ファッションセンスの磨き方とは? スタイリスト直伝のセンスアップ術
垢抜けた雰囲気をまとっている人、他者とは違うオーラを漂わせている人の共通点は、“ファッションセンスがすぐれている”ことではないでしょうか。その域まで到達するのは高すぎる目標でも、センスを磨く近道があれば、ぜひ取り入れたいところです。今回はファッションのプロ、スタイリストの渋谷美喜さんに、ふつうレベルの私たちが今より1段階センスアップするための、“センスの磨き方”について、具体的に教えていただきました。
最初に結論を言ってしまうと、センスを磨くことはむずかしく、とても時間がかかることです。どうしても、その人がもともと持つ感性に左右されるからこそ、劇的には変えられないんですよね。
でも、まったく方法がないわけではありません。そこで、今回は“本当に身につくセンスアップ”について考えていきましょう。
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ファッションセンスが悪いとはどういうこと?
まずはファッションのセンスが悪いとはどういうことなのか、原因とあわせて紹介します。
センスが悪い=客観視できていない。大きな鏡で全身を見るべし
センスが悪い原因のひとつは、自分を客観的に見られないこと。
「私はコレしか似合わない」と決めつけたり、逆に、自分に似合うものや体形をわかっていなかったりすることが多いと感じます。ファッションは、全身で考えるもの。だからこそ、頭の先からつま先、そして360°見える環境であることが重要なんです。
もし、家に全身鏡がないという人がいたら、大きな鏡を買うところから始めましょう!
ファッションセンスの磨き方
続いては、ファッションセンスの磨き方を紹介します。
まずは自分が好きなスタイルをイメージする
センスアップの第一歩は、自分が好きなスタイルをイメージするところから。
旅は目的地を決めないとたどり着けないように、ファッションも本当に欲しい服、挑戦したいスタイルがわかっていないと、永遠にムダなものを買い続けてしまいます。下準備が雑だと、洋服の選び方も雑になるので、明確にイメージしておくことがとても大切なんですよね。
具体的には雑誌やインターネット上のコーデ、いいなと思うインスタグラマーなどを見て、「コレはすごく好きな洋服だ」「こんな風に着こなしたい」と思うものをピックアップしていきます。スクリーンショットをしたり、切り抜いたりして、手元にスクラップしておくと便利ですよ。
ロールモデルのコーデをヒントに、かたっぱしから試着する
慣れないうちは誰かひとり、ロールモデルを作ってマネするのがおすすめ。ロールモデルが着ていたコーデの中から、自分が挑戦したいものをいくつか決めたら、次は外へと出かけましょう。
選んだ洋服、コーデをかたっぱしから、お店で試着していきます。同じブランドでなくてもいいので、似た服を探して、ひと通り実際に身に着けてみることが大事。
ショップ店員さんとのやりとりが苦手な人も多いと思いますが、じつは>買わせることよりも、アドバイスを求められることや、似合うものをいっしょに探すことに喜びを感じる店員さんも多いもの。そこは遠慮せず、甘えてしまっていいと思います。
第三者の意見を取り入れる
というのも、センスを磨くためには、“第三者の意見”が重要なんです。私は今も「デニムが欲しいんですけど、どれが似合うと思いますか?」と、店員さんにチョイスを委ねることがあります。人に選んでもらうと、「自分はこういう風に見えるんだ」「こんなシルエットも似合うんだ」とわかって、思った以上に楽しいんですよ。
また同じグリーンでも、“似合うグリーン”と“似合わないグリーン”があります。そこを見きわめてくれる他者は、絶対に必要な存在。どうしても店員さんと話すのが苦手な人は、友だちや家族、彼などでもいいので、ストレートに言ってくれる人の意見に耳を傾けてくださいね。
ファッションセンスを磨く上で大事なこと
下準備をして、実際に着て、意見をもらう。この3つのサイクルを何度かこなしていくと、自分の中で似合うもの、本当に好きなものが感覚的にわかってくると思います。あとは、その中から欲しいと思ったものを買うだけ。
挑戦と失敗の繰り返しで、自分のスタイルが見つかる
とはいえ、買ったあとに“着回しがしづらかった”“いまいちしっくりこない”ということもあると思います。でも、その失敗こそが大事。学校の勉強も、たくさん問題を解いて、ときに失敗して、だんだんと力をつけていきますよね。
ファッションも同じで、挑戦と失敗を繰り返して、自分に合うスタイルを見つけていくことがセンスアップの近道なんです。そのためにも、とにかくたくさんの服を着てみてください。
ただ、いっぺんに全身のイメージを変えるのは勇気がいりますよね。ですから最初は、小さなところからで大丈夫。まずは靴だけ、今日はバッグだけと少しずつ変えて、だんだんと面積を広げていくのもいいと思います。
値段的にも、最初は失敗しても「まぁ、いいか」と思えるくらいのものにするほうが、楽しんでいろんなスタイルを試せると思います。
必ず意識すべきは、“清潔感”と“サイズ感”
下準備をして、実際に着て、意見をもらうという3つのサイクルを続ける中で、大事にしてほしいのは“清潔感”。どんなにいいものを着ても、着方がだらしなかったり、パッと見が美しくなかったりすると台なしです。
また、それと同じくらい意識してほしいのが“サイズ感”。多くの服を試着していく中で、自分に合った丈感やフィット感が見えてくると思います。
引き算でシンプルに、ワンポイントの個性を忘れずに
センスのいい人は“マイナス”と“小物使い”が上手です。
おしゃれをしようとがんばりすぎると、変に“多色使い”をしたり、アクセを増やしてゴテゴテさせてしまったりするんですよね。でも、おしゃれな人はシンプルな色や柄をベースに、ワンポイントで映える小物を入れて、スッキリ見せるのがうまい。また、重くならないように、髪型でバランスをとったり、腕や裾をロールアップして抜け感を作ったりして、バランスをとっています。
たとえば、メインの服は白、黒、ベージュ、カーキ、グレーなど落ちついた色を揃えておいて、ポイントに赤や黄色といった強めの色を入れたり、小物で個性的な柄をプラスしたりするという方法は、比較的、失敗がないかもしれません。“とにかくセンスに自信がない”という人は、こういったシンプルなコーデから始めるのも、ひとつの手だと思います。
盛りすぎ=自信のなさ。堂々といれば、カッコよくみえる!
ファッションの盛りすぎは、自信のなさの表れでもあります。なにか物足りない、寂しいと感じて、どんどんアクセや色、柄をプラスしてしまうんですよね。結果、まとまりがなく、ゴチャゴチャしたコーデになってしまうという悪循環。でも、自信がある人は白シャツにデニムだけでも、十分カッコいい。
そういう意味では、“服に着られない”ように自分自身を磨くこと、堂々とふるまうことも大切だと思います。
(取材・文:宮浦彰子)
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※この記事は2019年06月27日に公開されたものです