こだわりが強い人の特徴とは? 原因やこだわりが強い人への対応方法も解説

こだわりが強い人にはどのような特徴があるのでしょうか。また、こだわりが強くなる原因は何なのでしょうか。今回は、こだわりが強い人について、そうなる原因や対応方法などを、心理カウンセラーの小日向るり子さんに教えてもらいます。

「こだわりが強い人」と聞くと、どのようなイメージを持ちますか? 「こだわり」とは個人の感性や価値観に基づいた思い入れですので、こだわりを持つこと自体は大切なことです。

しかし、その思い入れの強さによって「生きづらさ」を感じている方もいるのではないでしょうか。

今回はこだわりが強い人の特徴や心理を分析し、さらに対処方法までを解説していきたいと思います。

「こだわりが強い」とはどういう意味?

そもそも「こだわる」という言葉にはどういった意味があるのでしょう。辞書で調べると、以下のように記載されています。

こだわ・る〔こだはる〕
1 ちょっとしたことを必要以上に気にする。気持ちがとらわれる。拘泥 (こうでい) する。「些細 (ささい) なミスに―・る」「形式に―・る」

2 物事に妥協せず、とことん追求する。「素材に―・った逸品」

3 つかえたりひっかかったりする。

「それ程―・らずに、するすると私の咽喉を滑り越したものだろうか」〈漱石・硝子戸の中〉

4 難癖をつける。けちをつける。

「郡司師高―・って埒 (らち) 明けず」〈浄・娥歌かるた〉

[補説]2は近年の用法。

(『デジタル大辞泉』小学館)

「こだわり」は、「物事に妥協せず、とことん追及する」という意味で使えばポジティブな言葉になりますが、「難癖をつける、けちをつける」という意味だとネガティブに聞こえますね。

つまり、「こだわる」という言葉には、両方の側面があるということ。それと同じように、「こだわりが強い」気質にも両方の側面があります。

例えば、プラスの面としては「妥協を許さず完璧を求める」、マイナスの面としては「重箱のすみをつつくような難癖をつけがち」といえるでしょう。

「あの人はこだわりが強いね」と言う人の心理には、その性格を良きものとして受け止めている場合と必ずしもそうでない場合があると考えられるのです。

こだわりが強い人の特徴

ますは、「こだわりが強い」と言われる人には、どのような特徴があるのかご紹介します。

(1)主張を曲げない

自分が一度「こうだ」と思ったことは、他者からどう言われようと意見や行動を変えたりしません。

逆に、言われれば言われるほど反発心を覚えて、さらにこだわりが強くなることもあります。

(2)ひとり行動が多い

ひとりで行動することが好きな人もいますが、こだわりが強い人のすべてがひとり行動を好むということではありません。

しかし、こだわりを貫いているとどうしてもまわりと合わないことも多くなり、その結果ひとりで行動するようになるのです。

(3)パワフル

こだわりを強く持てるということは、自分の主張を押し通すパワーがあるということです。

そのため周囲の人はそのパワーに圧倒され、ひるんでしまうこともあります。

(4)勝気

こだわりが強い人は、他者からのアドバイスを抵抗勢力と受け止めてしまいがちです。

そのため、それに負けまいと強気で過ごす場面が多く、それが「勝気」という性格として定着することがあります。

参考記事はこちら▼

実は周りを困らせてない? あなたの「こだわりの強さ」を診断でチェックします。

こだわりが強くなる原因

要因としては、産まれ持った気質(先天的なもの)もありますが、後天的な要素もあり、それらが絡み合って「こだわりの強さ」というパーソナリティの一部が形成されます。

後天的な要素とは「自分が興味を持ったことに対して制限がなく、そのものに熱中できる環境」があった場合です。

例えば、幼少期から絵を描くことや読書が好きで、制限なく制作に没頭する読書を楽しむ環境を与えられていた場合などです。

特に、幼少期~青年期の環境がそのようなものであった場合は、同年代と比べて経験値も高くなるため優秀な成果につながることも多いです。

それが本人の優越感と相まって、ますますこだわりが強くなるといった傾向があります。

こだわりが強い人への接し方

こだわりが強い人と良好な関係を築くには、どう接すれば良いのでしょうか。

(1)相手のこだわりを長所として受け止める

まずは相手のこだわりを「長所」として受け止めてあげましょう。

こだわりが強い人には感受性が強い人も多いです。そのため、自身のこだわりを頭から否定されると、ひどく落ち込んだり、より頑なにこだわるようになったりする場合があります。

そうならないよう、まずは「あなたのこだわり自体はすばらしいと思うよ」といったように、最初は認めるかたちから入ることを意識してみてください。

(2)対応に緩急をつける

「緩急(かんきゅう)をつける」とは緩やかにしたり厳しくしたりすること、つまり、こだわりが強い人への対応にメリハリをつけるということです。

例えば、こだわりが強い部下への対応をストレスに感じている場合。部下のこだわりをとことん聞いてあげる場面と、時間制限を設けたりメールで対応したりと効率重視で対応する場面とをはっきり使い分けてみてください。

