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6割の女性が否定的!? 「育休3年」が社会に根づくための6つの条件とは?

マイナビウーマンが働く女性を対象に行った「育休3年案を活用するか」と題するアンケート調査によると、「(育休3年を)活用しないと思う」という回答が6割を超える結果となりました。とはいえ、使いこなせれば便利なこの制度、どうすれば当事者である女性たちが前向きに使えるようになるのでしょうか。そこで、仕事と育児の両立を手助けるする育休後コンサルタントとして活躍する山口理栄さんに、育休3年案について意見を聞いてみました。

■「復職するための条件が1年以内に整わなくても退職せずにすむ」というメリット

「育休3年案の意味を、『育休が最長3年まで取れるようになること』と解釈した場合、両親の仕事の都合、子どもの健康問題、預け先が見つからないなどの要因で、1年での復職が難しい場合でも、最長3年休めれば退職せずにすむケースが増えると考えられます」

復職を希望する女性にとって、育休期間が最長3年あるのはとても魅力的なことと言えます。しかし実際にはさまざまな問題点も考えられます。

■「女性の負担増」「育休の無駄遣い」を危惧

「育休の期間だけを延ばしても、復職への道筋が整備されていない、復帰後に上位職への登用を前提とした育成がされていない、という現状の問題が未解決のままでは、女性はますます活躍できなくなります。3年もフルに休まず途中で復帰すればいいのではないか、という人もいますが、そう簡単ではありません。最長3年が制度化されれば、本当に必要な人だけではなく、復職できる条件が整っているにもかかわらず安易な理由で長期間取得する人が出てくる可能性があります。そういう人は職場で迷惑者扱いされるでしょう。企業が自衛手段として、女性は育休をとるから採用を控えようという考え方に傾く心配もあります」

前回のアンケートでも、「育休の無駄遣いをする人が増えるのでは」と、多くの人が懸念していました。では、どのような条件が揃えば「育休3年」が社会に根づき、女性が活用しやすい制度となるのでしょうか。

■「育休3年」には6つの条件が必要

山口理栄さんによると、もし、本当に育休3年を制度化したいならば、以下の条件が整う必要があるということです。

・産後2カ月以上どのタイミングからでも保育園に子どもを預けられ、兄弟姉妹がいたら全員が同じ保育園に入れること。そして育休を0カ月~3歳までの範囲で、自ら決めた期間でとれるようにすること。
・復職後に同じ部署、もしくは十分に通える範囲にある別部署へ、本人の同意のもと戻れること。
・育休を取得した期間によって、職場において復職のための適切なサポート(最新のビジネス状況や製品情報、技術情報などへのキャッチアップのため)が受けられること。
・昇進、昇格、昇給について、本人の成果に基づき正しく評価され、その結果が反映されること。評価基準が社内で統一され、透明であること。育休前の評価が無効とならず、育休後の昇格要件として有効であること。育休取得が評価の上でマイナスにならないこと。
・育休中に定期的に会社と本人の間にコミュニケーションを図るシステムがあること。
・男女両方が育休を取得するのが普通、というように、企業も個人も考え方を変えること。

「また、出産前まで仕事をしていた女性の約半分は退職し、育休とは無縁です。その人たちからは、産後の早い時期での再就職支援に力を入れてほしいという要望が強くなっています。地域の子育て支援拠点で、お母さんとしての支援と同時に、就業支援を積極的に行うことや、企業が子育て中の女性の経験と能力を正しく評価して、積極的にフルタイムで雇うことが必要でしょう」

■これから子育てと働くことを両立しようと考えている女性へ

「自分の働き方を貫くためには、責任と覚悟が必要です。この軸さえ自分の中に確立できれば、結婚、出産、自分やパートナーの転勤、そのほかいろいろなことが今後発生したとしても、そのときどきでベストな選択ができるにちがいありません」

 解決すべき課題は山積みな子育て支援制度。当事者である私たちがこの問題に対してもっと主体的に考えることが大切なんですね。

(中村未来)

★山口理栄
育休後コンサルタント。仕事と育児の両立をしながらキャリアップ・スキルアップを目指す女性を、企業、個人の両面から支援している。共著に「さあ、育休後からはじめよう~働くママへの応援歌」(2013年2月 労働調査会刊)がある。

育休後コンサルタント.com

※この記事は2013年05月14日に公開されたものです

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