トヨタに聞いた!クルマの名前を決めるのって大変ですか?「本命の名前が世界の地域で思わぬ解釈だったりすることも」
『HARRIER(ハリアー)』『VOXY(ヴォクシー)』『NOAH(ノア)』など、クルマの車種名は実にさまざまです。このクルマの名前はどのようにして決まるのでしょうか。トヨタ自動車株式会社 広報部 メディアリレーション室の本吉由里香さんにお話を伺いました。
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まず名前の案を20-30個出す!
――クルマの車種名は、どのような過程を経て決定されますか?
本吉さん クルマのイメージに合っているか、車名の語呂はいいか、覚えていただきやすいか、親しみやすいか、他で使用されている名前ではないかといったさまざまな点を考慮し、企画関連部署の車種の担当者が複数案(20~30案程度)を起案します。
――たくさん考えるのですね。
本吉さん はい。企画部署限定のアンケートや、関係する技術部などの意見などをまとめ、これらを総合してまず案を数案(5~10案程度)に絞り込みます。
その後、国内・外の商標チェックや、ネガティブなワードではないかといったチェックを実施し、基本的には最終1案に絞り、社内決裁の上、決定します。
命名では紛糾する!?
――なるほど。けっこう緻密な命名過程を経るのですね。命名に関して、企画会議などで紛糾することはありますか?
本吉さん 最終的には全社会議で承認されますが、その前にラインでの決裁が済んでおりますので、会議の場で紛糾することは少ないです。
――なるほど。あまりもめたりしないのですね(笑)。
本吉さん 会議の前の決裁の過程では、長くお客さまにご愛顧いただけるよう送り出すクルマの大事な名前でありますので、議論となったり、挙げた案がNGになることもあります。
コードネームは極秘です!
――正式名称が決まる前にコードネームで呼ばれることはありますか?
本吉さん はい。あります。
――開発が開始される段階ではコードネームなのでしょうか。
本吉さん はい。発表・発売されるまではコードネームの呼称が使われます。
――このクルマはこんなコードネームだった、という例を教えていただけないでしょうか。
本吉さん それは極秘になっておりまして(笑)、申し上げるわけにはいかないのです。
付けたい名前は他社とかぶる!?
――なるほど。残念です(笑)。付けたかった名前が「他社に先に使われた」「他社とかぶった」といったことはあるものですか?
本吉さん あります。世の中に出ていない名前でも、商標チェックをかけた際に、他社が名前だけ押さえているケースはあります。
――他社が押さえているけれども使いたい、という場合はどうされますか?
本吉さん 商標を持っている他社と交渉や買い取りを実施するケースもあると聞いています。逆のケースですが、他社からトヨタが持っている名前を使わせてほしいと言う問い合わせを受け、当面使用する計画がなかったので関係部と相談のうえ快諾したということもあります。
将来こちらがお願いすることもありうるので、助け合うというのがこの世界では一般的なようです。
――車名決定において難しい点はどんなところでしょうか?
本吉さん 「創り手の想い」と、お客さま(世間一般)にご納得いただけるものかを、いかに両立できるかという点が難しいです。
特にグローバル車のネーミングは、本命と思っていたカッコイイ名前が、思わぬ地域では思わぬ解釈だったり、意味合いが全く違ってしまうワードだったりしてボツになるケースもあります。
いかがだったでしょうか。クルマの車種名が正式に決まるまではかなりの道のりのようです。車種名は、作り手にとっては「かわいいわが子の名前」なのでしょうね。
写真:(C)トヨタ自動車株式会社
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2014年02月24日に公開されたものです