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「いただけます」と「いただけます」の違いとは? 「頂く」との使い分け・例文

井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)

「いただけます」を使った例文

実際に「いただけます」を使った例文を、以下に掲げます。

前段でも述べた通り、相手に「~してもらえないか」とお願いする場合には「~していただけますか」を使うことができます。

「~してもらうことは可能ですか」という意味の謙譲語になるので、より丁寧な印象を与える表現です。

例文

・こちらのポイントもご利用いただけます

・ご家族皆さまでお使いいただけます

・メールをご確認いただけますと幸いです

・申し訳ありませんが、お水を注いでいただけますか

・恐れ入りますが、こちらの資料を○○様にお渡しいただけますか

「いただく」と「頂く」の使い分け

ちなみに、同じ「いただく」でも「いただく」と「頂く」で迷うことはありませんか?

厳密に一方のみが正しいという類のものではなく、何か物をもらうような場面では、「いただく」以外に、漢字表現の「頂く」や「頂戴する」が用いられることもあるでしょう。

補助動詞の場合は主に「いただく」

「部長にご指導いただく/指導していただく」など補助動詞として用いる場合は、通常平仮名が使われるものです。

辞書の解説でも次のように記述があるものもあります。

いただくとは
頂く×戴く

二 《補動》

①⦅「お」+動詞の連用形、「ご」+漢語、動詞の連用形+「て(で)」につけて⦆
「…てもらう」の謙譲語。他人が何らかの動作をすることを、その他人に頼む形で表す。
他人を一段高いものとして扱うので、多くの場合、丁寧な感じを伴う。
「お待ち―く」「ご検討―く」「もう帰って―こう」

②⦅「…(さ)せていただく」の形で⦆
相手に願って、自分のすることを許してもらう意の謙譲語。
「帰らせて―く」

二は、多くかな書き。
(学研プラス「学研 現代新国語辞典 金田一春彦編 改定新版」より一部引用)

動詞の場合は主に「頂く」

一方、「お土産を頂く」「食事を頂く」など動詞の場合には、漢字が用いられることもあります。

ただし、必ず漢字が用いられるかというと、この場合は「いただく」「頂く」ともにどちらも使われているようです。

また、同じ「いただく」と読む「戴く」ですが、何かをもらう意で「頂戴する」は用いられることがあっても、「戴」の字が常用漢字表にはない字ですので「戴く」は通常用いられることは少ないでしょう。

丁寧な言葉を選ぶことも心配りの一つ

いかがでしたか?

「いただけます」は「~してもらえます」の謙譲語で、可能のニュアンスを含むことに対し、「いただきます」は断定や命令の意味合いがあると紹介してきました。

「もらう」の謙譲語である「いただく」の使い方にもさまざまあるものですが、相手に何かを「してもらう・してもらいたい」と依頼するということは、相手に何らかの手間暇を掛けることです。

相手の都合や気持ちを伺いながらお願いするような姿勢で、より丁寧でふさわしい言葉を選ぶことも心配りの一つですね。

(井上明美)

※画像はイメージです

※この記事は2020年10月21日に公開されたものです

井上明美(ビジネスマナー・敬語講師)

国語学者、故金田一春彦氏の元秘書。言葉の使い方や敬語の講師として、各市町村・企業・学校、金融機関、医療関係など幅広い教育研修の場で講義・指導を行う。長年の秘書経験に基づく、心くばりに重きを置いた実践的な指導内容には定評があり、敬語・話し方のほか、手紙の書き方に関する講演や執筆も多い。

著書に『敬語使いこなしパーフェクトマニュアル』『最新 手紙・メールのマナーQ&A事典』(ともに小学館)、『一生使える「敬語の基本」が身につく本』(大和出版)など多数。ウェブサイト「All About」では「手紙の書き方」のガイド(https://allabout.co.jp/gm/gp/159/)を務めている。

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