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専門家に聞く「職場の居場所をなくさない」育休のとり方って?

先日マイナビウーマンでとった『育休3年が実現したら活用したいか』というアンケートによると、働く女性がこの案に対して不安感を抱いていることがわかりました。

「育休を1年ちょっととるだけでも肩身が狭いのに、3年もとったら居場所がなくなる」「育休をとると職場の同僚に迷惑がかかる」といった育休のとりにくさを指摘する声が多かったのが印象的です。そこで、育休取得中、職場復帰後の不安やプレッシャーをどのように解消していけばいいのか、「上手に育休を取る方法」をテーマに仕事と育児の両立を手助けする育休後コンサルタントの山口理栄さんに伺いました。

―「育休をとると、職場の独身者やまわりにしわ寄せがいく」と気にする女性が多数のようです。

「出産後も仕事を続ける場合、復職前と同じようには働けません。しかしそれがずっと続くわけではありませんよね。独身者はやがて自分も子育てをするかもしれないし、病気やけがによって、長く休むことがあるかもしれません。自分がまわりに迷惑をかける時期もあれば、助ける側にまわる時期もあるのですからお互い様。周囲に上手に助けてもらうといいでしょう」

―復帰したときに居場所がなくなってしまうという声もありますが……。

「育休復帰を『待ってました!』と迎えられるためのポイントとして2つのことが考えられます。ひとつは、育休前の職場において、その人がどんな存在だったかです。“あの人にしかできない仕事がある”というのはもちろん、 “あの人と仕事をすると楽しい”“あの人に何か頼むと、期限通りにきっちりと求めていた結果が提供される”。こういう人を目指して仕事に取り組んでみてください。もうひとつは、育休中の職場とのコミュニケーションです。自分から職場にコンタクトを取り続けましょう。子どもを見せに行ったり、忘年会などに顔を出すのもオススメです。『この人は、育休中だけど職場の一員であり続けようとしているな』と思われることは、仕事に対して引き続き意欲がある、という印象につながります」

―キャリアに影響が出るのは嫌!

「一時的なキャリアダウンや、停滞はあるかもしれませんが、そこから再び前進するかしないかは、自分の意思で決めることです。周囲を見てください。新入社員から定年まで、一直線でキャリアを築いていった人がいますか? 若いときに勢いがあった人でも、定年近くなったら保身ばかりでぱっとしなかったり、職位には恵まれなくても、人的ネットワークで、定年後には鮮やかな転身をした人がいたり、人それぞれですよね。影響がある気がすると言って悩むより、その時期にしかできない経験をたくさんして、人間力を磨きましょう」

◆困ったときはお互い様。だけど、周囲の人のためにも最低限の工夫が必要

「子どもを産む年齢の女性が雇用されている以上、会社は、常に一定の数の社員が育休を取っていることを前提に仕事がまわるようにする必要があります。あなたのまわりに育休をとる人がいたら、『あの人が子持ちだから、自分が困っている』と考えるのはやめてみて。いつ自分が、病気やケガ、介護で休んだり時短をとったりしないとも限らないのです。長いスパンで困ったときはお互い様、という考え方を持つようにしましょう。

かといって、個人で努力をしなくてよいということではありません。産前休業に入る前の丁寧な引き継ぎ、休業中のコミュニケーション、復職前の職場復帰セミナー受講、職場復帰面談シートを利用した、きめこまかな職場復帰面談など、積極的に仕事への責任を持ち続ける姿勢は大切。『迷惑』と言われるような状況を極力少なくする工夫は必要です」

各企業にも改善点があるのが現実。だけど、これらの問題が解決されるのをただ待っているのではなく、今、自分でできることをしっかりやっていくことが重要。それが、育休を上手に取るコツなのではないでしょうか。

 (中村未来/清談社)

 ★山口理栄

育休後コンサルタント。仕事と育児の両立をしながらキャリアップ・スキルアップを目指す女性の活動を支援している。共著の「さあ、育休後からはじめよう~働くママへの応援歌」(労働調査会刊)では、妊娠中、産休、育休の過ごし方のほか、『育休後の職場復帰(子育て編)』、『育休後の職場復帰(仕事編)』について詳しく書かれており、育休中の女性はもちろん、今後育休を取る可能性がある女性のための必読書。「育休後コンサルタント.com

 

※この記事は2013年05月23日に公開されたものです

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