不動産にまつわる疑問いろいろ―マンションの「定礎」と彫った石は何なの?

筆者が子供のころ、近所の新興住宅地で「上棟式」(じょうとうしき)を行っているのを見ました。不動産関連では、このような「儀式」がかなり多いと聞きます。ではどのような儀式があるのでしょうか? 中堅不動産ディベロッパーの営業マンに聞いてみました。
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●―不動産関連で行われる儀式について教えてください。
主要なものは以下のようになります。「地鎮祭」などは有名だと思います。
●地鎮祭(じちんさい)
建築物の着工前に行う。
●起工式(きこうしき)
造成工事前、また改築工事前に行う。
●立柱式(りっちゅうしき)
基礎工事完了後、柱を建てる前に行う。
●上棟式(じょうとうしき)
「棟上げ式」(むねあげしき)ともいいます。
木造の場合:棟木を上げる段階で行う。
鉄筋コンクリートの場合:コンクリートを打ち終わったら行う。
●定礎式(ていそしき)
現代では建物の仕上げの時期に行う。
●火入式(ひいれしき)
主に、工場などの施設の工事で、中の機械、設備を動かす前に行う(一般家庭でも行うことあり)。
●竣工式(しゅんこうしき)
建物が完成した時点で行う。
●―定礎式は、個人の住宅では行なわないですよね。
はい。定礎式、竣工式は個人ではあまり行わないと思います。個人の方が住宅を建てるときには、「地鎮祭」「上棟式」を行うのが一般的だと思います。最近では簡略に行うことが多いのですが。
●―全て神式なのですか。
ほとんどそうですね。日本では「八百万の神々」という考え方をしますね。土地の神様、建物の神様、道具の神様など、さまざまな神様がいらっしゃいます。工事の都度都度で神様に「工事の無事」「建物の不朽」をお祈りするわけですね。
「定礎箱」が埋まっている!?
●―個人には関係ないと思いますが、「定礎式」というのがあるんですね。「定礎」と彫った石をビルの前で見かけますが……。
はい。あれは定礎式で据え付けられるものです。あの礎石の下に「定礎箱」というのが埋められているのをご存じですか?
●―いえ、知りませんでした。定礎箱って何ですか?
施主、設計者、施工者など、その建物に関わった人たちの姓名を刻んだ銘板などを入れたものです。この定礎箱を埋めて、その上に礎石を置きます。建物が不朽であるようにという願いが込められているのですよ。
住宅は人生最大の買い物だといわれます。一生に一度あるかないかでしょうから、地鎮祭、上棟式をやってみたいとは思いませんか?
(高橋モータース@dcp)
※この記事は2013年11月09日に公開されたものです