「助かります」は敬語として正しい? 言い換え表現も紹介(例文つき)
ビジネスにおいて、目上の人や取引先に対して「助かります」という言葉を使って良いかどうか悩んだことはありませんか? 今回は、ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに、「助かります」の使い方や言い換え表現などについて解説してもらいました。
上司や先輩の仕事を手伝った時に相手から「助かったよ」と言われたら、やりがいを感じてうれしいものです。
ところが逆に、自分の仕事を目上の方に手伝ってもらった時に、「助かりました」を使うと失礼になることを知っていますか?
「助かります」の正しい意味を理解して、相手に不快感を与えない表現を一緒に学びましょう。
「助かります」の意味は? 敬語として正しい?
「助かります」が正しい敬語なのか気になっている人はいるでしょう。そこで、まずは意味と併せて「助かります」が敬語として正しいのか解説します。
「助かります」の意味
ビジネスシーンでの「助かる」は、「力を借りてうまくいくように補助される」という意味で使われることが一般的です。
ですので、助けてもらった側が「助かります」と言う場合は、「負担があるために、力を貸してほしい」「力を貸してくれてありがたい」という気持ちを表しています。
「助かります」は丁寧語なので敬語として問題ない
「助かります」は「助かる」を「です・ます」に言い換えた丁寧語であるため、敬語としては問題ありません。
ただ、使える相手は同僚や後輩などに限られるため注意してください。その理由は次の章で解説します。
「助かります」を目上の相手に使うのはNG
元々「助かる」という言葉には、「危険や死から逃れる」の他に、「負担や苦痛がない、または少なくてありがたい」という意味があります。
ビジネスシーンではもちろん後者の意味ですが、「自分の負担が少なくて済む」というニュアンスがあるために、目上の人には使わない方が良いといわれています。
これ以外の理由として、本来、労いの言葉は上から下へかけるものだという視点から、「助かります/助かりました」は目上の人に対してはふさわしくないという意見もあります。
ご参考までに、同じ労いの言葉である「ご苦労さま」も、同様の理由から、目上から目下はOKだけれど逆はNGとされています。
「ご苦労さま」は「お疲れさま」に言い換えましょう。
「助かります」のNG使用例
例えば、以下のようなシーンで「助かります」を使うのは、あまり適切ではありません。
1.取引先に対して、お礼を伝える時(感謝)
「○○様(顧客)、この度はご協力いただき、大変助かりました」
2.上司に対して、確認のお願いをする時(依頼)
「課長、本日中にこちらの資料の確認をしていただけると助かります」
「ありがたいです」も失礼にあたる
「助かります」の言い換えとして「ありがたいです」が使えるのでは、と考えている人はいるでしょう。
しかし、「ありがたいです」のように「形容詞+です」の形を取る表現は、誤用とまではいきませんがやや稚拙な印象を与える場合があります。そのため、ビジネスシーンで目上の相手に使うには適していません。
次の章で紹介する言い換え表現を使う方が無難でしょう。
次のページでは、「助かります」の言い換え表現を紹介します。