男っぽいアピールがすごい「サバサバ風な女」 #イヤな女
オフィス内や仕事の取引で出会ってしまう「なんか苦手な女性」「好きになれない女性」、はっきり言っちゃえば「イヤな女」。彼女たちの「あるある言動」をもとに、なぜこうしたことをするのか、背景にある心理はなにか、ぱぷりこさんに分析・解体してもらいます。
「サバサバ風な女」のあるある言動
「私、性格がオッサンだからさ。黙ってればモテるのに、っていつも言われる(笑)」
「合理的じゃないことが嫌いで、すぐ正論を言っちゃうんだよね」
「やっぱりチームメンバーは男性のほうが楽だなー」
「なにあのぶりっ子な格好。ここオフィスだよ? 婚活会場じゃないっての」
「サバサバ風な女」とは、自分のことを「サバサバしている女」「男っぽい女」と称し、なにかにつけて「私はサバサバ」プレゼンをしてくる女性です。
仕事での彼女たちは、言いたいことをガンガン言うタイプ。それだけならいいのですが、言動がキツく攻撃的で、同僚や取引先と衝突しがち。しかし、そんな場合でも、彼女たちは「あ、ごめんね? 私、毒舌なもんで」「合理的じゃないこと嫌いで、すぐ正論を言っちゃうんだよね」「なに細かいところウジウジ気にしてんの。私ぜんぜん気にしないよ?」と正当化します。
また、「男っぽいから男性と仲がいい」アッピールもよくします。「ほら、私、性格が男だからさーやっぱり女性メンバーより男性メンバーのほうが付き合いやすいんだよね」「後輩男子とまた徹夜で飲んじゃったよー」などと仲がいいことをプレゼンしながら、「あ、でも夜ずっと一緒だからってなんにもないよ? 『男にしか見えない』ってよく言われるし」「黙ってればモテるのにってよく言われる」といった「男性とは仲いいけど男性として扱われてる」という謎フォローも入れてきます。飲み会でも「あ、私カクテルとかそういうかわいいのは飲めないから、テキーラ組に行くわ−」と、男性側にすぐ移動します。
男性を「仲間」として扱う一方、サバサバ風の女は、女性らしい格好をしている「誰から見ても女子っぽい女子」を嫌います。「ああいうモテ服ってよく着れるよね」「会社にパステル色の服とか、TPOを知らないのかな? “私は会社の華★”とか思ってるんじゃん? 痛い(笑)」などと、「女子っぽい子に故郷の村でも焼かれたの?」と思うほどの敵視っぷり。
サバサバしてると言いながらまったくサバサバしていないし、目をつけられると敵視されるしで、面倒くさいことこのうえありません。
サバサバ風の女は、なぜこんな言動をする?
なぜサバサバ風の女は、ぜんぜんサバサバしていないのに「サバサバです」アッピールをするのでしょうか?
それは、「女としての自分」に自信がなく、コンプレックスが強いから。でも、男性から好かれたいし、モテたいから。
「サバサバ風な女」に限らず、「私はこういう人間ですプレゼン」をする人には、「こう見られたい! という理想があるけど、現実はちがう」という共通点があります。
彼女たちは自分のことを「男っぽい」と称しますが、言葉どおりに、男性のように扱われたいわけではありません。本当は男性からチヤホヤされたいしモテたいのですが、「自分の容姿や言動が女っぽくない」と思っており、「女としての自分」に自信がありません。
言動のキツさも「私は女っぽくない」というコンプレックスに拍車をかけます。彼女たちの言動が攻撃的になるのは、いつも自意識とコンプレックスと不満でいっぱいいっぱいで、他人に配慮するリソースが不足しているから。かつ、自分のほしいものを持っている女性が羨ましいから。そのため、男性からの好意を集める女性にはことさら攻撃的になります。
このように、相手によって態度を変えて攻撃する人間は、男女問わずモテません。この「モテたいのにモテない」というツラい現実を打破する呪文が「私は男っぽいしサバサバしてるから」です。
この呪文は、「男友だちが多く後輩男子から慕われる=男性からモテる自分」という理想のプロパガンダと、「男っぽいから友だちどまりで恋人になれない=男性からモテない自分」という現実への言い訳、2つの役割を同時に果たしています。なんと都合のいい言霊でしょう。デフレの煽りを受けて財布の紐が固くなっているサバサバ風の女も、思わずニッコリして多用するほどの圧倒的コストパフォーマンスです。
サバサバ風な女に出会ってしまったら?
「サバサバ風の女」は、「女としての自分に自信がなくコンプレックスが強いけど、男性からチヤホヤされたい女」です。
もともと「サバサバ」とは「気分がすっきりするさま。さわやかになるさま」「物事にこだわらず、あっさりしているさま」(デジタル大辞泉)という意味ですが、彼女たちは自信がないゆえに「自分が周囲からどう見られるか」にめちゃくちゃこだわっていて、「私をこうやって扱って!」と求めてきます。すっきり★さっぱり★どころではなく、むしろ自意識ねっとり★こってり★丼。なので、身近にいると「言ってることとやってることがちがう……」「一緒にいるとなんか疲れる……」とじわじわ疲弊していきます。
ああ、なんてイヤな女なんでしょう! はい、関わるのやめやめー退散退散ー、と言いたいところですが、仕事上、関わらざるをえない場合はどうすればいいのでしょうか。
ひとつは、彼女たちがほしい言葉をかけることです。サバサバ風の女は「女としての自分」を認めてほしすぎて面倒くさい言動を取るので、「足の形がキレイだから、タイトスカートがとても似合いますよね」など女っぽさを強調しつつ褒めると、風当たりが弱まる可能性があります(ただしこの方法を男性がやると、即座に恋愛対象としてロックオンされるので、「まじ男だよね」というスタンスを貫く必要があります)。
もうひとつは、言動の背景を理解することです。サバサバ風の女が抱えるコンプレックスや「異性に好かれたい」という願望は、多かれ少なかれ誰でも持っているものです。特に若い頃は、誰もが自分を特別に思いたがり、理想に近づこうと努力と失敗を繰り返し、現実を認めて、自意識と折り合いをつけていきます。「サバサバ風の女は今まさに荒ぶる自意識と格闘している真っ最中」と考えることで、面倒くさい言動を受け流せるようになるかもしれません。
(文:ぱぷりこ、イラスト:黒猫まな子)
※この記事は2018年02月12日に公開されたものです