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【マネーレッスン】他人事じゃない! もし今すぐ「介護」が必要になったら?

ヨダヒロコ/六識

風呂内 亜矢

風呂内 床をフラットにするなど自宅を介護用にリフォームするのであれば、その分の費用が発生します。また車椅子やベッド、おむつなどの介護用品も日常的に必要ですね。とはいえ、家のバリアフリーリフォームについては所得税や固定資産税が減税される制度が使える年があったり、自治体によっては助成を出しているところもあります。車椅子の貸し出しやおむつ費用を支給をしている自治体も多いですね。両親が住んでいる自治体にはどんなサービスや助成があるのかを調べて、活用するのもポイントです。

編集部 公的な制度をしっかり理解して、有効活用すれば、ふうさんはそこまで不安に思う必要はないということですね。

風呂内 はい。ひとつ問題があるとすれば、介護が発生したときに、ふうさん自身が今と同じペースで仕事ができない可能性があるということです。特別養護老人ホーム(介護が常に必要で、在宅では生活が困難になった高齢者が入居できる福祉施設のひとつ)に入れれば、月10万円程度の負担で済みますし、ふうさんも仕事を続けられますが、今はどこも待ち行列で、入所は難しい状況。在宅で介護される方が多いのが現実です。そうなると、介護費用はまかなえても、自分が生きていく上での生活費を補填するのが大変に。未婚であれば、余計にその覚悟はしておくべきかもしれません。

編集部 確かにそうですね。ただ、ふうさんには1年以上付き合っている彼がいて、結婚も視野に入れているようです。結婚すれば、いざ介護が発生したとしても、生活費はなんとかなりそうです。その一方で、彼がひとりっ子だったり、長男だったりすると、相手の両親に対する「介護」も気になるところ。その場合、彼と結婚前に具体的なすり合わせをしておくべきなのでしょうか。

風呂内 すり合わせしておきたいですが、彼に「自分の両親を介護するつもりはある?」とダイレクトに聞くのは、実際には難しいでしょうね。恐らく聞けても、兄弟構成や親との距離感くらいかと。あとは、結婚後にお互いの両親の介護問題について忌憚なく話ができる関係性をしっかり築いておくことが大事です。どうしても気になるようなら、「ひとりっ子だから、親の介護は私がしなくちゃいけないんだけど……」など自分の相談をして、相手の反応を見るのもひとつの手でしょう。

編集部 なるほど。幸いにも、彼女は余裕のあるお金の使い方をしているので、介護で多少収入が減っても、とたんに生活に困るということはなさそうですが……。

風呂内 そうですね。家計簿を見てもムダ遣いをしている項目はありませんし、しっかり貯蓄もしていますので、現状維持を心がけていただければ。その一方で、自分名義の貯蓄額を把握していないのは非常に気になります。

編集部 普通預金ではなくMMFをしているので、評価額(投資信託分の資産の合計)がはっきりしていないのかもしれません。

風呂内 投資をしているのであれば、どこの口座になにがあって、現時点での評価額はいくらなのかを記した資産リストは作ったほうがいいですね。自分の持っている余裕資金がわかっていないと、たとえば介護費用に300万円くらい必要だと聞いても安心できませんよね。何かあったときに用立てできるのかできないのか、その判断がすぐできるようにするためにも、自分の資産はしっかり把握するようにしましょう。

またふうさんのMMFが外貨MMFの場合、2016年1月から課税の制度が変わることにも注意を。これまで外貨MMFで為替差益が出ても課税されませんでしたが、今後は約20%の税金がかかることに。もしふうさんのMMFに既に為替差益が出ているのなら、2015年のうちに売却して利益を確定するほうがいいか、検討したほうがよさそうです。

◆今回のおさらい
・公的介護サービスを活用すれば、必要以上に「介護」の心配をしなくてもOK
両親が介護状態になったときには、まず自治体から「要介護・要支援認定」を受けることが先決。いずれかの認定がされれば、それぞれの限度額に応じて、公的介護サービスを1~2割の自己負担で受けることができます。また自己負担額がかさんでも、4万4,400円を上限に、「高額介護サービス費」として払い戻されるため、介護費用について過剰に心配する必要はありません。ただ、在宅介護により自分の仕事(収入)に制限が生まれる可能性もあるため、自分の資産がいくらあるのかはしっかり把握を。特に、投資などで資産を分散させている場合は、どこにいくらあるのか一目でわかるようにリスト化しておきましょう。

(取材・文:ヨダヒロコ/六識)

※この記事は2015年12月24日に公開されたものです

ヨダヒロコ/六識

女性向けライフスタイル情報誌&Webサイトの編集者を経て、 2013年に制作プロダクション「六識」をスタート。「働く女性が笑顔でいられる生き方を応援したい」という想いで、グルメや美容、マネー、恋愛・結婚をテーマにした記事の構成~執筆を行う。2児の母として、時短グッズの情報収集に余念がない。仕事・家事・育児に追われる日々の中、月に一度のネイルが癒しに。

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風呂内 亜矢

1級ファイナンシャル・プランニング技能士(国家資格)
IT企業に勤めていた26歳のとき、貯金80万円でマンションを衝動買いしたことをきっかけにお金の勉強と貯金を始める。現在は自宅を含め夫婦で4つの物件を保有し、賃料収入を得ている。テレビ、ラジオ、雑誌などメディア実績も多数。著書に『貯金80万円、独身の私にもできた! 自宅マンションを買って「お金の不安」に備える方法』、『その節約はキケンです』がある。
●公式サイト:http://www.furouchi.com/

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