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新北欧料理「ニューノルディックキュイジーヌ」とは?ノルウェーのおすすめレストラン3店を紹介!

ノルウェーを代表する新北欧料理レストラン「Maaemo」にて提供のオイスター料理(Photo: Jimmy Linus/Maaemo)

北欧のグルメ事情を語る際に欠かせないキーワードが「新北欧料理」ともいわれる、「ニューノルディックキュイジーヌ」。北欧各地のシェフたちが、地元食材を使用し、ユニークなアイディアでお届けする、伝統料理とは異なった新しい料理の新潮流です。

【従業員は双子ばかり。モスクワのレストランが大繁盛。(露)】

「新北欧料理」とは?

「ノルウェー料理は?」という問いへの答えとして思いつくものは、かつては、ジャガイモ、ニンジン、ベリー味のジャムなどが肉や魚に添えられたシンプルな一皿が一般的でした。

イースターやクリスマスの時期も、テーブルに運ばれるのは毎年定番のメニューたち。それは、伝統というよさを残しながらも、どこのレストランでどのシェフが作っても、外見や味は大差ないものでもありました。

フランス料理や日本料理と違い、「美食文化」を目的に海外から人が訪れるというイメージがなかったノルウェーや北欧諸国。そのイメージを刷新すべく、北欧料理に革命を起こしているのが「新北欧料理」を提案する若いシェフたち。

食材として使われることが少なかった野花などを取り入れながら、伝統料理を美しく演出しなおし、健康的で、環境にも優しいサステイナブルな料理を提案します。レストランやシェフによって、作り出される食事はすべて異なり、どれもユニークです。

次はどんなお皿が運ばれてくるのかとわくわくする興奮と驚きは、これまでの伝統料理では体感できないものでした。

地元食材が美しく盛られた一品を見て、アートのような完成度にため息をつき、スマートフォンで写真を撮り、SNSなどのメディアにアップする――。それを見た周囲の人々は「いいなぁ」といつかそこに行く日を夢見るのです。

世界中からも美食家たちがわざわざ飛行機に乗って、噂の新北欧料理を食べにやってきます。今や、デンマークの「Noma」やノルウェーの「Maaemo」で食事したという体験はステイタスを作るひとつの要素であり、新北欧料理は北欧地域の食文化を再評価しなおすきっかけとなっているのです。

「次のNomaはどこだ!?」と世界中の美食家やジャーナリストたちは、スター候補のレストランやシェフを探しています。

地元の食材や伝統を取り入れながらも、新しさを有している

始まりは2004年。北欧のシェフたちが提案したのは、「ニューノルディックキッチンのためのマニフェスト」と呼ばれる心得でした。

「季節・地元の食材」をベースに、「動物や大地にやさしい」生産方法で、「伝統料理を新たなかたちで応用」し、「海外からの刺激」も取り入れ、「北欧地域活性化」に結びつける――。この哲学を心に秘めたシェフたちが、フランスやイタリア料理に匹敵する「北欧料理」というブランド価値を今高めています。

新北欧料理といえば、まず代表されるのが、デンマークにあるレストラン「ノーマ/Noma」。世界中の美食家が、ノーマの食事を味わうためだけに飛行機に乗ってやってくると言われているほどです。

ノーマを筆頭に、新北欧料理という新しい料理のジャンルはここ数年、世界各国のメディアで取り上げられました。そして、2004年に掲げられたマニフェスト「世界に新北欧料理というコンセプトを広げる」が達成されて以降、「ニューノルディックフード」団体はプロジェクトの第二段階に突入しています。

その内容はというと、2011~2014年にかけて、新北欧料理を、子どもを含む地元の人々に届けるというもの。予約が殺到するレストランで提供される「高級料理」というイメージがあるだけに、今後どれだけ「大衆食材」に近づくことができるのかが課題。

現在では、新北欧料理を「身近なグルメ」にするための取り組みが進められています。

もちろん見栄えも大事

新北欧料理は見ているだけでも美しい、「アート」としても楽しむことができます。地元の職人が造る器にもこだわりがあるレストランが多く、地元のハーブや花などの食用植物が、まるで絵画のように美しいお皿の上に盛られています。

美しい器に盛りつけられた、「Maaemo」の?卵とオニオンの羊肉の燻製添え?(Photo: Tuukka Koski/Maaemo)

北欧はコーヒー先進国としても有名なので、レストランはコーヒーにもこだわりあり。デンマークを代表する「Noma」やノルウェーの「Maaemo」は、ノルウェーのコーヒーを率先するティム・ウェンデルボー氏がプロデュースする最高品質のコーヒーを提供中です。

ノルウェーのおすすめレストラン3店

それでは、ノルウェーの首都オスロでおすすめの、新北欧料理が堪能できる3つのレストランをご紹介します。

1.マエモ/Maaemo

オスロにある「マエモ/Maaemo」は、ミシュラン2つ星を獲得している、ノルウェーで今一番話題のレストラン。現地に住んでいるノルウェー人の多くが、「いつかMaaemoに行ってみたいな」と憧れるグルメの聖地です。

