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【新連載】Facebookにあがる幸せそうな彼女の姿がうらやましくて……

「やっぱり、大学時代にくらべて、
お台場も建物が増えたね」
わたしにとってはいつもの駅で降りてから、
美希はそう言って、
まぶしそうにあたりを見回した。

「そのかわり潮風と日差しが強いから、
建物が古くなるのが早い気がする」
とわたしが言うと美希もうなずく。

「わー、本当にFacebookで見るのと同じ」
カフェにつくと美希は本気ではしゃいでいた。
そして海の見える窓辺の席に着くと、
わたしがこの間頼んだピザを注文し、
メニューから目を上げて切なそうな顔で言った。

「わたしね、毎日Facebookを見るたび、
香澄がうらやましくて」

いや、驚いた。
「何言ってるの。わたしの生活より、
美希の暮らしの方が何倍も充実してるよ!
わたしなんて、毎日ひとりでお昼食べて、
彼にも月に二度ぐらいしか会えなくて、
窓のない倉庫の中で一日中商品と格闘して、
もう、パサパサに乾いた生活してるのに」

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