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相続税も増税するって本当?「本当。ただし例外も」

消費税/住民税に続き、2015年には相続税も増税される。基礎控除額が3千万円に引下げられ、支払う額も対象となるひとも、現行より大幅に増えることになる。

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生前に贈与するのが定番の回避策だが、相続前3年間は相続として扱われてしまうので、いざとなってから行動しても間にあわない。生命保険に加入する、孫に教育資金、長年連れ添った伴侶には家を相続するなど、例外をうまく使って計画的に節税しよう!

基礎控除は40%もダウン!

相続の対象となる財産に税金がかからない「基礎控除額」を比較してみよう。

現行では、

・財産5,000万円

・1,000万円×法定相続人の人数

の合計が基礎控除額となり、この金額以下であれば申告する必要もないし、もちろん相続税も発生しない。例えば5,000万円分の財産と、伴侶+子2人=3人なら合計8,000万円までは相続税が発生しない。

ところが2015年には、

・財産3,000万円

・600万円×法定相続人の人数

に変わり、さきの例なら4,800万円を超える部分が課税対象となり、控除は40%も引き下げられることになる。つまり標準的な生活を送っているひとなら、ほぼ全員が相続税の対象になるのだ。

庶民いじめと思われるのも当然だが、財を成したひとにも大きくのしかかる仕組みで、税率や上限額が細分化されるようになる。現行では課税対象となる金額が3億円を超えると、税率=50%、控除額=4,700万円に固定されていたのだが、1/2/3億円以下と小刻みに税率が上がるだけでなく、6億円超の枠も生まれる。

最大となる6億円超の場合、税率は55%、控除額も7,200万円に引き上げられるので、財産の多少に関わらず、現在よりも納付金額が増えることになるのだ。

定番の回避策は贈与だが、これも来年からは効果が薄くなる。「3年ルール」が始まるからだ。

贈与は、他界=相続する前に伴侶や子にプレゼントする手段で、年間110万円までなら贈与税がかからない。もし5,000万円の貯金があったら、46年かけて110万円ずつ贈与すれば、相続税はおろか贈与税も発生しないので大変お得な手段だが、来年以降は、相続する前の3年間は贈与として認めない「3年ルール」が始まる。

つまり、具合が悪くなってから「駆け込み贈与」しても、3年以内なら相続の一部でしょ?と解釈されてしまうのだ。

子のマイホーム資金を「贈与」する!

愛する家族のために、少しでも多くの財産を残したいなら、もっとも手軽なのは生命保険に加入することだ。これによって500万円×法定相続人の人数が非課税となる。

また、教育資金として孫に贈与した場合、3年ルールの適用外となる。これは3年ルールが「法定相続人」への贈与と定義されているためで、孫は相続人だが、「法定」相続人ではないからだ。非課税となるのは110万円までだが、なにもしないよりははるかに効果的だ。

極めつけは配偶者に自宅を贈与することだ。結婚してから20年以上経っていることが条件で、これだけ長い時間をともに暮らしているなら「家」は二人の共有財産と解釈され、2,000万円までは贈与税が非課税となる。

このほか、子がマイホームを建てる際に、資金提供のかたちで贈与すると、最大1,000万円までが非課税となるので、双方ともにお得になる。

来年以降は、具合が悪くなった、医師の宣告などで、相続の前兆が起きてからでは間に合わなくなるので、計画的に進めるのがもっとも大事といえるだろう。

まとめ

・相続税の基礎控除が、大幅にダウン

・財産の多いひとも、税率アップ+控除額ダウン

・相続の3年前までは、贈与しても相続とみなされる

・配偶者や孫への贈与は、お得な制度もある

縁起でもない話だが、今生の別れは誰にも必ずやってくる。

家族のためを思うなら、早めに相続計画を立てておくのが良さそうだ。

(関口 寿/ガリレオワークス)

※この記事は2014年06月07日に公開されたものです

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