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生理の量が多い。一般的な量の目安と多くなる原因・対策とは

生理の基礎知識

尾西芳子(産婦人科専門医)

経血の量が多い原因とは? 過多月経の可能性

ここまで読んでみて、「もしかすると、自分の生理の量は通常よりも多いのではないか?」と思った人もいるかもしれません。

経血の量が通常よりも多くなる「過多月経」を引き起こす原因とはいったい何なのでしょうか?

経血の量が増える=過多月経の原因

過多月経の原因となるものは主に次の通りです。

(1)ホルモンバランスの乱れなど

ストレス、急激な体重減少、多膿胞性卵巣症候群(PCOS)、肥満、甲状腺の異常などによりホルモンのバランスが乱れると、排卵がなくなり、経血の元となる子宮内膜の増殖サイクルがくるって、過多月経となることがあります。特に若い人や、閉経直前の人に多く見られます。

(2)子宮筋腫

子宮の本体の筋肉の一部にゴムボールのような塊ができる子宮筋腫。30歳以上の女性の20~30%に見られ、珍しいものではありません[*2]。良性の腫瘍で自覚症状のない人もいますが、できる場所によりさまざまな症状が出ます。

特に子宮の中の空洞(内腔)に飛び出したようなタイプ(粘膜下筋腫)の人は過多月経が多くなることが多いです。

(3)子宮腺筋症

子宮本体の筋肉組織の一部に子宮内膜の成分が入り込み、増殖していく病気です。女性ホルモンの影響を受けて組織が増殖し、子宮の一部が分厚く、硬くなっていきます。

30代後半~40代の経産婦(出産を経験した人)に多いとされていましたが、近年は20歳~30歳第前半の出産経験のない女性にも増えています。

過多月経だけでなく、生理痛がひどくなる、生理の期間が長くなるなどの問題も起こってきます。また、進行するにつれて、子宮全体が大きくなっていきます。

(4)子宮内膜ポリープ

子宮の中の内膜がおできのように膨らむのが子宮内膜ポリープで、良性のものです。

子宮の中の空洞部分(内腔)にポリープが飛び出すことで内腔の表面積を増やすため、過多月経、不正出血の原因となります。

(5)子宮内膜増殖症・子宮体がん

子宮の中の内膜が異常に増殖するのが、子宮内膜増殖症です。

子宮内膜増殖症には癌化しやすい「異型細胞のあるタイプ」と「異型細胞のないタイプ」があり、異型がない場合には自然に治癒することもあるので経過を見ることも多いのですが、異型がある場合には子宮体癌に進行するリスクが高いため、手術が検討されます。

なお、病名が似ているので間違われやすいですが、「子宮内膜増殖症」と「子宮内膜症」とは異なる病気です。

(6)その他

稀ですが、血がなかなか止まらなくなる血液の病気や肝臓、腎臓などの病気の影響で過多月経となることもあります。

また、血液が止まりにくくなる薬の使用が原因の場合もあります。

若い女性の過多月経はホルモンバランスの乱れが原因であることが多いのですが、中にはがんや前がん病変など悪性の病気が原因である場合もあります。生理の量が多いかなと感じたら、放っておかず、一度婦人科を受診しましょう。

次ページ:過多月経の対処法

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