30代は、しがらみを感じはじめる年代
ゆかりん「アイさん。私、とうとう30歳になってしまいました。これで、結婚とか転職とか一気にハードルが上がるかと思うとブルーで……」アイ「そんなことはないでしょう。30代は30代、40代は40代にしか出せない魅力だってあるのに」ゆかりん「そう割り切れるほど大人の女性としての自信もない。なのに、若いっていうだけで許されることは年々減っていく気がして……」アイ「あらら、年を重ねるたびにブルーになるなんて、一生懸命に生きている自分が報われないわ。たしかに大人になるほど失うものもあるけれど、生み出すこともできるようになると思わない?」ゆかりん「生み出すって、どういうこと?」アイ「そうねぇ。たとえば自分のことを、毎日いろんな経験を蓄積し続けているデータベースだと思ってみて。長い年月かけて蓄積されたデータが、新しい状況でも柔軟に対応する知恵を生み出す。そう思うと、自分のことを粗末にできないでしょ」ゆかりん「そんな優秀なデータベース、私にあるのかな。とくに恋愛のデータは少なめだからアテにできないかも」アイ「ゆかりん、すっかり弱気になっているみたいね。よし、今日の映画は『GIRL』で決まり。20代後半~30代という微妙な年代を生きる女性たちをリアルに描いたストーリーよ。主人公は広告代理店に勤める29歳の由紀子と、その友人である30代の女性たち」ゆかりん「ちょうど、私やアイさんと同じ世代ですね」アイ「そう。34歳の女性管理職、聖子。同じく34歳のベテランOL、容子。そして36歳のシングルマザー、孝子。この三人は、由紀子より先に30代を迎えていて、それぞれに大人のしがらみを抱えながら生きている、と」ゆかりん「大人のしがらみって?」アイ「女性であること以外にも、大事な社会的役割や責任を果たす立場にあるってこと。管理職なら管理職らしく、ベテランならベテランらしくを求められる。シングルマザーなんて、それこそ自分のことなんか後回しで仕事と家事・育児に追われる日々だしね」ゆかりん「30代って、自分を取り巻く環境がどんどん変わっていくむずかしい年代なんですね」
恋に飛び込むには“大人の分別”というブレーキを解除
アイ「大人の女性になるプレッシャーを感じはじめた由紀子のエピソードも、今のゆかりんにぴったりだけど、恋愛ってことでいうと、自分よりひとまわりも若い新入社員の慎太郎に恋しちゃった容子のエピソードがおもしろいかな」ゆかりん「新入社員に恋!? 私だったら、お肌ぷりぷり20代男子の横に並ぶのを想像するだけでも勇気がいるけど」アイ「容子も、そうよ。たまたま自分は教育係になっただけだし、たしかに慎太郎は好青年だけど、まさかねって感じで自分の気持ちを認めていなかったの。そもそも仕事一辺倒の容子は、かなりオヤジ化していて、恋するときめきも素直な気持ちも錆びついていたわけ」ゆかりん「それ、わかる。仕事で責任ある立場になると、恋愛で感情がアップダウンするのが面倒に思えてくるの。それに、ガツガツしているように見られたくないなんて、まわりの目が気になったりもするし」アイ「大人の女心は複雑よね。社会的に信頼を勝ち取るには、大人の自覚が必要。でも、恋愛ではそれがブレーキになることがあるのね」ゆかりん「そう。いいなと思う男性がいても、その場に自分より若い子が多いときは明らかに自分を抑えているかも。大人げないと思われるのが嫌で、一歩引いちゃう」アイ「自分が気にしていることって、実際よりも大きな問題に見えてしまうのよね。本当は、年齢なんか関係なく魅力的に見えているかもしれないのに、『私は対象外ですから……』なんて遠慮していたら、せっかくのチャンスがもったいない」ゆかりん「うん、実際に損していることもあると思う」アイ「そのブレーキ、解除しましょ。パートナーを求める気持ちは自然なものだし、誰だって、いつからだって、幸せになる権利はあるんだから」
