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女性の月経痛の強い・弱いの差って何が原因?専門家に聞いてみた!「若い人ほど痛くなりやすい」

女性が毎月経験する月経。動けなくなるくらいの痛みを感じる人もいれば、軽い痛みしか感じない人もいます。では、こうした痛みが強い人と弱い人は何がどう違うのでしょうか? 東京・飯田橋レディースクリニックの岡野浩哉 院長にお話を伺いました。

25歳未満の40%以上が強い月経痛を感じている!

――女性の月経痛は、人によって痛みが強い場合と、弱い場合がありますが、その差はなぜ生まれるのでしょうか?

岡野院長 月経痛は大多数の女性が経験しています。日本人女性での調査によると年齢が若い方が月経痛を訴える人、重い人が多く存在します。25歳未満では実に43.1%に強い月経痛を認めます。月経痛の程度の個人差を正確に説明することはできません。痛みについての感じ方も個人差があるからです。

――同じ痛みでも感じ方で重い軽いが変わりますし、客観的なデータが取りづらいのですね。

岡野院長 医学的には同じ月経でも、排卵周期を有する月経の方が排卵周期を有さない月経よりも月経痛は重いことが知られています。また、子宮の発育の未発達な若年者の方が、月経血を体外へ排出するのに構造上痛みを生じやすく、成長とともに徐々に弱くなるといわれています。

――若い人ほど痛くなりやすいのですか……。

岡野院長 他に、月経に対する不安や緊張などの心理的要因の関与も考えられます。上記内容は、何か子宮の病気を背景に持つ月経痛ではない場合の一般的な月経痛で、「原発性」または「機能性月経困難症」と呼ばれています。子宮内膜症や子宮筋腫などの病気を前提とした月経痛は「続発性」または「器質性月経困難症」と呼ばれます。月経痛の重い人はこのような病気を持っている可能性があります。

――痛みのひどい人は一度しっかりとした検査を受けた方がいいですね。

漢方療法も効果アリ

――痛みを少しでも緩和するにはどうすればいいのでしょうか?

岡野院長 いわゆる「痛み止め」による薬物療法が多く行われていると思います。痛み止めは月経痛の発生機序から考えると、早期使用が適しています。月経痛のピークで使ってもあまり効果的ではありません。常に強い月経痛に悩まされている場合は、月経開始と同時に、あるいは月経開始の予兆が出たらすぐに内服するとより効果的です。

――なるほど。こうした痛み止めを使わない緩和方法などはありますか?

岡野院長 「漢方療法」も効果的なことが多く、副作用も少ないことからお勧めです。月経痛は骨盤での血液循環が悪いことが原因ともいわれています。漢方では血の巡りが悪いことを瘀血(おけつ)と呼びますが、この瘀血を取る、すなわち血の巡りを良くする薬が多数あるからです。

――副作用が心配な人は、漢方療法を試してみるのもいいのですね。

岡野院長 他に、腰や下腹部を温め、ストレッチ体操などで骨盤の血液循環を良くすることも対処法の一つとなります。心理的要因に関しては、月経をネガティブにとらえないような指導やカウンセリングが必要な場合もあります。

機能性の月経痛は薬の早期服用が効果大!

――クリニックでは月経痛に対してどのような処置を行うのでしょうか?

岡野院長 誰にでも起こりうる機能性の月経痛なのか、子宮の病気に起因した月経痛なのかを評価することから始まります。そのため、婦人科的な診察が必要な場合があります。

前者の場合は上述した、生活指導、漢方療法、鎮痛剤の使用がメインとなります。特に鎮痛剤の服用を早期から始めるだけで、従来効かないと思っていた薬剤でも十分対処できることがあります。

――早めに服用することで、効果を高めることができるのですね。

岡野院長 後者の場合は月経痛を引き起こす基礎となる疾患により治療法が異なります。最近は子宮内膜症による月経痛が多く、子宮内膜症の治療を考えずに鎮痛剤だけで対処していると内膜症は悪化していきます。内膜症は将来の不妊症や卵巣がんにも関与している病気ですので放置は危険です。

――子宮内膜症による月経痛に対しては、どのような処置をされるのでしょうか?

岡野院長 機能性の月経痛にも子宮内膜症による月経痛にも用いられ、高い効果を示すものに「経口避妊薬」があります。本来は排卵を抑制し避妊効果を発揮するホルモン療法ですが、排卵がないために月経痛は緩和され、月経血も減少させるので排出に伴う痛みも軽減します。さらに、子宮内膜症を悪化させない、または改善させる効果が期待できるため極めて有効な治療法です。

――非常に効果的なのですね!

岡野院長 これらの事実から現在わが国では、月経困難症の治療薬として経口避妊薬と同類のホルモン療法となる「LEP製剤」という薬剤が保険適用となっています。月経痛の緩和・治療のために医療保険制度を利用してホルモン治療を受けることができるわけです。もちろん専門医での診察から、薬剤の適合性や服用に際しての注意事項など、安全性に配慮した上で活用するお薬です。

――こうした効果的な処置を受けるためにも、痛みを放置しないで早めにクリニックに行くべきなのですね。

毎月、重い月経痛を感じながらも痛み止めでしのいでいるという人は多いと思いますが、もしかしたら思ったよりも簡単に緩和することができるかもしれません。一度、専門医に診てもらってはいかがでしょうか?

飯田橋レディースクリニックHP
http://www.iidabashi-ladies-clinic.com

(取材協力:岡野浩哉、文:貫井康徳@dcp)

※画像はイメージです

※この記事は 総合医学情報誌「MMJ(The Mainichi Medical Journal)」編集部による内容チェックに基づき、マイナビウーマン編集部が加筆・修正などのうえ、掲載しました(2018.08.02)

※本記事は公開時点の情報であり、最新のものとは異なる場合があります。予めご了承ください

※この記事は2013年10月01日に公開されたものです

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