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疲れた、もう嫌だ、何もしたくない……自暴自棄になったときの解決法

笹氣健治(心理カウンセラー)

もう嫌だ、疲れた、何もしたくない、と思ったら

自暴自棄とは、「明るい展望が描けなくなった結果、やけになってこれまで積み上げてきたものをぶち壊すような行為をすること」です。では、なぜ「明るい展望が描けなくなった」のか? なぜやけになってしまうのか? なぜこれまで積み上げてきたものをぶち壊すような行為をするのか? ──これらについてひとつずつ紐解いていきたいと思います。

自暴自棄な人へ……今のあなたの心理状態

まずは、なぜ明るい展望が描けなくなったか? それは、うまくいかないことが続いたからです。

やることなすこと次々とうまくいかない。失敗が続く。嬉しいことが全然ない。そのような不運な状態が続くと、「私はダメな人間だ」といった自己否定感が強くなります。すると、「こんなダメな人間がうまくできるはずがない」「きっとまたうまくできないだろう」「いいことは何も起こらない」といったように、自己否定の連鎖が始まります。それで、未来に対して明るい展望が描けなくなるのです。

そんな状態に陥ると、ついつい「やけになってしまう」ようになります。今までは「なんとかうまくやろう」と苦しみに耐えながら努力を続けてきたはずです。しかし、明るい展望が描けなくなると、目標を見失うとともに我慢の限界がきて、「これ以上はがんばってもダメだ」「もう無理だ」と無力感を持つようになります。その結果、「何もしたくない」「やってられない」と、やけになって投げやりな態度を示すようになります。

そうなってくると、理想に向かってこれまで取り組んできた努力とは正反対の自己破壊的行為に走る場合があります。真面目にがんばってきた反動なのか、暴飲暴食や喫煙を始めたり、長時間SNSやゲームにふけったり、夜遅くまで遊び歩いたり、といった自分にとってマイナスのことをするようになり、これまで積み上げてきたものをぶち壊すような行為をするのです。

今のあなたに必要なもの~自暴自棄になったときの対処法~

自暴自棄になって、これまで積み上げてきたものをぶち壊すようなことをしてしまうと、あとで冷静になったときに「あんなことをするんじゃなかった」と後悔したり、「私って本当にバカだわ」と自己嫌悪に陥ったりして、さらに落ち込むことになります。そうならないためにも、自暴自棄になりそうだと感じたときにどうすればいいか、役立つ取り組みを5つご紹介したいと思います。

心の充電をする

自暴自棄になってしまいそうな状態では、心が疲弊していてものごとをじっくり正しく考えることができなくなっています。そんなときに必要なのは、心の充電です。それにはまずしっかり休むこと。十分な睡眠をとる。ゆっくりお風呂につかる。マッサージなどで体をほぐす。ストレスも相当たまっているはずですので、気分転換も忘れずに! 旅行に行ったり、スポーツをしたりして、アレコレ考え続けている頭の中をいったん空っぽにすることでストレスからも解放され、心にエネルギーが補充されていきます。

ひとりで考えずに相談する

自分ひとりで考え込んでいると、つい悪いほうに考えてしまいがちです。そういうときは視野が狭くなっていますので、他人に相談して、さまざまな視点を取り入れるといいでしょう。その際に重要になるのが人選です。親や兄弟姉妹など関係が近い人は、ああしたほうがいい、こうしたほうがいいと、自分の考えを押し付けてくる場合が多いので、できれば避けたほうが無難です。オススメは独身の先輩。アラフォーからアラフィフあたりの女性に、自分がアラサーだったときどうだったのか、どういうことをしておけばよかったと思うか、やめたおいたほうがいいのはどんなことか、といった経験談を聞くと、きっと参考になるでしょう。

自分の思い込みを点検する

悩むのは、現実が自分の理想とかけ離れているからです。思い描いていた理想に対して現実がその通りになっていないために、これじゃいけないと自分にダメ出しをして、イライラしたり落ち込んだりするのです。ところが、自分の中の理想だと思っているものが、案外、本当に正しいことではなかったりします。

たとえば、30歳までには結婚したいという理想を持っていたとします。しかし、現実的に考えれば、それはあくまでも運次第。それに、仮に30歳までに結婚できたとしても、それで将来ずっとハッピーかというと、必ずしもそうとは限りません。巡り合わせによって出会った人と40歳で結婚する人生のほうが結果的にはハッピーになる可能性だってあるのです。同じように、こうありたい、こうでなきゃダメ、といった理想が、実は単なる「思い込み」であって、実際にはその通りにならなくても何も問題ではなく、むしろ、かえってよかったりする、なんてことがあるものです。

そこで、今、自分の中にどんな理想があるのかをリストアップしてみて、それぞれについて「絶対にその通りでないと本当にダメなのか?」「もしその通りにならなかったら、どんな問題があるのか?」といったことを自問自答してください。自分の中の「思い込み」によって、自分が窮屈な生き方を強いられていることに気づけるかもしれません。

思い込みを捨てて「自分らしく生きる」と決める

理想を点検して、それが「思い込み」だと確認できたものについては、次は、その呪縛から自由になりましょう。具体的には次のように考えます。

「理想の通りになったら、それはそれで嬉しいことだが、もしその通りにならなくても、人生が終わるわけではない。もちろん、理想の実現を目指すのはよいことだ。ただ、人生で何がよくて何が悪いかは、終わってみなければわからない。だから、理想の実現を目指しながらも、もしその通りにならなくても、それはそれで自分にとって必要なことなのだ」

理想と現実のギャップに悩むたびに、この言葉をぜひ思い出してください。人生は「なるようになる」ものです。

やりがいのあることを見つける

あなたはどんな人の生き方にあこがれますか? あの人のようになれたらいいだろうな、とあこがれる人はいますか? たとえば幼いころに絵本を見て、「私もこんな絵本が描けたら楽しいだろうな」と思ったとしたら、絵本を描くことがあなたにとって「夢」になるかもしれません。あるいは、近所のお医者さんを見て、「私も多くの人の病気を治すことができたらいいな」と思ったとしたら、今から医者になるのは難しいかもしれませんが、「多くの人の苦しみを癒す」という部分を含むものを「夢」としてもいいかもしれません。夢の前にはまず「あこがれ」があります。自分が何にあこがれるかを点検し、そのあこがれはどんな仕事に通じているかを考えて、それをこれからの人生で成し遂げたい「夢」として掲げてみてはどうでしょうか?

そしてそのためには、今からどんな勉強をすればいいか、どんなスキルを磨けばいいか、について考えて取り組み始める。10年近くの社会人経験があり、脂の乗った30代だからこそできる方向転換です。一度きりの人生を楽しむために、やりがいのあることをスタートさせると、毎日がワクワクし、いきいきと過ごすことができるようになるでしょう。

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