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キュンとしちゃう。プロが選ぶ「年の差恋愛漫画」ランキング

和久井香菜子

中田ボンベ@dcp

専門家おすすめ。年の差恋愛漫画ランキング

では、プロがおすすめする年の差恋愛漫画はどんな作品なのでしょうか? 和久井香菜子さんにTOP5を挙げてもらいました。

「年の差恋愛マンガ」をセレクトしてほしいという、なんだかたいへんタイムリーなお仕事をいただいてしまいました。なぜかと言いますと去年、20歳年下男子と超年の差恋愛していたんです。めっちゃくちゃかわいかったけど、一方で自分と相手のステージのちがいを実感したり、相手のマナー違反に腹が立ったりして、ジェットコースターのような恋愛でした。いや?、でも楽しかったですよ、年の差恋愛。

今回セレクトした作品は、どれも年の差恋愛で思い当たることばかりの臨場感タップリなものです。年の差恋愛の「酸いも甘い」もごった煮にして選んでみました。

第5位 『乙嫁語り』(著:森薫)

年上女性×年下男性。読むと今すぐ中央アジアに行きたくなります。舞台は19世紀。20歳のアミルは12歳の少年カルルクさんと結婚するために遊牧地から市街へとやってきます。まだまだ成長途中のカルルクさん、アミルよりもずっと背が低い。でもやさしくて気が利いていて、ちょっぴり大人のことにはシャイでめっちゃカワユイんです。時折見せる男のプライドも、なんとも愛らしいです。ああ、こんな夫と結婚したい!

とにかく精緻(せいち)で美しい絵も作品の魅力で、衣類やじゅうたんなどの模様も細かく描かれています。生活に密着したお話なので、中央アジア文化の教科書としても使えそうです。和久井はトルコに2カ月ほど住んでいましたが、共通する部分も多くて懐かしくも感じます。物語は、アミルとカルルクさんを中心にして少しずつ舞台が変わり、さまざまなカップルが取り上げられます。これもまたまったく異なるタイプのお話で、引き込まれます。

いくつもまとめて「年の差恋愛」作品を読んでみて気づいたのは、年上のほうが保護者である場合が多いこと。それが恋愛に発展するには、保護者でありながら相手を尊重できるかが重要なんですね。和久井も人を年齢で見下したりしないので年の差恋愛が可能なわけですが、改めてそれを実感してしまいました。

第4位 『明治緋色綺譚』(著:リカチ)

年上男性×年下女性。20代の男性と9歳の女児の物語。「便利屋さん」をやっているボンボンの津軽は、遊郭に売られていた鈴を身請けして引き取ります。この、津軽が特に鈴に劣情しないところが「萌え」です。彼は「私はそういうシュミはないよ」「ただ、君は頭がいいから」と言って鈴を迎え、その言葉どおりに、鈴を女としては扱わず、頼りになる保護者として彼女を見守ります。

一方の鈴は、恩人である津軽のことが好きなんです。いや、誰だって好きになっちゃいますよ。津軽はめちゃくちゃ物知りで頭がよくて冷静で、ちょっとユルくてだらしない。もう、頼りになったり世話したくなったりと、離れがたい魅力を持っています。とはいうものの、和久井は精神的にちょっと病んでいる鈴のお兄さんも超好みです。物語は鈴を取り巻く環境の謎が少しずつ解き明かされていき、読みはじめたら止まりません。絵もカワユくて、ストーリーもよく練られています。はー、和久井もこんなお兄さんに育てられたい!

第3位 『恋のツキ』(著:新田章)

年上女性×年下男性。彼氏のふうくんと同棲して3年になる31歳のワコ。しかしバイト先の映画館で高校1年生のイコくんに出会い、彼との関係に溺れていきます。打算的に生きるのなら、ふうくんと結婚するべき。だけどイコくんにときめく気持ちは止められない……。そしてイコくんも、ワコの状況を知ってなお、彼女に思いを寄せてきます。

いや~、わかる、わかります!! 年下男性のあの一途な、利口な犬がすり寄ってくる感じはめちゃくちゃかわいいんですよね。だけどしょせん相手は高校生。かわいいけれど、どうしても生活感のないフワフワした未熟さがあります。その非現実感が、いっそうキュンキュン感を盛り上げてくれるんですよね。

年の差恋愛には極上の甘さと激辛が共存しているのです。結婚相手として問題のないふうくんとは関係がたるみきっていて、彼からはイラッとする発言がボコボコ出てきます。それで胸キュンな恋愛に逃げてみれば、現実が待っている……。さてワコは、どちらを選ぶのか?

第2位 『うさぎドロップ』(著:宇仁田ゆみ)

年上男性×年下女性。6歳の少女りんは79歳の父親を亡くし、母は失踪、甥に当たるダイキチ(30歳)に引き取られることになります。序盤は特にこの2人に恋愛感情は生まれず、愉快に話が進んでいきます。未婚の男性がいきなり6歳の娘の父親になるって、並大抵のことじゃないですよね。光源氏も似たようなことしていますが、あっちは自分の手で世話してるわけじゃないし……。

前半はダイキチの子育て奮闘物語、後半はりんの青春葛藤物語です。保育園からの幼なじみのコウキとりんの思い、ダイキチとコウキのお母さんとの関係がどうなるかも気になるところ。年齢の割に大人びたりんと、いつまでも少年のような(でもおっさん臭くもある)ダイキチ、そしてやんちゃなコウキ。大きな出来事はないけど、でもこの作品を読んでしみじみ思うのは、恋愛はタイミングだってことです。双方の気持ちの盛り上がりが重なって、気持ちをシェアできるってすごい確率かもしれないですね。

第1位 『砂の城』(著:一条ゆかり)

年上女性×年下男性。「元祖年の差マンガ」です。女性の社会進出なんて夢のまた夢という1970年代に、16歳年下の金髪カワユイ男子との愛を描いた傑作です。美しく聡明でだいぶ影のあるナタリーと、ナタリーに育てられた16歳年下の金髪素直少年フランシス。彼はめちゃくちゃ、ええ、めっちゃくちゃ! かわいいんです! でも若者ならではの未熟なところもあり、夢ばかりではなくリアルな部分がしっかり描かれているのもこの作品の魅力です。

また、カワユくて若いミルフィに心を動かされないマザコンのフランシスがまた真性Mっぽくていい。働く女性なんてほとんどいなかった時代に女性の自立と葛藤を描いていて、今読んでもまったく違和感がありません。驚くのは、これが少女雑誌『りぼん』に掲載されていたということ。昔の子どもたちは、こんなに大人っぽい作品を読んでいたのですね。

どの作品にも共通することですが、自分が年上なら保護者役、下なら守られる立場ですが、前者はあくまで対等な立場でいること、後者は甘えすぎないことが、上手な関係を築く秘訣といえそうです。

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