非常に人気があるので、旅行中に訪れたい場合は最低でも1カ月前から予約が必要。

Maaemo店内(Photo: Bandar Abdul Jauwad/Maaemo)

Maaemoは今年、キッチンを全面改装したばかりで、料理以外にもインテリアやアートを含め、極上の体験を訪れる人々に提供することをモットーとしています。

ソーシャルメディアは英語で配信されており、キャンセル席が出ると当日に「空席あり!」とお知らせが入ることもあるので、フォローしておくといいかも。

メニューの最低価格は2,050NOK(ノルウェークローネ/3万5千円程度)前後。お酒は1,390NOK(2万3千円程度)から。ノンアルコールの飲み物は550NOK(1万円弱)以上を予算として見積もっておきましょう。

「マエモ/Maaemo」 http://maaemo.no/

2.イラヤリ/Ylajali

オスロにある2002年にオープンしたばかりのレストラン「イラヤリ/Ylajali」。オープン当初から「おいしい店があるぞ」と地元で話題を集め、2014年には初めてミシュラン1つ星を獲得しました。

フランス料理や地中海料理からインスピレーションを受けて、ノルウェーの地元の食材を使用。「イラヤリのメニューには伝統料理は一切ありません。季節の食材を使用し、最高級のお皿を提供します」と公式HPでは紹介されています。

レストラン名である「Ylajali」は、実は読書好きなノルウェー人なら誰もが聞いたことのある名前。ノーベル文学賞受賞者でもある、今は亡き小説家クヌート・ハムスンの作品『飢え』に出てくる女性の登場人物の名前がまさに「Ylajali」。

小説のストーリーでは、レストラン「Ylajali」がある1階上に、この女性が住んでいたという設定になっています。

メニューの最低価格は1,295NOK(2万2千円程度)ほど。お酒は1,095NOK(1万8千円程度)以上を予算として見積もっておきましょう。

「イラヤリ/Ylajali」 http://www.ylajali.no/index_eng.php)。

3.コロニーハーゲン/Kolonihagen

ノルウェーのグリーネルロッカ地区にある店舗。店内はカントリー風インテリア(Photo: Asaki Abumi)

現在オスロに2店舗あるレストラン。創始者はMaaemoのオープン設立時に携わった一人でもあり、コロニーハーゲンで供されるメニューの哲学や美しさはMaaemoと共通しているものがあります。

おすすめは、日本のガイドブックなどでも紹介されているグリーネルロッカ地区にある店舗。この辺り一帯は、アーティストやデザイナーが集まるおしゃれな地区です。雑貨屋やコーヒーショップも点在しているので、近年では、北欧雑貨やコーヒー好きの日本人旅行者も多く訪れるようになってきました。

店内ではタパス形式で注文できるので、3~5皿は注文してみるとよいでしょう。オーガニックにもこだわりが強く、料理単価も安めです。

※1皿の目安価格(1NOKは約17円/2014年4月時点)
日中(9~16時)は、料理1皿=15~85NOK、ドリンク1杯=28~125NOK、夜間(16~20もしくは24時まで)は、料理1皿=65~155NOK、ドリンク1杯=28~123NOK

「コロニーハーゲン/Kolonihagen」 http://kolonihagen.no/

どのレストランにも共通していますが、新北欧料理といっても、旅行者が食べたいノルウェー料理の定番食材、ノルウェーサーモンなどの魚、トナカイなどの肉も提供されています。ただし、新北欧料理では、その調理方法やお皿での盛り付け方法がユニーク。

季節によって、どの店舗も食材は異なるので、メニューは着いてからのお楽しみとなります。

ほかにも新北欧風料理を提供している飲食店はたくさんあるので、老舗レストランと併せて行ってみてはいかがでしょうか。ノルウェーで働くスタッフは英語が堪能なので、気軽におすすめメニューを聞いてみましょう。

●文・写真 鐙 麻樹
写真:1枚目 Jimmy Linus/Maaemo、2枚目 Tuukka Koski/Maaemo、3枚目 Bandar Abdul Jauwad/Maaemo

著者プロフィール

鐙麻樹(あぶみ あさき)。上智大学フランス語学科2008年卒業。オスロ大学メディア学学科2012年卒業。同大学大学院メディア学修士課程在学中。ジャーナリスト、フォトグラファーとして、雑誌、WEB、旅行ガイドブックを中心にノルウェー現地から数多くの原稿や写真を寄稿。6カ国語の海外ニュース翻訳家、メディア/企業コーディネーター兼アドバイザーとしても幅広く活動中。
ホームページ http://www.asakiabumi.com/
All Aboutノルウェーガイド http://allabout.co.jp/gm/gp/1080/
地球の歩き方オスロ特派員ブログ http://tokuhain.arukikata.co.jp/oslo/

※この記事は2014年05月26日に公開されたものです

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