「放念」を使った「ご放念ください」の意味とは? ビジネスでの使い方や類語
ビジネスシーンで、「ご放念ください」という言葉を目にしたことはありませんか? 普段使用している方も多いかもしれません。今回は「放念」の意味や使い方、類語などについて、ライティングコーチの前田めぐるさんに解説してもらいました。
「ご放念ください」は、日常でもビジネスでも手紙やメールのやり取りでよく使われる気遣いの表現です。
この記事では、「放念」の意味や使い方、「ご放念ください」という言葉への対応の仕方についても解説します。
「放念」とは「心にかけないこと」
ここでは「放念」の意味と、「ご放念ください」という表現について解説していきます。
放念とは。読み方と意味
「放念」は「ほうねん」と読み、以下の意味があります。
ほうねん【放念】
心にかけないこと。心配しないこと。放神。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)
「ご放念ください」は相手への配慮を示す敬語表現
「放念」は、基本的には相手の行為について使う言葉です。そのため、自分が気にしない、忘れていたという場合に「放念する」「放念した」と表現するのは、避けた方が良いでしょう。
「ご放念ください」という表現を分解すると、以下のようになります。
ご(尊敬を示す接頭語)+放念+ください=ご放念ください
「ご放念ください」は、相手に対して「気にしないでください」「お忘れください」という意味で使う、尊敬の表現です。
相手を煩わせたくないために、
・心配しないでほしい
・気遣いしないでほしい
・心に病まないでほしい
・気に留めないでほしい
・心を休めてほしい
といった配慮から使う表現です。
「ご放念ください」は、どんな時使えるのか?(用例・例文付き)
「ご放念ください」は、仕事でもプライベートでも使うことができます。主に、手紙やメール、メッセージなど、相手に負担を掛けたくないような場面で使うといいでしょう。
では具体的にどんな時に使えるのか、シーン別に例文付きで紹介していきます。
(1)自分の都合で何らかの申し出をする時
例文
・ぜひともご相談にあがりたいところですが、もしもご無理であれば、ご放念ください。
(2)多忙な相手に面会の申し出をする時
例文
・今回は急な日程であることは重々承知しておりますので、ご多忙であればどうぞご放念くださいませ。
(3)間違って送ってしまったメールなどを忘れてほしい時
例文
・たった今、添付書類を間違えてお送りしてしまいました。お手数ではございますが、ご処分くださいませ。非礼をお詫び申し上げますとともに、何卒ご放念くださいますようお願いいたします。
(4)謝罪している相手に「もう気にしないで」と伝えたい時
例文
・私もしょっちゅう間違えます。先日のことは、すっかり忘れました。どうぞ、くれぐれもご放念くださいね。
(5)年賀状や贈答の気遣いを丁寧に断りたい時
例文
・紙の年賀状は本年をもちまして終了いたします。来年より、ウェブ年賀状に切り替える予定です。どうぞ、私宛の年賀状もご放念くださいますようお願い申し上げます。
(6)ささいなことだから「あまり気に留めないで」と伝えたい時
例文
・こちらにつきましては取るに足らないことなので、どうぞご放念ください。
使用上の注意点
「放念」を使用する上での注意点も理解しておきましょう。
謝罪の場面では使わない
自分が失敗をして迷惑を掛けた相手に早く忘れてほしいからといって、「ご放念いただければ幸いです」というふうに使うのは避けましょう。
確かに「気にしないで、忘れてください」という意味にはなるでしょうが、謝罪のような相手の感情にも関わる難しい場面で使うことは、あまり適切とはいえないからです。
そんな時は「ご寛恕(かんじょ)くださいませ」「お許しくださいませ」など、丁寧な言葉を選ぶようにしましょう。