女の理性を狂わせる男の正体 #純粋すぎる俺たちの恋愛
浮気、借金、モラハラ……。いわゆる「ダメ男」を好きになってしまい、泣かされた経験のある女性も多いのではないだろうか。だけど男性側にも、そのような行動をとってしまう理由がある。そう、彼らに言わせてみれば、純粋な気持ちで恋愛しているだけなのだ。恋愛コラムニストの桐谷ヨウさんとマイナビウーマン編集部が、ダメ男の心理を徹底分析する連載【純粋すぎる俺たちの恋愛】。ダメ男に縁があるすべての女性に捧げます。
今回話を聞くのは、広告代理店で営業をしているタカシさん(仮名/27歳)。部署で売り上げがトップの彼は、会社からの期待も大。見た目はやさしいクマさんそのもので、くしゃっと笑った表情が母性本能をくすぐります。噂によると彼は女性の理性を狂わせて、ダメ女へと変えてしまうそうですが、その真相はいかに。
元カノはみんな、理性をどこかに忘れてきた
――はじめまして、マイナビウーマン編集部です。本日はよろしくお願いいたします。聞くところによると、タカシさんはダメ女製造工場の責任者らしいですね。
タカシ ベルトコンベアに乗ってきた女性を華麗にダメ女へと変身させます。
桐谷ヨウ これは腕がなるな! さっそく工場長の秘密を聞かせてください!
実家に突撃訪問する子、GPSをつける子、鬼電する子
桐谷ヨウ そもそもダメ女製造工場の責任者っていう自覚はあるの?
タカシ 最初はまったく自覚がなくて! 友だちに歴代の彼女の話をしたら「それ、頭おかしい女じゃん!」って言われてハッとしました。
桐谷ヨウ じゃあ歴代の彼女の話をしてもらおうか。
タカシ 歴史のはじまりは高校1年生。付き合っている女の子から電話がきて「今なにしてるの?」って聞かれたんです。で、「家で寝てた」って答えると「今家の前にいるよっ!」って。窓の外を見たら、笑顔で手を振ってる彼女の姿が。
桐谷ヨウ 笑顔で手を振ってる、その無邪気さが……。
――高校1年生でその仕上がりだと、今ごろものすごいストーキング技術を取得してそうですね。
タカシ しまいには「家に入れて!」なんて言い出して。おいおい、どういう神経してんだよ……って思いつつ、家に入れちゃうぼくがいた。
桐谷ヨウ そこ入れちゃダメでしょ!! その子味しめちゃうじゃん!
――タカシさんが工場長を務められる理由がなんとなく見えてきましたね。次の彼女はどうでした?
タカシ 大学生のときに付き合ってた子ですね、友だちと飲んでたら、例のごとく「今なにしてるの?」ってLINEがきて。面倒だから家にいるって嘘ついたんです。そしたら、「家じゃないじゃん。なんで嘘つくの?」って。え、なに? 監視されてる? って恐怖でサーっと血の気が引いてレモンサワーの酔いが一気に冷めました。
桐谷ヨウ うわっ! GPSつけられたんですか?
タカシ そう! スマホにGPSのアプリを勝手に入れられてて。でも浮気とかやましいことをしてるわけじゃないから、GPSを容認したんです。まあいいや~って。
――いや全然よくないですよ。だって信用されてないってことですからね? しかもタカシさんが過去に浮気をしたとかならまだしも、彼女を不安にさせる要素はまったくないわけじゃないですか。もしかして、「心の広いぼく」みたいな感じで自分に酔ってます?
タカシ えー、でも彼女が安心するなら、好きなようにさせてあげたいじゃないですか。それで世界の平和は保たれるなら安いもんですよ。GPSを外して彼女と戦争するより、よっぽど生産性がある。
桐谷ヨウ 言ってることはわかるけど、ダメ女製造工場長としての生産性を上げてるだけな気が……。で、ほかには?
タカシ 社会人1年目のときの彼女は、連絡頻度がえぐかったな。連絡を返さないと着信履歴が彼女の名前で埋まるんですよ。あるとき、彼女に連絡を返さないで寝ちゃったんです。
桐谷ヨウ このあとのストーリー展開はだいたい予想できるな。
タカシ 朝起きたら、夜中から数分前まで15分おきに着信があったんですよ。ってことは、ずっと起きてたってことじゃないですか! だからぼく、彼女のことが心配になっちゃって。思わず「寝てないの?」って電話して聞きました。
桐谷ヨウ ちがうちがう、そこじゃないでしょ!!(笑)
タカシ 出社したら、同期の男に「おまえ昨日なんかあったの?」って言われて。くわしく話を聞くと、彼女が同期にFacebookでメッセージしてたみたいなんですよ。「タカシくんと連絡とれないんだけど、生きてるか心配!」って。しかもその同期と彼女、面識ないですからね。
桐谷ヨウ えー! ってことは、わざわざタカシさんの安否を確認するために、知らない人にコンタクトをとったってこと? マジで不安だったんだろうけど、すごい行動力だね。
タカシ しかし当時のぼくは、彼女を心配させてしまった申し訳ないって気持ちで胸がいっぱいに。
――偽善の押し売りですか?
