内科医に聞く! インフルエンザワクチン、体に有害ってホント?
■ワクチンで感染症から体を守る仕組み
ワクチンとは、感染症を防ぐために各種の伝染病の病原菌から作ったものです。それらのワクチンを接種することにより、あらかじめ体内に抗体(こうたい)を作っておき、感染症にかかりにくくする、という原理になっています。
■代表的なワクチン・3種
1:生ワクチン
生きた病原体(菌やウイルス)の毒性を弱めたもの。麻疹、風疹、ムンプス(おたふくかぜ)ワクチンなど
2:不活化ワクチン
病原体を死滅させたり、不活化させたもの。百日咳、日本脳炎、インフルエンザワクチンなど。
3:トキソイド
病原菌から毒素を取り出し、それを無毒化したもの。ジフテリア・破傷風ワクチンなど。
※無毒化したワクチンでも、体内の免疫系に働きかけるものなので、完全に「無菌・無毒のワクチン」というものではありません。
■ワクチンのデメリット
ワクチンには、病原体の感染を防いだり、和らげたりする効果があります。しかし、ワクチンには危険性・副作用が伴うこともあるのです。生ワクチン・不活化ワクチンは、毒性を弱めたり、死滅させた病原体そのものを注射するため、ワクチン接種後に軽い感染状態(副反応)が起きることがあります。
また、風邪をひいていたり、体が弱っているときや、ワクチン中の病原体が強力であるときは、予防したい感染症のワクチン接種のつもりが、その感染症そのものに感染してしまうこともありえます。そのような場合の救済制度として、次の2つの措置があります。
1:任意接種により健康被害が発生した場合は=医薬品副作用被害救済基金法による救済制度
2:定期接種により健康被害が発生した場合は=予防接種法による救済制度
■インフルエンザワクチンを大きな視野で見る
私たちにとって、もっとも身近なワクチンのひとつに、インフルエンザワクチンがあります。毎年、冬になると、おおぜいの人がインフルエンザウイルスに感染します。そのため、お年寄りや子どもを中心とし、受験生などにも広く接種されています。
とはいえ、ワクチン接種をしたからといって、インフルエンザに感染しないわけではありません。実は、ワクチン接種をしていても感染の可能性はあるのです。ただ、ワクチンを接種することで、症状が軽症ですむケースが明らかに多いために、ワクチン接種を推奨しているのです。
一方で、インフルエンザワクチンは、不活化ワクチンなので、体調が悪いとき、風邪をひいているときに接種した場合、副反応として、かえってインフルエンザ様の症状が出現することもあります。
■まとめ
インフルエンザワクチンを接種することによる利点および欠点を考えて、ワクチン接種をするかどうか、判断してみてくださいね。
(文:35歳女性内科医/Doctors Me、構成:マイナビウーマン編集部)
※画像はイメージです
※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.06.14)
※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください
※この記事は2015年01月11日に公開されたものです