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専門家 カップル

激しいケンカはもしやDV!? 専門家に聞く、ケンカとDVモラハラの線引きとは

伊藤康江

最近、よく耳にすることが多い“DV(ドメスティックバイオレンス)”“モラハラ(モラルハラスメント)”。犬も食わない痴話ゲンカならまだしも、エスカレートしてきて「これってケンカなの? 」と疑問をいだくような激しいケンカは、DVやモラハラの可能性があります。実際にアンケートに寄せられたカップルの激しいケンカエピソードを事例に、心理カウンセラーの小高千枝先生に、DVやモラハラとただのケンカの違い、被害を受けている場合の対処法などを伺っていきます。

<お話を伺ったのは>

小高千枝先生

大手派遣会社にてコーディネイター兼キャリアカウンセラーとして従事後、女性用のカウンセリングルームを南青山に開業。2010年には男性、女性ともにカウンセリングを受けることができるメンタルケアサロン「Pureral」を広尾に開業。心理カウンセラー、メンタルトレーナーとしてうつ、DV、モラハラ、男女問題などの個人カウンセリングのほか、セミナー講師やメディア活動などを通し、日本に根付いていないカウンセリング文化、メンタルケアのあり方を伝える。

■DVやモラハラの定義って?

彼氏がいたことのある女性189名にアンケートをとったところ、ケンカの際に怒鳴られたことのある人が12.2%、暴力を振るわれたことがある人が2.6%という結果でした。

――DVやモラハラの定義とは、どのようなものでしょうか?

小高先生:DVには殴る、蹴るなどの身体的暴力や人格を否定する精神的暴力、家族や友人と連絡を取らせない社会的暴力、仕事をさせない、生活費を渡さないなどの経済的暴力、セックスの強要などの性的暴力などがあります。怒鳴る=DVではないのですが、基本、怒鳴る+暴力がセットになることが多いです。モラハラは、DVの中の精神的暴力のことを指します。身体的暴力はともなわず、言葉や態度で攻撃してきます。“痛い”という感覚がない分、心にすり込まれていってしまうのが、モラハラの怖いところです。最近、急増しているのがこのモラハラで、立証しにくい上、マインドコントロールされている場合、被害者が被害にあっていると気づきにくい面があり問題となっています。

●DVとは

・殴る、蹴るなどの身体的暴力
・人格を否定する精神的暴力
・家族や友人と連絡を取らせない社会的暴力
・仕事をさせない、生活費を渡さないなどの経済的暴力
・セックスの強要などの性的暴力

●モラハラとは

・DVの中の精神的暴力のこと
・“痛い”という感覚がない分、心にすり込まれる
・被害者が被害にあっていると気づきにくい

■彼氏に怒鳴られるような激しいケンカをした女性のエピソード

――実際にモラハラを受けている女性は、数値で見るよりも多いということなのですね。では、彼と激しいケンカをしたことのある女性のエピソードをもとに、DVやモラハラかどうかの線引きと、こういう行動をとる男性の心理を教えてください。 

●モラハラではない、ただのケンカ

・「嫁姑問題でケンカをしていた時に、すごく怒鳴られた。でもひるまず応戦しました」(31歳/主婦)

・「はずみで“別れる”て言ったら、「なんでそんなこと言うんだ!」と。怒鳴られると思わなかったのでびっくり」(28歳/アパレル・繊維/販売・サービス系)

小高先生:上のように応戦できる状態はケンカの部類。しかも夫婦間の離婚につながりかねない問題は、ため込まずに向き合った方がいいです。感情をぶつけあううちに、だんだん気持ちの振れ幅が小さくなっていくはず。下の“はずみ”で怒らせるようなことを言うのは、最初の可愛いうちは許されますが、何度も相手を試すような発言は関係を悪化させる心配があります。

●モラハラの入り口

・「些細なことで、よく怒鳴られる」(28歳/ホテル・旅行・アミューズメント/販売職・サービス系)

・「彼が浮気をし、問い詰めたら逆切れされた」(24歳/専門サービス/事務系専門職)

・「気に入らないことがあると、逆切れしたり、黙り込む」(32歳/学校・教育関連/技術職)

