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「心中お察しします」の意味は? 正しい使い方と注意点(例文つき)

櫻井弘

「心中お察しします」という言葉を使ったことはありますか。「心中お察しします」は相手を気遣う言葉ですが、使い方を間違うとかえって相手を不快にさせてしまうことも……。特に上司など目上の人に使うときは注意が必要です。今回は話し方研究所の櫻井弘さんに「心中お察しします」の意味と正しい使い方のポイントを教えてもらいました。

「心中お察しします」という表現を使ったことはありますか? 「相手の気持ちを察する」という日本の文化から来た特徴的なコミュニケーションの取り方です。

言葉だけではなかなか言い表せない「相手の気持ちに寄り添う」「共感力の高い」大人の言葉遣いについて、具体的なシーンでの使い方やポイントを解説していきます。

「心中お察しします」の意味

読み方は「しんちゅうおさっしします」です。「心中」を「しんじゅう」と読むと相愛の男女が合意の上で一緒に死ぬなどの間違った意味になってしまいますので、要注意です。

「心中お察しします」の意味は、簡単に言うと「あなたの心の中で思っていることは分かります」となります。

「心中」は「心の内」「胸中」を意味します。そして「察する」は「推し量る」「相手の真意や意図を汲み取ること」となります。また「同情する」などの意味合いもあります。

実は、「察する」ことは、「察し型の文化」から来た日本人のコミュニケーションの取り方の代表的な表現方法の一つなのです(ちなみに欧米は「表現型」「発信型」、国際化と情報化により、日本人も「察し型」から「表現型」「発信型」が増えてきました)。

「心中お察しします」の正しい使い方

「相手の立場に立つ」「相手を思いやる」「相手の気持ちに目を向ける」ことは、人と人とが豊かなコミュニケーションを取るときにとても大切なことであると同時に、大変難しいことです。なぜならば、相手と自分は立場も気持ちも違う他人だからです。

したがって、「心中お察しします」という表現ができるということは、相手との立場の違いが分かった上で気持ちをおもんぱかることができる「大人」である証拠といえるのです。

あなたもこの言葉で大人の扉を開いてみませんか。

(1)不幸があった人や困難な状況にある人に使う

「心中お察しします」は、お葬式の場など、誰かに不幸があった時に使います。身近な人を亡くしたときなど辛い気持ちをいたわるために「心中お察しします」を使うことができます。

例えば、葬儀で遺族が悲しみのあまり言葉を失っているようなときに、「お気持ちはよく分かります」という意味で「心中お察しします」と伝えます。

(2)不幸があったこと、困難な状況にあることを相手から直接聞いたときに使う

また、人の生き死にや不幸・困難な状況に対しての言葉ですので、本人から直接聞いた時に使うようにしましょう。

なぜならば、不確かな状況で使って、万が一間違っていたら、大変失礼な言葉になり、相手を不快にさせてしまうからです。

ちなみに「心中お察しします」の同義語を挙げると、「気持ちを汲み取る」「心情を理解する」「気持ちを慮る」「気持ちを鑑みる」などがあります。

どの言葉も手放しで喜んでいる人に対して使う言葉や、単に推測や想像をした時に使う言葉ではないことが分かります。

(3)「心中お察し申し上げます」と言うとより丁寧

相手が目上で、あまり人間関係もできていないような場合に、「心中お察しします」を使うと「分かりもしないくせに!」「君に言われたくない!」などと、相手の反発を招きかねません。

相手が目上、年上の場合は、「心中お察し申し上げます」と言えば、へりくだった印象でより丁寧さを伝えることができ、相手の感情を害さないで済みます。

その際には、できるだけ「言葉」に「心」を込めて「行動」するようにすれば、相手に上手に伝えることができます。言葉(コトバ)・心(ココロ)・行動(コウドウ)ということで「3つの“コ”」と覚えておくといいでしょう。

▶次のページでは、「心中お察しします」の例文を紹介します。

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