2,000万円も!高額で取引されている紙幣って?「AA券」「二十円札」
珍しいお札や古いお札の中には、非常に高額で取引されているものがあります。では、どんなお札が貴重かつ高額なのでしょうか? 東京・中野ブロードウェイに店を構える、野崎コインの野崎茂雄さんに聞いてみました。
最初に製造されるAA券は人気が高い
――高額で取引されている紙幣には、どんなものがあるのでしょうか?
野崎さん 高い値段で取引されているものには特徴があって、まずはお札に印刷されている番号がゾロ目のもの。番号は6桁あるんだけど、「111111」とかは人気ですね。「123456」といった並びのものも高くなります。あとは、お札の番号の最初と最後のアルファベットがAのお札。例えば「A123456A」といった並びですね。このお札は「AA券」と呼ばれる最初に製造されたお札なので、人気が高く取引される値段も上がります。
――どれくらいの金額で取引されているのですか?
野崎さん 肖像が聖徳太子の五千円札、同じく聖徳太子の一万円札はAA券で未使用ならば30万円ほどで取引されています。同じく、岩倉具視の五百円札(新旧2種類あり古い方)や板垣退助の百円札なども、未使用のAA券なら30万円ほどになりますよ。
――けっこう高額なのですね。やはりAA券というのは非常に貴重なのでしょうか?
野崎さん お札は一つのアルファベットごとに90万枚製造されているので、世の中に出回った枚数としては意外と多いんです。しかし、使われていくうちに消耗されますし、さらに折り目のない未使用となるとやはりグッと数は少なくなりますよね。
――なるほど。
野崎さん ただ、間違えやすいのが数字の頭のアルファベットが「AA」となっているもの。例えば「AA541455A」といったお札ですね。これはAからZまで数字を使った後に製造されたものです。これを「AA券」と勘違いする人がいますが、間違えないように注意しないといけませんね。
――Aは前後に一つずつじゃないと駄目なんですね。ほかに、高額になるお札はどんなものがありますか?
野崎さん ほかには、「エラー札」と呼ばれるものが高額で取引されています。これは お札の上と下にある製造番号が、上と下で違って印刷されていたり、紙幣のカットミスで紙幣の端に余計な紙がつながっている状態のものです。
――そんなお札もあるんですね。
野崎さん 普通はチェックして回収されるのですが、中にはチェック漏れで世の中に出てしまうものもあるんです。こういったエラー札も高額で取引されていまして、二千円札のエラー札だと13万円ほどになります。
――なかなか見つからないものでしょうし、その価格も納得ですね。
もし見つかれば2,000万円というお札も……
――高額かつ珍しいお札はどんなものがありますか?
野崎さん 軍票という、戦時中の擬似紙幣があります。この軍票の種類はいくつもあるのですが、その中の「ろ号券」が枚数が少なく高額です。ろ号券の十円札が15万円で取引されています。
――軍票はどれも高額なのですか?
野崎さん いえ、あくまで一部の軍票が高額というだけであって、軍票全部が高い金額で取引されているわけではないです。やはり多く出回っているものよりも枚数が少ないものですね。
――ほかに珍しいものはありますか?
野崎さん 同じく軍票なのですが、西郷隆盛が西南戦争中に発行した「西郷札」というのがあります。これは紙ではなく布でできていまして、半年しか発行されなかった珍しいものです。50銭のもので7万円ほどです。
――西郷さんがそんなお札を発行していたのですね。
野崎さん ほかには、神功皇后が印刷された明治時代のお札が高額です。イタリア人技師によって印刷されたもので、五円札が58万円ですね。大正時代の横書二十円札も貴重なもので38万円です。
――かなり高額になってきました。非常に高額で取引されているのはどんなものがありますか?
野崎さん 「旧国立銀行券」は貴重なものなので、高額で取引されています。五円札の未使用品なら150万円、さらに貴重な二十円札の未使用品は、もし見つかれば2,000万円ぐらいの値打ちはあるでしょう。
――2,000万円!? それだけの金額がつくということは、本当に貴重なお札なんですね。
野崎さん 未使用ともなればなおさら見つからないでしょう。
なかなか見つからないからこそ、高額で取引されているこれらのお札たち。しかし、意外なところから発掘されるケースもあるそうです。古い蔵や祖父母の書斎などを探してみると、もしかしたらあるかもしれませんね。
(貫井康徳@dcp)
野崎コインHP
http://www.nozakicoin.jp/
※この記事は2013年05月22日に公開されたものです