小高先生:この3例は、モラハラの入り口ですね。些細なことでしょっちゅう怒鳴るのは、弱さのあらわれ。弱いからこそ、自己防衛のために怒鳴るんです。身振り手振りを大きくして、自分を大きく見せようとしたりもします。逆切れするのはプライドが高く、支配欲が強く、でも弱い男。黙り込むのは、感情的になった際に男性ホルモンが分泌されるため、それを落ち着かせるために必要な時間でもあります。ただ、“だんまり”があまりにも続いて“無視”になると存在を否定する行為になるので、人格否定とも言えます。攻撃的な“だんまり”もモラハラですね。

●ややモラハラ

・「別れるとき、家の前で大きな声で怒鳴られた。怖くなって、一方的に怒鳴られるだけになったし、近所迷惑で恥ずかしかった」(30歳/団体・公益法人・官公庁/その他)

小高先生: “一方的”だったり、“怖い”という感情があった点から、ややモラハラ気味と言えます。モラハラ、DVとケンカの違いは、自分の意志表現が自由にでき、相手にコントロールされていない状態かどうかということが重要になってきます。

●モラハラです!!

・「明らかに彼の方が悪いのに、口で言い負かす」(30歳/運輸・倉庫/事務系専門職)

・「手は上げないけれど、すごいヒステリックになって逃げられないように壁際まで押しやって暴言を吐く」(28歳/機械・精密機器/受付)

小高先生:理詰めでの攻撃や壁に追いやって威圧感を与えている行為は、完全にモラハラです。手は上げていなくても、理不尽な怒りによる鬼の形相を見せつけることや、視覚的な恐怖感を与えることも精神的苦痛になります。

●要注意なパターン

・「普段は無口なのに爆発したのか、いきなり怒鳴って切れられたけど、何を言いたいのかわからなかった」(32歳/団体・公益法人・官公庁/事務系専門職)

・「突然、お前といるとムカつくと言われる」(29歳/医療・福祉/専門職)

小高先生:突然豹変するパターンは要注意!! 自分のことをセルフコントロールできない、モラハラ男に多いタイプです。特に普段は無口なのに、豹変する場合、このパターンに慣れてしまうと危険です。どんどん彼女が彼の支配下に置かれていき、望まない結果を招く恐れがあります。

“怒鳴る”男というのは、自分に自信がなく、その自信のない部分を相手に指摘されたくないため、先手をうち、一方的に言い負かすことで自分の居心地のいい環境を作ろうとしているのです。

■彼氏に暴力を振るわれた女性のエピソード

 ――次に実際に暴力を振るわれたことがある女性のエピソードです。暴力の程度もいろいろありますが、先生の見解を聞かせてください。

●どんどんエスカレートする危険がある

・「なんだその態度は!」と言って蹴られた。(30歳/機械・精密機器/事務系専門職)

小高先生:人格否定につながる危険があります。さらに“認知的不協和”と言って、よくDV被害者にも見られる“矛盾を解消しようとする心理作用”が芽生え、彼女が彼の言うことを聞くことで、どんどん暴力がエスカレートする可能性をはらんでいます。

●すぐに逃げてください!

・「頭が割れたり、いろいろありましたよ。警察沙汰にも何度も……」(33歳/生保・損保/営業職)

・「頭に血が上ってしまったのか、胸ぐらをつかまれて壁に押し当てられた」(26歳/運輸・倉庫/秘書・アシスタント職)

小高先生:直ちに弁護士など専門家を立ててシェルターに避難したり、実家や友だちの家へ逃げる必要があります。基本的に理不尽な暴力行為はDVです。

●DVに該当するかどうかは微妙

・「暴言を吐きまくっていたら、相手も我慢ならず、パンチを寸止めししようとしたら見事に目にあたってしまい、皮下出血ができてしまった」(33歳/医療・福祉/専門職)

小高先生:「暴言を吐きまくっていた」ことは理由はどうであれ、相手を傷つける行為です。暴力行為はいけませんが、お互いに非はあると思います。暴力といっても“はたいたら蹴り返された”や“プロレス技をかけられた”などは二人の価値観によります。兄弟げんかのようであったり、それを楽しんでいるのであればDVにはなりません。

■DVやモラハラ男に共通する特徴

――どんな男性がモラハラやDVを行うのでしょう。我々女性に見抜ける特徴などあるのでしょうか?

