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美容男子なんてレベルじゃない。スキンケア愛がすごい「はーたん」の場合 #コスメ垢の履歴書

ひらりさ

みなさんは「コスメ垢」を知っていますか? Twitterでコスメの知識や使用感などを発信するアカウント(=垢)のことで、中の人はほとんど一般人。自分のメモ代わり程度に投稿するだけの人もいれば、140字いっぱいに熱量のあるコスメ語りをする偏愛者も。

この連載では、美容オタク女子ライターひらりささんが、いま気になるコスメ垢にインタビュー。今回は、化粧品の成分や効果などに関するツイートが「専門性が高すぎる!」と話題の、人気コスメ垢・はーたん(@beauty_info_h )さんの実態を探ります。

「ニキビに悩む小6男子」が、コスメに目覚めるまで

――Twitterのフォロワーが4万7,000人を超える(※2018年9月現在)はーたんさん。誰よりも熱心に美容に取り組み、Twitterを中心に美容情報を精力的に発信されていますよね。何より意外なのが、男性だということ。女性の私でも追いつかないほどの知識量ですが、そもそもコスメや美容に興味を持った経緯を教えてください。

きっかけは、小学校6年生のときにニキビができてしまって悩んだことですね。ニキビを改善したりカバーしたりするにはどうしたらいいんだろうと考えて、スキンケアの情報を集めて、いろいろ使いまくっていくうちにコスメや美容全般にハマっていきました。初めて買ったコスメブランドも、いまでも覚えてます。「THE BODY SHOP」です。

――自然派ブランドのはしりですね!

沖縄出身なんですけど、東京の親戚からTHE BODY SHOPのボディソープを送ってもらえることがあって、こっそりあこがれていたブランドだったんですね。その後、沖縄のイオンにTHE BODY SHOPの店舗ができることになり、初めて「自分でコスメを買う」という経験をしたんです。「コスメを自分で選ぶのって、こんなに楽しいんだ!」と思った瞬間でした。

――それが目覚めだったんですね。とはいえ、小学6年生でコスメにそこまで興味を持つ男子は少ないと思います。

より深くハマったのは、高1のときです。それまではずっと雪肌精のローションパックで保湿していたんですが、効果を実感できなくて。そこで、クリニークのスキンケア商品を使ってみたら、肌の調子が変わってニキビが格段にできにくくなりました。実は雪肌精ローションは「プレ化粧水」といって、保湿化粧水の前につける今で言うところの導入液のような存在だったんですよね。あとから化粧品について勉強するようになってから用途にあわせた利用の大切さを実感しましたが、当時思春期ニキビ真っ只中だった私の肌には、クリニークによる角質ケアが有効だったんです。

――コスメオタクの知的欲求をくすぐる、専門的すぎる解説をありがとうございます。はーたんさんのスキンケア愛を感じました。ちなみにTwitterプロフィールには「元化粧品会社マーケティング職」と書かれていますが、いつごろから化粧品業界を志していたんですか?

進路として志望したのは、大学3年生のころですね。実は大学、3回変わっていて。最初は工学部にいたんですよ。でも在学中に「化粧品の企画ができる仕事がある」と知ったんですね。それで一度やめて、分野を転向したんです。より業界に近い学部で勉強したくて。

――それから大学を卒業し、化粧品会社で実際にお仕事してみて、いかがでしたか?

広報とマーケティング、両方の仕事に携わったのですが、とくに広報が楽しかったですね。自分が考えた自社商品のプレスリリースが、実際にメディアに掲載されて、消費者の目にふれるというのが、本当にやりがいがありました。

――その時点で、コスメの情報発信にかかわっていたわけですね。

でも、やっぱり会社員向いてなくて(笑)、辞めてしまいましたね。あと、自分の好きな商品企画とかは全然できないですから。現実問題どこの企業も競合他社を見て商品を開発していくので、すでに存在するものの模倣になってしまう。もともと、いつか自分自身で化粧品をつくって売りたいというのが夢だったので、化粧品会社での仕事はあくまでそのノウハウを勉強するため。長くつとめるつもりはなかったんです。現在は、自分で化粧品会社を立ち上げるために、大学院で勉強しています。

研究のため、新作コスメはひと通り購入!

――すべてのモチベーションがはっきりしていてすごいです。コスメが好きでも、「自分でつくりたい」ところまで行く人は少ないと思います。最近は「美容男子」という言葉もよく耳にしますが、はーたんさんはそのレベルを超えていますよね。

メイクアップのアイテムは、いま市場に出回っているもので満足してるんですけど、スキンケアだけが妥協できないんですよね。自分にとって満足のいく商品は、自分でつくるしかないな、と。

――Twitterやnoteでも、スキンケアのことを一番丁寧に書かれていますよね。フォロワーのみなさんも、はーたんさんにスキンケアについてのお悩みをよく相談されてますし。そもそも、Twitterをはじめたのはいつごろでしょうか?

2013年1月ですね。別に発信しようと思ってはじめたわけではないし、いまもそうなんです。独り言を好き勝手に言っているくらいの気持ちで。コスメの話をリアルでしても、誰もついてきてくれないし(笑)。

――知識量が圧倒的すぎますもんね……。いまはどれくらいの頻度でコスメを買っているんですか?

研究目的なので、新商品はひと通り試していますね。最近はMiMCがマイブームです。今日も、買ったばかりのMiMCのファンデーションを使用しています。ちょっとカバー力が足りないな?とは思うんですけど、落とすのがラクなんですよね。エマルジョンファンデは毛穴落ちしてイマイチだったので、リキッドファンデを使っています。

――私なんかは、「うーん、これは自分には合わないかも」まではわかるんですけど、そうやって合わない理由を言語化できないので、すごい……と思います。

成分と形状をチェックしておけば、ある程度の法則は見えてきますよ。エマルジョンファンデには、体温でとけてやわらかくなる効果をもった固形のあぶらが入っていることが多いんです。それで皮膚での伸びがよくなるわけなんですが、自分の場合、きれいに伸びた試しがないですね。

――なるほど! ということは、新商品をいろいろ試すといっても、買う前の時点である程度は肌との相性を予測されているわけですね。さすがです……。

次回は、インタビュー後編(9月28日公開予定)。謎のベールに包まれた、はーたんさんのメイクポーチを覗きます。

(取材・文:ひらりさ、構成:マイナビウーマン編集部)

※この記事は2018年09月25日に公開されたものです

ひらりさ

1989年生まれ、東京都出身。ライター・編集者。女性・お金・BLなどに関わるインタビュー記事やコラムを手掛けるほか、オタク女性4人によるサークル「劇団雌猫」のメンバーとしても活動。主な編著書に『浪費図鑑』(小学館)、『だから私はメイクする』(柏書房)など。

ブログ:It all depends on the liver.
Twitter:@sarirahira

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