相手のこだわりに寄り添い続けていると自分自身が疲弊しますし、割り切った対応ばかりしていると部下のストレスがたまります。

お互いがほどよい距離感で良好な関係を保つためにも、メリハリをつけた対応は重要なのです。

(3)自分のこだわりを妥協する

仕事など社会生活の場では、この考え方が大切です。

「自分もこだわる」「相手もこだわる」といったこだわり合戦を続けてしまうと、肝心の納期に遅れる可能性があります。

また、互いに心理的なモヤモヤを引きずってしまい、その後の業務に支障をきたすかもしれません。

そうならないよう、「自分が妥協できる部分は妥協してしまおう」という割り切りも大切です。

(4)一任する

「一任する」とは、その人1人に任せてしまうことです。

こだわりが強い人は、こだわる物事については妥協せず、かつ高い集中力を発揮してクオリティの高い結果を出す可能性が高いです。

「完成期限など必ず守ってほしいことだけは伝え、後は任せる!」という思い切りが、良い結果につながることも期待できます。

▶次のページでは、こだわりが強い人の長所と短所を紹介します。

こだわりが強い人の長所・短所

上述したような特徴のある「こだわりの強い人」ですが、短所ばかりではありません。

次に、「こだわりが強い人」の長所と短所をお伝えします。

長所(メリット)は?

(1)粘り強い

こだわりを持ったものに対しては、自分の納得がいくまで粘り強くやり続ける努力と忍耐力があります

(2)信念がある

自分の中に確固たる信念があり、そこを曲げないことが「こだわり」というかたちになって映ることもあります。

物事にこだわるというよりは「信念を曲げない」という姿勢です。

(3)完成度が高いものを作りあげる

思い入れがあるものに対しては、時間や対価など関係なく情熱を注ぐことができるため、完成度が高い作品を作りあげることができます。

短所(デメリット)は?

(1)臨機応変に対応できない

やりだしたことを一時的に中断することが苦手です。

そのため、環境や状況の変化が激しい場所についていくことができずに、居心地の悪さを感じることも多くなります。

(2)空気が読めない

こだわりがあるものに対して高い集中力を発揮するあまり、まわりの空気が読めなくなり、気づいたら浮いた存在になっていたということもあります。

(3)敵を作ってしまう

自分の信念を曲げないため、意見やアドバイスをしてくる人を敵対視した言動を取ってしまうことがあります。

その感情を双方が引きずってしまうと、関係の気まずさが生まれます。

▶次のページでは、こだわりが強い人に向いている仕事を紹介します。

こだわりが強い人に向いている仕事って?

そんな「こだわりが強い人」に向いている職業もご紹介しましょう。

(1)デザイナー・クリエイター

自分のこだわりを突き詰め、それを作品として昇華させるというのがデザイナーやクリエイターの使命です。非常に向いている職業だといえます。

(2)作家

ここでいうところの「作家」とは、編集や構成ありきのライターではなく、ゼロから物語を作る作家です。

また、自身で取材をして執筆する「ノンフィクション作家」も、こだわりを如何なく発揮できます。

(3)画家・イラストレーター

現代はネットやSNSで作品を自由に発信できるようになりましたので、自身のこだわりを作品に昇華できるのはもちろん、社会的評価も受けやすくなりました。

よって、「こだわりをより極められる」状況が生まれています。

副業として始めることもできる環境が整ってきていますので、トライしやすくオススメといえるでしょう。

(4)調理師

調理の中でも、ラーメン、ピザ、ケーキなど、食べ物のジャンルを絞り込んで味を突き詰めていくような調理が向いています。

▶次のページでは、こだわりが強い自分の性格とうまく付き合う方法について解説します。

こだわりが強い性格との付き合い方

自分自身の「こだわりが強さ」にがんじがらめになることもあるでしょう。

最後に、そんな性格と上手に付き合っていく方法をお伝えします。

(1)時間を決めて作業をする

「今日は21時で終わりにする」など、取りかかる前に作業の終わりの時間を決めてしまうことです。

最初は時間で中断されることがストレスになりますが、次第に段取りを立ててストレスを少なくするよう自制がきくようになってきます。

(2)否定をしない

まわりの人から、自分のこだわりと異なる意見や思い入れの強さをたしなめるアドバイスを受けた際、「だって」「そんなこと言われても」などの否定的な感情が出てくると思います。

そう思っている自分に気づいたら、否定をのみ込んで一旦受け止めるということを心がけてみてください。

(3)確認回数を決める

こだわりの強い人は確認行為が多くなりがちです。

そして、確認をするたびに不備を見つけて修正することを続けていくと、それはこだわりではなく「強迫観念」というストレスになってしまいます。

例えば、仕事であれば「資料の確認は2度まで」など自分の中で回数を決めて対応してみましょう。

こだわりが強いのは良い個性!

こだわりとは自分自身のパワーを注げるものですから、基本的には人生を豊かにさせてくれます。

しかし、そのこだわりを自己満足で終わらせず、社会貢献につなげるためにはまわりとの調和も大切になってきます。

あなたのこだわりが、まわりの人から「単なるわがまま」と受け止められてしまうとしたら悲しいことですよね。

こだわりが強い性格と上手に付き合う方法、ぜひ参考にしてみてくださいね。

(小日向るり子)

※画像はイメージです

※この記事は2020年01月27日に公開されたものです

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