小高先生:プライドが高く、でも自分に自信がない弱い男です。自信がないからこそ、他人からの評価、他人の目を気にし、周囲にはいい人と映ることが多いです。
また、その自信のなさを認めたくないため、自分より弱い人間を拘束する傾向があります。人より優位に立つことで、相手を無能呼ばわりしたり、人格を否定するようなことを言います。
“お前のために”が口癖で、何かにつけ“お前のような駄目人間のために、わざわざやってあげているんだ。感謝しろ”というような発言をしたりします。何でも人のせいにして、“自分は仕方なくやった”というポジションを保ち、自分が悪いという意識がありません。
また、嫉妬心、支配欲、独占欲が強く、彼女を奴隷や所有物のように扱います。彼女の行動を把握しようとして監視したり、束縛したり、家族や友人との交流を阻んだりもします。
特にモラハラ男は賢い人が多いです。言葉巧みに相手を自分の支配下に置いていくのが特徴です。

●モラハラDV彼氏の特徴(たくさんあてはまったら要注意)

□プライドが高いが、自分に自信がない
□まわりにはいい人で通っている
□自分より弱い人間を束縛したがる
□相手を無能呼ばわりしたり、人格を否定する
□「お前のためにやってる」が口癖
□自分は悪くないと思っている
□嫉妬心、支配欲、独占欲が強い
□彼女を奴隷や所有物のように扱う
□彼女の行動をすべて把握しようとしたり、監視、束縛する
□暴力を振るう
□暴力は振るわないが頭の回転が早く言葉巧みにコントロールする

■アンケートから分類したモラハラDV彼氏の実態

働く女性に自分のまわりのDV&モラハラ彼氏について聞いてみたところ、たくさんの目撃情報、被害情報が寄せられました。小高先生に教えていただいた特徴を元に、エピソードを分類してみました。

●人格否定系彼氏

・「友だちの旦那さんは、友達が意見すると、お前は人間的におかしいと言われるそう」(31歳/主婦)

・「いつもお前が悪いんだと言われる友人がいる」(30歳/人材派遣・人材紹介/秘書・アシスタント職)

●束縛系彼氏

・「先輩の彼氏の束縛がひどかった。女の子と飲みに行くのも遊びに行くのも嫌がり、電話の嵐」(26歳/アパレル・繊維/販売職・サービス系)

・「2時間連絡が取れないだけで、ガチ切れして電話をかけてくる」(27歳/金融・証券/事務系専門職)

・「飲み会に行ったら、次から家から出してもらえなくなったという友人がいた」(32歳/食品・飲料/販売職・サービス系)

・「スマホを壊す」(30歳/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)

●暴力系彼氏

・「友人がケンカをしたとき、彼に髪の毛をつかまれて、壁にガンガン頭をぶつけられたと言っていた」(33歳/金属・鉄鋼・化学/秘書・アシスタント職)

・「彼に呼ばれているのに気づかず、返事をしなかったら、人前で胸ぐらをつかまれて驚いた」(24歳/機械・精密機器/技術職)

・「友人はケンカになると、しょっちゅうアザを作っていた」(29歳/情報・IT/技術職)

・「セックスを求める」(31歳/ホテル・旅行・アミューズメント/営業職)

■モラハラDVの加害者&被害者カップルの心理状態

――普通、人格否定や暴力なんてされたら、その男性のことを嫌いになってすぐに別れてしまいそうなのに、どうしてこんなに多くのDVモラハラ彼氏が存在するのでしょうか?

小高先生:一言で言うと“共依存”です。自分と特定の相手との関係性に過剰な依存感情が芽生え、その人間関係にとらわれている状態のことです。自分の存在価値を見出すために、彼女がつい依存したくなるような状態を導き出します。彼女は知らず知らずのうちに相手に”依存””従う”ことが日常化し、無意識の中で相手が望むような行動をとるようになります。そうやってDVモラハラ彼氏は自分にとって居心地のいい環境を築き上げていくんです。

・「すべての行動を報告する代わりに、仲直りしてもらえた~と喜ぶ友人がいた」(29歳/学校・教育関連/秘書・アシスタント職)

・「見下されてもへらへらしている友人」(29歳/建設・土木/技術職)

これらはまさに共依存の事例です。足の引っ張り合いで、どんどん生きづらくなる状態を自ら招いています。2番目の事例は、これ以上傷つかないように彼女がバリアを張っている状態。“もう私はいいんです”といったどこか歪んだ諦めがあり、奴隷的な印象を受けるので危険ですね。
共依存状態にある女性によく見られるが「そんな人とはもう別れなよ!」と友人などが促しても、「本当は優しい人なんだよ」などと言って否定するパターン。別れるということは、彼を選んだ自分自身を否定することになり、自分を否定したくないという気持ちから、そうさせてしまう傾向があるのです。これはさっきお話した“認知的不協和”が芽生えた結果。この状態が続くと、彼がどんどん支配的になり、自分が自分じゃなくなってしまいます。そうなってしまっては手遅れです。

