誤用が多い「やぶさかではない」の本来の意味は? 使い方や類語を解説
「やぶさかではない」の意味を知っていますか? 「仕方なくする」という消極的な意味だと思っている人も多いのではないでしょうか。今回はそんな誤用の多い「やぶさかではない」の正しい意味や使い方、言い換え表現について、ライティングコーチの前田めぐるさんに解説してもらいました。
「やぶさかではない」という言葉は、本来「喜んで〜する」「惜しみなく〜する」という意味です。
しかし、遠回しな表現のせいか、「仕方なくする」という消極的な意味に誤解している人が多いようです。
この記事では、そんな「やぶさかではない」という言葉の正しい意味や使い方を解説します。
目次
「やぶさかではない」の意味は「喜んで~する」
まず、「やぶさかではない」の「やぶさか」とはどういう意味か、調べてみましょう。
やぶさか【吝か】
(1)物惜しみするさま。けちなこと。吝嗇。
(2)未練なさま。思い切りの悪いさま。
(3)(「……にやぶさかでないなどの形で)
……する努力を惜しまない。……することに躊躇しない。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
3つ目に「やぶさかでない」の表現が見つかります。
「やぶさかでない」の「やぶさか」は、「吝か」と書きます。
けちなこと、思い切りが悪くてためらう様子をいう「吝嗇(りんしょく)」の「吝」ですね。
「やぶさかでない」は、「やぶさか」を「でない」と打ち消しているので、「けちけちしない、努力を惜しまない、躊躇しない」という意味になるわけですね。
「やぶさかでない」に「は」が入った「やぶさかではない」も同様です。
以上のことから「やぶさかでない」「やぶさかではない」は、「何かをすることについて、努力を惜しまない。ためらわず、喜んで行う」という意味を表す言葉だといえます。