いつも彼に尽くしてしまう。振り回される恋をしている時の迷い方
恋の悩みは尽きませんよね。まるで光のない森の中をさまよっているようで。この連載では、恋愛コラムニスト・浅田さんが「解決方法」ではなく「美しく迷う方法」を提案します。
恋の悩みは永遠ですよね。
「どこにも答えはない」
「どうすべきかは分かるけど、それができない」
暗い森の中をあてもなくさまよっているようだと思いませんか。
このコラムは、そんな貴女に「解決法」をお伝えする――ことはしません。周りのアドバイスで変わるくらいなら、既に迷いの森から脱出できているでしょうから。
その代わりに「美しく迷う方法」を提案しようと思うのです。
たとえ正解のない恋に悩まされていたとしても、美しく迷うことならできそうじゃありませんか。そこで発見できることもあると思うのです。
どうせ恋に迷うなら、光の方に迷ってみませんか?
本日の迷いの森
「いつも相手に尽くす恋になってしまう。彼に振り回されて、不安で、なんだか嫌になる。でも彼を嫌いになれない……」
こういうつらい恋の悩みもあるものですよね。
恋をするたびに、尽くす恋になってしまうのですね。いつもデートは彼の都合に合わせてだったり、何日もLINEの返事を待っていたり、彼の機嫌をうかがってビクビクしていたり。ずっと彼のペースに振り回されているのでしょう。
正直、すごく不安になりますよね。もっと安心できる恋に包まれたいのに。
友人たちは「そんな男と別れたら?」「他にもいい人はいるよ」なんて言ってくるでしょう。
しかし、恋心は簡単に言うことを聞いてはくれません。それができたらラクなのは貴女が一番分かっているのですよね。そうできないつらさがあるというのに。
むしろ「誰も分かってくれないんだな……」と孤独を感じる瞬間かもしれません。
どうして好きな人と普通の恋をすることが、こうも難しいのでしょうか。ただ他の人と同じように恋をしたいだけなのに。いつまでも迷いの森を歩くばかりです。
この森に迷いがちな女性のタイプ
ズバリ言うと「『NO』を言えない女性」になります。
当たり前の話ですが、どんな女性にも意見することをためらう瞬間はあるはずです。
とはいえ「NO」を言えない女性ほど、この森に迷いやすくなるのです。きっぱり「NO」を言えないからこそ、彼の要望がエスカレートして、ますます尽くしてばかりの関係ができあがるからです。
このタイプの女性は迷いの森に入ると、どんどん引き返せなくなりがちです。彼の要望を受け入れることに違和感すら抱かなくなってしまいます。感覚が麻痺するのですね。「相手の願いをかなえてあげることは、良い行いのはずだ!」と言わんばかりに。
そして尽くす恋を続けながらも、ふと不安になって、疲れて、どうしてこんなことになってしまったのだろうと迷いの森をさまようことになるのです。
迷いの森の美しい歩き方
初めにお伝えした通り、どうこうすべきだなんてアドバイスはしません。
恋の形なんて人それぞれだと思うから。安定した恋もあれば、不安になる恋もあって。どんな形の恋であっても、本人が望むなら、それもまた良しというものです。これも人生なのかもしれません。
ここでは、その代わりに、より美しく迷う方法を提案させてください。
その森の中で「彼にも少しだけ尽くしてもらう」というのはいかがでしょう?
確かに、今は貴女が尽くしてばかりの関係になっているのかもしれません。憎らしいけれど、なんだかんだ離れられなくて、いつも全力で尽くして――そういう愛の形もあるのだと思います。それは全く否定しません。
とはいえ、それは「貴女だけが尽くすべき」というわけではないと思うのです。
少しくらい、彼にも尽くしてもらっていいんじゃないでしょうか。
大げさなことでなくて構いません。食卓の上の醤油を取ってほしいとか、コンビニに行くならハーゲンダッツを買ってきてほしいとか、寒いから窓を閉めてとか。そんな感じです。
たぶん、それくらい彼に尽くしてもらってもバチは当たらないと思うのです。貴女がいつも尽くしているというのであればなおさら。“軽いお返し”くらいあってもいいはずではありませんか。
大事なのは、ちょっとだけ打診してみること。案外、あっさりOKをもらえるものだと思いますよ。勇気を出して、お願いしてみましょう。
そうやって、少しだけコミュニケーションに変化を付けてみるのです。すると、今までと違う何かが生まれるはずです。これをきっかけに、お互いが「尽くし合う」関係になれたらすばらしいかもしれませんね。
迷いの森の奥に、ちらりとでも光がのぞいたなら幸いです。美しく迷ってくださいませ。
(文:浅田さん@令和の魔法使い、イラスト:はヤせあヤき)
※この記事は2021年04月22日に公開されたものです