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かわいいだけじゃない。千葉雄大29歳が秘めた熱意

高橋千里

あこがれの人、がんばってる人、共感できる人。それと、ただ単純に好きだなって思える人。そんな誰かの決断が、自分の決断をあと押ししてくれることってある。20~30代のマイナビウーマン読者と同世代の編集部が「今話を聞いてみたい!」と思う人物に会って、その人の生き方を切り取るインタビュー連載【Lifeview(ライフビュー)】。

あどけない容姿に、天使みたいにふんわりとした雰囲気。千葉雄大という俳優に、このようにかわいらしいイメージを持つ人も多いのではないだろうか。しかし実際に会ってみると理知的で落ち着きがあり、思ったことを包み隠さず本音で話してくれる正直な人だった。

「たまにこうやってインタビューしていただいたときに、『意外とクールなんですね』と言われることはあります。『え~、そんなことないです~』みたいなかわいいイメージだったのかな。本当の自分はテキパキと段取りをつけて仕事するタイプです」

「たまに毒も吐くよね?(笑)」そう話を振ってきたのは、カメラマンの須田卓馬さん。大学生になって上京した千葉さんが雑誌の読者モデルをはじめたころから撮影をしていて、今年発売されたカレンダーでも撮影を担当。プライベートでも親交があり10年来の付き合いだという。

撮影現場に流れていた曲は、須田さんチョイスの90年代J-POPメドレー。現場の緊張感は解きほぐれ、インタビューでも少しずつ本音を打ち明けてくれた。

かわいい演技を求められたら、それ以上のものを返したい

「高校生時代は、わりと地味な生活をしていて、何事にも消極的でした。この仕事で食べていこうとも思っていなかったですし。だけど大学3年生の就活時期になったとき、自分の好きなことってなんだろうと考えはじめたんですよね。映画が好きだったから制作側に就くことも考えたけど、出る側として1回冒険してみたくなったんです」

学業と両立して、必要最低限のことだけをこなしていたというモデル時代とはまたちがう。彼の中にひとつの覚悟が生まれたタイミングだった。

「もうすぐ10年が経ちますけど、根本的な仕事観はそんなに変わらないです。僕自身、現場がすごく好きなんですよ。いろんな人が一瞬のためにたくさん動いて、怒って怒られて、静かに本番を迎える瞬間とか。すべての仕事が結集しているのが、みんなで作っている感じがして。そういうところに身を置けるのがうれしいです」

多くの女性をキュンとさせる愛らしい見た目から、かわいらしい表情作りや演技も得意分野。それに何か抵抗があるわけではないが、役者として損をする部分もあると語る。

「クールな役のときも、かわいいという先入観を持たれちゃうのは損ですよね。あとは『かわいい感じでお願いします』と言われることが続いたとき、ちょっと飽きてしまって(笑)。そのときは、求められることにただ応えるだけだったんです。だけど今は、求めている以上のことを返せばなんとでもやりようがある。自分の芝居次第だと思うようになりました」

新しい挑戦をするときの緊張感が、やりがいにつながっている

かわいいだけじゃ終わらない。29歳になった千葉雄大さんは、そんな自身との共通点を持つ役に挑戦した。世界的に有名なベストセラー絵本『ピーターラビット』の実写映画版、主人公・ピーターラビットの日本語吹き替えだった。

「出演が決まったときはすごくうれしかったです。声優のお仕事は初めてではないんですけど、その中でもこの作品はピーターラビットがずっと喋っているので、出番が多い分なかなか大変でした。たとえば前向きになろうとしながらも切ない気持ちを感じているシーンとか。声で繊細な感情表現をするのは難しいなと、改めて思いましたね」

ピーターラビットは、かわいいように見えて実は野生的で、挑戦意欲にあふれる一面も持つ。千葉さんも同じく、今回の仕事では声の演技に全力で取り組んだ。

「一音ちがっただけでも、感情がまったくちがうように捉えられてしまうこともあるんです。まずは一度思いっきり演じてから、監督のアドバイスでちょっと引いてみたりして。細かく調整することの大切さを覚えました」

そのときの様子を思い出しながら、真剣に、だけど楽しそうに話す千葉雄大さん。声だけとはいえ“演じる楽しさ”はドラマや舞台と変わらないのだろう。最後に、俳優という仕事の魅力について聞いてみた。

「すごく刺激がある仕事だと思います。何事も慣れると“こなす”感覚になってしまうけど、この仕事は初めてのことがたくさんあるので。今でも新しいことに挑戦するときはいつも緊張しますけど、その緊張感が多分いいことだと思うし、やりがいもありますね」

ひとつの仕事を極めてスポットライトを浴び続けるのは、そう簡単なことじゃない。何事にも全力で挑戦してきた、その積み重ねがあって今の“千葉雄大”が存在しているのだろう。このインタビューを横から聞いていた、10年間ずっと彼を見守ってきたカメラマンの須田さんが、どこか感慨深いような表情をしていたのも印象的だった。

これから先の10年は俳優としてどんな顔を見せるのか。かわいいだけじゃ終わらないし、終わらせない。そんな彼の静かな熱意が、今後も多くの人の心を動かすことだろう。

映画『ピーターラビット』

ピーターは世界で一番幸せなウサギ。たくさんの仲間に囲まれ、画家のビアという心やさしい大親友もいる。亡き両親のことを想うと寂しいけれど、ビアの存在がすべてを吹き飛ばしてくれる。ところがある日、大都会ロンドンから潔癖症で動物嫌いのマグレガーが隣に引っ越してきたことで、ピーターの生活は一変! 今までの幸せを守りたいピーターと、あの手この手で動物たちを追い払おうとするマグレガーとの争いはエスカレート。さらにビアへの“恋心”も絡まって思わぬ大事件に発展! ピーターはあるミッションを秘めて、初めてのロンドンへと向かうのだが――。

2018年5月18日から公開中

(取材・文:高橋千里/マイナビウーマン編集部、撮影:須田卓馬)

※この記事は2018年05月22日に公開されたものです

高橋千里

高橋千里(たかはし ちさと)

2016年にマイナビ中途入社→2020年までマイナビウーマン編集部に所属。芸能人インタビューやコラムなど、20本以上の連載・特集の編集を担当。2021年からフリーの編集者・ライターとして独立。女性向けジャンル(恋愛・美容・エンタメなど)を中心に活動中。女子アイドル、恋リア、コスメ、お酒が好き!

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