謝れない人の心理や特徴。謝らせる対処法はある?【心理学】
身近に謝れない人はいませんか? 職場で謝れない人がいると、仕事に支障が出たり人間関係がこじれたりすることも。この記事では、謝れない人の心理と特徴、自分の非を認めない人への対処法について、心理カウンセラーの小日向るり子さんに解説してもらいます。
あなたのまわりや職場に、明らかにまわりの人に迷惑をかけたりトラブルになったりしているのに「絶対に謝らない人」はいませんか?
こうした方への対処法に頭を悩ませている方も多いのではないでしょうか。
実は「謝らない人」には特徴的な心理状態があり、その心理別に対応していかなければ、よかれと思ってとった対処が逆効果になってしまうこともあります。
今回は「謝らない人」の心理を分析し、その心理別に対処方法を解説していきたいと思います。
謝れない人の心理
それではまず、謝らない人に見られる代表的な心理を挙げて解説していきます。
なお、以下に挙げるひとつの心理状態が原因のすべてではなく、いくつかの心理が複合的に混ざり合って「謝らない」という状態を作っている場合もあります。
あなたのまわりにいる謝らない人はどの心理パターンに当てはまるか、想像しながら読んでみてください。
(1)防衛心が強い
謝ることによって自分の立場に不利益や不快症状が起きることを極端に恐れているタイプ。
謝るということは非を認めることですが、彼らは非を認めると何か責任を取らされたり社会的制裁を受けたりすると思い込んでおり、そうした状態になることを防衛しているのです。
◇(2)負けず嫌い
本来負けず嫌いの性格は成長につながるパワーでもありますので、ネガティブに捉える性格ではありません。
しかし、それはあくまでも負けず嫌いの性格が常識や社会的正義とセットになったときに限定されます。
負けず嫌いが強すぎて自分だけが正義になってしまうと、自分が明らかに悪い時でも「絶対に謝らない」という頑固で厄介な人になってしまいます。
(3)鈍感
そもそもその事象が謝ることだと気づいていない、あるいは自分に非があるとは感じていないという感性が鈍いタイプです。
このタイプの人は、周りから「謝ってほしい」と思われていることすら、気づいていない傾向にあります。
(4)他罰的思考
負けず嫌いな性格と見分けがつきにくいのですが、負けず嫌いな人は自分が絶対正義だと思っているのに対し、他罰的思考の人はそこまでは思っていません。
自分にも非があったり、過ちを犯してしまったことを認めてはいるのです。
しかし、「私だって悪いけど、○○さんのほうがもっと悪い。だから代表して○○さんが謝るべきだ」とか「私にも責任の一端はあるかもしれないが、そもそも会社が悪い」などと、自分の失敗を他者や環境に責任転嫁をしがちです。
その結果、謝らないというより「謝るのは私ではない」という思考になってしまいます。
謝れない人の特徴
では、謝れない人にはどのような特徴があるのでしょうか。
(1)我が強い
自分の考えや行動が必ず正しいと考えているのが、我が強い人。他人が成功したことに対して「たまたまだろう」と考え、自分より良い考え方や行動があることを認めるのが苦手な傾向にあります。
そのため、仮に自分の意見や行動が間違っていたとしても、「自分が間違えているはずがない」と感じます。結果的に、人に対して謝ることができなくなってしまうケースです。
(2)プライドが高い
自分の非を認められない根底には、プライドが傷つくことを受け入れられない心理があるかもしれません。
鈍感なタイプではなく、たとえ自分が悪いと気づいてもつい言い訳をしたり人のせいにしたり、プライドの高さが邪魔をして素直に謝罪することができないようです。
(3)気が弱くて傷つきやすい
謝れない人は、実は気が弱くて傷つきやすいという場合もあります。自分の弱い部分を悟られまいとして、虚勢を張ってしまうのでしょう。
謝る=自分の非を認めることになるので、それによって周囲から責められることを恐れているのです。
職場などにいる謝れない人への対処法
謝らない人の心理状態がわかったところで次に対処法を見ていきましょう。
ただし最初にお伝えしたように、あなたが実際に困っている人が上記にあげた心理のうちのどこにもっとも強く当てはまるのかをまず分析してから読み進めてください。
(1)「謝って」とハッキリ伝える
このやり方は(1)の防衛心が強いタイプと(3)の鈍感なタイプに有効な対処法です。
注意の仕方としては、防衛心が強いタイプの人には謝る理由を理性的に伝えるとともに、謝ることによってあなたが責任を負う必要はない、あるいは責任を取るとしてもその範囲、を明確に伝えてあげましょう。
防衛する心がほどけて安心すれば、謝る確率は上がります。
また、鈍感なタイプはそもそも問題に気づいていないのですから、「これは謝るべきことだよ」と説明してあげればよいのです。
この対処法をやってはいけないのは(2)の負けず嫌いタイプの人です。
このタイプに謝ってほしいと伝えるとマウンティングされたと捉えられてしまい、逆に「絶対に謝らない!」と相手を頑なにさせてしまいます。
(2)自分が先に謝ってみる
これは(2)の負けず嫌いタイプと(3)の鈍感なタイプに有効な対処法です。
自分が先に謝ってしまえば負けず嫌いは「勝った」という心境になりますので、相手も謝ってくる可能性があります。
もちろん自分が謝る筋合いでないときにはできませんが、円滑に進めるために譲れるところであれば割り切ってしまうのも術です。
鈍感なタイプは謝ることで「ここはそういう場面なのだ」と相手に気づいてもらいたいときに使います。
仕事で先輩が後輩に教える際など、まさに「先輩の背中を見て覚えろ」という姿勢ですね。
(3)距離を置く
(4)の他罰的思考のタイプにおすすめの対処法です。
どうしてもその人と関わっていかなければならない状況以外ではこちらをおすすめします。
相手は何を言っても「ああ言えばこういう」ですから、説得すればするほど疲弊して、こちらのストレスがたまっていきます。
また、(2)の負けず嫌いもあまりにも強すぎる場合は距離を置くのが有効です。
他人から距離を置かれたことで自分を顧みて、自ら高すぎる鼻を折ることができるかどうかは本人次第ですから放っておきましょう。
(4)受け入れる
これは心理別ではなく、状況が上司と部下といった「上下関係」であるときの対処法です。
人間関係に置いて、基本的に他人を変えることはできません。
ましてやそこに上下関係があるのでしたらなおさらです。自身の評価などにつながる可能性もあるかもしれません。
どうしても変えたいのであれば、謝ってもらうための手段を大きく変えることです。
具体的にはさらに上の立場の人に直訴する、第三者機関に判断をゆだねる、といった方法です。
しかしそこには大きなエネルギーが必要です。
そこまでする必要性がないと判断したら「この人はそういう性格なのだ」と受け入れてしまったほうが楽です。
謝れないの心理を分析して対処しよう
謝らない人への対処については多くの人が頭を悩ませるところですよね。
しかし、相手を動かすためにはまず相手を知ることです。
もしあなたのまわりに謝らない人がいる場合は、ぜひ上記の心理状態とその状態別の対処法を参考にしてみてください。
(小日向るり子)
※画像はイメージです
※この記事は2019年09月04日に公開されたものです