仕入から出荷までの過程と、女性たちのその後
桐谷ヨウ ダメ女要素の強い女性を引いてしまうのか、それともいたって普通の女性をダメ女へと変えてしまっているのか。どっちだと思う?
――どっちもイヤ。
タカシ たぶん後者ですね。昔は尽くしてくれそうな子を選んでたんです。でもそういう子って“自分”を持ってないんですよね。「あなたにすべてを委ねます!」みたいな。
桐谷ヨウ そういう子は自分の趣味とかやりたいことがないから、彼氏が世界のすべてになって、束縛に走りがちがよね。
タカシ だから次に付き合う人は、自分を持っているっていうか、自分のやりたいことがしっかりある子にしようって心に決めたんです。でも結局、次に付き合った子も途中から様子がおかしくなっちゃって……。
――またですか? 今度は会社に押しかけられたとか?
タカシ いや、今までの彼女みたいな束縛はないんです。ただ、ぼくのことをすんごい見下すんですよね。下僕と思ってるみたい。気も使ってくれなくなっちゃった。最初のころはやさしかったのに……。
桐谷ヨウ 超絶ワガママってことですか?
タカシ そうですね……。この間、知り合いから焼肉の食事券をもらったから、一緒に行こうってなったんですよ。でも当日になったら「お寿司食べに行く?」って聞かれて。
――ワガママっていうか、ニワトリ? 3歩あるくと忘れちゃうの?
タカシ ぼくも「え?」ってなりました。彼女からすると、ぼくがお寿司好きだから、ぼくのためを思って提案したらしいんですよ。いやでも今日は焼肉ってことだったじゃん? って反論したら、キレ気味に「タカシのためを思って言ったのに!! もう帰る!」って。本当にぼくのことを思っていたら、そんな提案しないでしょ……。
桐谷ヨウ 思いやりという名の押し付け! そこはもちろん、焼肉に行きましたよね?
タカシ もちろんお寿司を食べに行きました。
――自分の意志というものをお母さんのお腹に忘れてきたんですか?
タカシ 女性からの要求はだいたい受け入れちゃうんですよ。ぼくが我慢すればいいやって。
――女性を甘やかしすぎ! それは下僕と思われても仕方ないです。ていうかもう下僕でよくないですか?
桐谷ヨウ 悪い意味で、相手の女性を受け入れすぎてるよ……。これはもうタカシさんが普通の女性をダメ女に変貌させてるってことで! 世の女性たちのためにも、今後は彼女をつくらないでいただきたい。
タカシ でもぼくと付き合って別れた女の子は、次の彼氏と必ず結婚するんですよ!!
――なんですか? そのジンクス。
桐谷ヨウ アツい(笑)。
タカシ ぼくと付き合うと本能ボルテージが最高潮になるけど、別れることで目を覚ますみたいです。正気に戻るというか。で、いい女に生まれ変わるのかも。
――タカシ神社と名づけましょう。出雲大社と肩並べられるかも。
桐谷ヨウ タカシ工場は、ダメな女を出荷するんじゃなくて、結婚できる女に仕上げることがゴールなんですね。素晴らしい社会貢献じゃないですか! このままその役割を担って、全国の女性を結婚へとどんどん導いて行ってください!
タカシ ぼくの幸せ考えて!!
偽善者の権化みたいなタカシさんは、女性のリミッターを解除してしまうのが上手なのかもしれません。タカシさんは相手のためを思って下手に出てあげているようですが、それが逆効果に。対等じゃない関係は一緒にいても苦痛になるだけです。だけど、結婚したいのにできない! と悩んでいる女性は、一度タカシさんと付き合ってみるのも手。すぐに縁結びの御利益があるかもしれません。
次回は、付き合っていない女性のクレジットカードを使い込んだ【女をゴミのように扱う男】が登場します。
(取材協力:桐谷ヨウ、文・撮影:マイナビウーマン編集部)
※この記事は2018年07月18日に公開されたものです