●あなたの友人は大丈夫? “共依存”状態にあるカップルの心理

DVモラハラ彼氏
・彼女に依存されることに自分の存在価値を見出している。
・その関係を維持し、居心地のいい関係を保つために、彼女をコントロールしたがる。

共依存彼女
・彼に束縛されることに存在価値を見出している。
・DVモラハラ彼氏と別れることは、彼を選んだ自分自身を否定することになる。
・そのため周囲の忠告に耳を貸さなくなり、彼をほめたり守ったりする。

■DVモラハラ彼氏につかまらない方法、逃げ出す方法

――DVモラハラ彼氏につかまらないためにどうしたらいいのでしょうか?

小高先生:自分の幸福感や“こうありたい”という気持ち、自分の価値観を明確にして、自問自答してください。自分の中の基軸があることが大切です。もし「あれっ、本来求めている恋愛観とちがうかも」と違和感を覚えたら、冷静になって客観的に現状を見返してみてください。歩み寄れることと、譲れないものを精査し、理不尽な彼の態度に疑いの目を向ける勇気を持ってください。感情に流されず、彼が何故そのような行為に及ぶのか理由を考えてみましょう。このちょっとした違和感を覚えたときに対処すれば、DVモラハラ男に心をとらわれ共依存関係になることなく、回避できる確率が高くなります。もし“暴力”を振るわれたら、しっかりと考えるきっかけになることでしょう。エスカレートする可能性もあるので、今後の彼との関係をどうするかの検討材料にしてください。
誰かに相談する場合は、守秘義務&専門知識のある信頼できる人に。かかわる人数はなるべく少ない方がいいです。間違っても女子会などで軽く相談するのはNGですよ!

●DVモラハラ彼氏に捕まらない方法

・「こうありたい」という自分軸を大事にする
・上記からずれた恋愛をしていたら、冷静になって彼を客観視する
・暴力を振るわれたら、しっかりと二人の関係を見つめなおすきっかけにする
・誰かに相談する場合は、本当に信頼できる最低限の人数の人に。

――友人がDVやモラハラを受けていた場合、自分にできることはありますか?

小高先生:もしDVやモラハラを受けている友だちがいたら、まずは話をよく聞いてあげましょう。女性は感情を共有、共感、同調してもらうことが好きな生き物です。頭ごなしに否定すると、彼女は本心を語らなくなるでしょう。状況にもよりますが、本人の口から“こうしたい”という素直な気持ちを引き出してあげることが重要です。そして、物理的に彼から引き離す方法を考えましょう。このときも、彼女が“彼と引き離される”と感じることなく、心から“彼から離れたい”と感じさせることが重要です。そうしないと、共依存関係にあるため、簡単に彼の元へ舞い戻ってしまいます。
長期的なスパンで、徐々に離れる準備をするのでもOKです。ただ命にかかわるくらい危険な状態であれば、実家に帰ったり、シェルターに避難する必要があります。その場合は弁護士を立てるなど、専門家の力を借りてくださいね。

●友人がモラハラDVを受けていると感じたら

・否定したりせず、友人の話をよく聞いてあげる
・友人の言葉で“本当はどうしたいのか”素直な気持ちを引き出す
・彼と心から離れたいと感じさせることが重要
・長期的なスパンで徐々に離れる準備をさせる
・命にかかわるくらい危険な状態であれば、専門家の力を借りて、無理にでも引き離す

DVやモラハラに関するリアルな体験エピソードは、参考になったのではないでしょうか。似たような場面に遭遇した人がいたら、ひょっとしたら彼も……? と疑う目が必要なようです。彼氏に怒鳴られたり、人格を否定されたり、暴力を振るわれるような激しいケンカをしたときなどは、彼氏との関係を見つめなおす必要があるかもしれないですね。
DVモラハラの被害者にならないために、ちょっとした違和感を感じたら、自分が本当はどんな恋愛をしたいのか自問自答して、冷静に現状を見返しましょう。

(伊藤康江)

※画像は本文と関係ありません
※『マイナビウーマン』にて2015年9月にWebアンケート。有効回答数189件(22~34歳の女性)

 

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