人と関わる仕事に興味がある人は多いかもしれません。
しかし、いざ人と関わる仕事をはじめようと思うと、「自分に向いているだろうか」「どんな仕事があるのだろう」と悩んでしまうこともあるでしょう。
そこで今回は、これらの疑問に対する答えをキャリアカウンセラーの藤井佐和子さんに解説してもらいました。
向いているのはどんな人なのかや、人と関わる仕事のメリットやデメリット、さらにオススメの職業についてなど、くわしく紹介します。
■人と関わる仕事とは?
多くの人は、仕事をする上で必ず誰かと関わりを持ちます。とはいえ、その関わり方の深さや頻度にはちがいがあるでしょう。したがって、ここでは「人と“深く”“多い頻度”で関わる仕事」を人と関わる仕事と定義します。
◇主な例は「お客様」を持つ仕事
この定義の上でも人と関わる仕事にはさまざまな種類があります。
たとえば、ホテルやレストランのスタッフ、介護士、エステティシャン、ネイリストなど、お客様と同じ空間を共有しながらサービスを提供する仕事や、受付やスーパーのレジ担当など、来た客に短時間で対応する仕事も。
また、アパレルや量販店などでの店舗接客販売や、コールセンターなどでお客様と直接話をしながら物やサービスを売る仕事、新規顧客開拓や既存顧客への提案・セールスを行う営業職なども、人と関わる仕事になります。
Pick up!
・ホテルマン
・レストランのスタッフ
・医者や看護師、介護士
・エステティシャンやネイリスト
・会社の受付
・スーパーのレジ
・アパレル店員
・量販店の販売員
・コールセンターのオペレーター
・営業職全般
etc.
これらの仕事の共通点は、仕事をする相手が「お客様」であるという点です。「人とかかわる仕事」は、すなわち「お客様と関わる仕事」といえるでしょう。
■人と関わる仕事に向いている人とは?
◇向いているのはズバリ「人が好きな人」
人と関わる仕事に向いている人として挙げられるのは、ズバリ「人と関わることが好きな人」です。コミュニケーションが得意で、話をすることが好きだったり、人の話を聞くことが好きだったりする人は、この仕事に向いているといえるでしょう。
◇自分の適性に合った「人と関わる仕事」を探そう
ただし、コミュニケーションが苦手だからといって、人と関わる仕事に向いていないというわけではありません。実際に、デスクワークから接客業へとキャリアチェンジしてうまくいった例もあります。
このケースでは「社内の人間関係がわずらわしく、コミュニケーションを取るのが嫌い」と感じていた人が、お客様相手に仕事をしてみたところ、ストレスが減ってやりがいを感じるようになったというものです。
なぜこの人がうまくいったかというと、「お客様との会話の主軸は常に商品であって、目的が明確である」ということと、「お客様とのお付き合いは長期間ではないため、接客中の時間のみ集中して向き合えばよい」ということに気がついたからだそうです。
■人と関わる仕事のやりがいと注意点
人とかかわる仕事は多岐にわたりますが、やりがいや注意したいことには共通点があります。実際に仕事につく前に、両者を把握しておくとよいでしょう。
◇人とかかわる仕事のやりがいやメリット
まずはやりがいやメリットから見ていきましょう。
☆お客様の反応など見える成果がある
人と関わる仕事のやりがいは、なんといっても自分で直接お客様の反応を見られることではないでしょうか。
お客様から「ありがとう」などの感謝の言葉をかけてもらえることもあります。
また、がんばって成果を出すと、給料に反映されることもあるでしょう。自分の頑張りが給料アップという形で表れることで、やりがいを感じる人もいるようです。
☆時間が自由になることも
どの仕事につくかにもよりますが、時間の自由が利くこともメリットとして挙げられます。
たとえば、シフト制であれば働きたい日時がある程度自分で決められます。直接お客様先に出向いて営業するような仕事の場合には、自分でスケジュール調整ができたり、直行直帰や在宅ワークが許されたりすることもあります。
自分で働く時間や働き方をコントロールしやすいことは、この仕事のメリットのひとつですね。
◇人と関わる仕事の注意点やデメリット
