかありません。しかし、エビデンスと結びつくことで、エビデンスがどこから来たかを明らかにします。
エビデンスが十分な裏付けとなるか、弱い証拠でしかないかは、ソースによって判定されます。
ソースを使った例文
・この報告書に記載されたエビデンスは、A教授の論文がソースとなっているので間違いないだろう。
エビデンスとプルーフの違い
プルーフとは英単語のproofが由来となっている言葉です。日本語としては印刷関連で「校正刷り」の意味で使われるほか、心理学用語として「ソーシャルプルーフ(社会的証明=周囲の人の判断が自分より正しいと思う心理的傾向)」などと使われることがあります。
エビデンスもプルーフも、どちらも証拠や根拠を意味しますが、英語での使われ方は少し異なります。
エビデンスは治療や提案などが正しいことを証明するデータや統計、症例や実例、資料というニュアンスがあり、いくつも集めて補強するものです。
それに対してプルーフは、それ1つで真偽を確定するような、決定的な証拠を指します。
プルーフを使った例文
・確かにエビデンスはいくつか挙げられてはいるけれども、決定的なプルーフではないな。
エビデンスの基本的な意味が分かれば大丈夫
外来語がカタカナ表記で広まる背景には、さまざまな事情があります。
「インターネット」のように、その言葉に当てはまる日本語がなかった場合だけでなく、「カフェ」のように、従来からある「喫茶店」とは違うイメージを表現するために使われるようになった場合もあります。
エビデンスも後者の言葉の1つで、医療の世界での新しい考え方であることを示すために、あえて「根拠に基づく医療」や「証拠」ではなく、「EBM」や「エビデンス」といった言葉として受け入れられ、日本語として少しずつ定着して来ました。
「証拠」や「根拠」という明確な意味を持っているだけに頭に残りやすく、一度きちんと整理すれば迷うことも少ない言葉です。
気を付けなければならないのは、業界によって独特の意味があることです。言葉の元は同じでも、金融関係でいう「エビデンス」と、コールセンターでいう「エビデンス」はまったく異なるものなので、気を付けてください。
2021年現在では、エビデンスは、日本語としての定着度はそこまで高くなく、日常会話に出てくる言葉ではありません。しかし、これから先、仕事やニュースなどで目に触れる機会が増えれば、日常会話でも使われるようになるかもしれません。
(小坂井さと子)
※画像はイメージです
※この記事は2021年04月23日に公開されたものです