続いて、仕事を選ぶ際に知っておきたいデメリットなどの注意点も見ていきましょう。
☆売り上げやクレームに対する不安を抱える
人と関わる仕事では、商品をどれだけ売るかなどといった成果を求められることが多くあります。人と接することが好きであっても、売り上げ目標がプレッシャーになってしまうこともあるようです。
また、お客様から怒られたり、クレームがあったりするのではという心配も常にあるでしょう。
☆体力・時間・費用が必要になる可能性
人と関わる仕事は多岐にわたるので、仕事によって注意すべき点にも違いがあります。
たとえば、スーパーのレジ担当や店舗販売接客などの仕事では、長時間の立ち仕事が求められることも。その場合はある程度の体力が必要になるため、体力に自信のない人にはデメリットに感じるでしょう。
また、人と関わる仕事には時間や働き方の自由が利く職種もありますが、長時間お客様と接する仕事の場合は在宅ワークができないという注意点もあります。
さらに人とかかわる仕事についている以上はきちんとした服装をしなければいけないので、制服がない仕事の場合は、洋服代がかさむというデメリットもあるかもしれません。
■これからオススメの人と関わる職業5つ
メリットデメリットを理解した上で、やはり人とかかわる仕事に興味のあるようでしたら、ぜひ検討してみてください。
先に述べたさまざまな職種の中でも、特に今後オススメしたい職をピックアップしました。
◇(1)【将来性あり】外国人顧客向けの仕事
来日外国人が増えている中、外国人顧客向けの仕事への需要が高まっています。
外国人顧客向けの仕事として、観光案内、旅館ホテル、飲食店の従業員や、オプショナルツアーのアテンドなどが挙げられます。また、固定客を対象とするのではなく、毎回違うお客様と接する仕事なので、さまざまな人とかかわりたい人にもオススメです。
◇(2)【得意分野を活かせる】教える仕事
人に何かを教える仕事は、教えられるほどの知識や経験が必要ではありますが、今までの経験や学んだ知識を相手に教えることで収入が得られるので、やりがいがあるでしょう。
また、教える仕事には、音楽からビジネスまで幅広い分野があるので、ビジネスチャンスがたくさんあるのもオススメする点のひとつです。
◇(3)【手に職がつく】マッサージ、エステなどでの仕事
マッサージやエステを行う仕事は、手に職がつけられる点がオススメの理由です。
国内はもちろん、世界中に需要のある仕事なので、家庭の事情で転居した場合でも仕事を見つけやすいでしょう。副業として働くこともできるほか、自分の技術力次第で開業の可能性もあるので、将来的に長く続けられる仕事でもあります。
◇(4)【スケジュールが安定】法人営業の仕事
法人相手の営業であれば、勤務時間は平日の日中です。人と接する仕事はしたいけれど土日は休みたいという人や、夜には帰りたいという人にオススメです。
また、個人相手の営業の場合はいろいろなお客様がいて苦労するものですが、法人相手の場合は常識的なやりとりができることが多く、よりやりやすいでしょう。
◇(5)【体力面も安心】コールセンターでの仕事
ホームページの充実や自動音声ガイドの普及で電話応対の機会は減ってきているように感じますが、直接人が回答しないと解決しないことは現在でも多くあります。
今後もなくなる可能性は低い仕事といえるでしょう。
クレームへの対応も求められるなど嫌な面もありますが、室内で座って働けるため、人とかかわる仕事をしたいけれど体力に自信がないという人には特にオススメです。
自分に合った「人と関わる仕事」を!
人と関わる仕事にはいろいろな種類があります。
その中から自分に合ったものを見つけることで、やりがいのある仕事ができるのではないでしょうか。もし興味があるのなら、コミュニケーションが苦手と感じている人や、体力に自信がない人であっても、ぜひ挑戦してほしいものです。
お客様の笑顔や感謝の言葉を身近に感じながら働けるのは、人とかかわる仕事につく人だけの特権ですよ。
(文:藤井佐和子、構成:Kaoru Sawa)
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