Data
『GIRL』
30代へのカウントダウンがはじまった主人公の由紀子と、一足先に30代を謳歌する3人の友人。自立した大人の女性の日々は、一見華やかで自由に見えて実はしがらみだらけ。仕事、恋愛、結婚、子育てにもまれながらも、自分が輝ける生き方を模索するキュートな女性たちの物語。監督:深川栄洋 出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏ほかBlu-ray<プラチナスタイル> 6,930円(税込)、DVD<プラチナスタイル> 5,985円(税込)、DVD<カジュアルスタイル> 3,990円(税込) 販売元:ポニーキャニオン
監修・三吉野愛子(心理コーディネーター)
いくつになっても魅力的な人でいる秘訣
ゆかりん「それで、慎太郎への恋心を否認していた容子はどうなったの?」アイ「ああ、そうだった。あるとき、若くてセクシーな女子社員が慎太郎に急接近するのを目撃して、容子は思わず暴走しちゃうの。結局、勘違いだったんだけど、公衆の面前で恥ずかしいくらい取り乱したことで、自分の気持ちが恋なんだって思い知るのよ」ゆかりん「容子、イタイ。でも、そういうのをきっかけに恋が進展することもありますよね?」アイ「それがね、容子はヒートアップした自分を抑えるために、慎太郎の教育係を降りて距離を置こうとするの。普段通りの大人の自分に戻ろうとするのね」ゆかりん「出た、大人の分別!!」アイ「そうなの。でもね、自分は対象外だって割り切ろうとした容子の考えとは裏腹に、容子の大人の魅力は慎太郎にはちゃんと伝わっていたみたい。どれくらい恋が進展するかはわからないけど、慎太郎から容子を食事に誘うくだりで終わるのよ」ゆかりん「へぇ、意外な展開。そもそも大人の魅力ってなんだろう。年を重ねることがプラスになるようなコツってあるのかな……」アイ「ある、ある。ズバリ言うからメモ取ってね。まず感情が豊かに動いていること。そして、自分の至らない部分を愛すること。最後に、求めることから与えることにシフトすること」ゆかりん「えーっ!! 聞き逃した。もう1回言って!!」アイ「いくら外見を磨いても、心が動かない人はキレイに見えないでしょ。悲しいときは悲しい。うれしいときはうれしい。そんな自然な感情を感じられる健康な心でいることが、ひとつめのキレイの秘訣」ゆかりん「ふん、ふん。それから?」アイ「外見はキレイにしていても、内心では自分の足りていないところを批判的に査定してばかりなんていうのも注意が必要よ」ゆかりん「どうして? 私、ついやっちゃうけど」アイ「人は自分のことを受け入れている分しか、人のことも受け入れられないの。自分の白髪やシワが許せない女性は、自分以外の人の白髪やシワにもキビシイ目線を注ぐはず。たとえ表面的にはにこやかでも、接した人は直感的に『この人には受け入れられていない』って感じてしまうのよ」ゆかりん「それ、怖い。自分への厳しさは人にも伝わっちゃうんだ。だから、自分の至ららないところを受け入れて、ほかの人にも大らかにならなくちゃいけないんですね。じゃあ、3つ目の求めることから与えることにシフトするっていうのは?」アイ「それこそ、大人になるほど磨かれていくものかもね。長く生きるほど、失敗や喪失や別れの経験は増えていくもの。つらい体験はダメージも大きいけど、他者に対する思いやりや愛情に昇華する可能性も含んでいる。つまり、豊かな人間性を育むチャンスなのよ」ゆかりん「なるほど。それなら、年をとることは経験を重ねることだってプラスに考えられる! でも、まだ“求める”と“与える”の違いがピンときてないんですけど……」アイ「誰か幸せにしてくれないか、幸せになれる何かが手に入らないかって待ってばかりだと、満たされない気持ちになるでしょ? これが求める愛。そこで逆転の発想をして、自分がすでに持っているもので幸せを与えられる誰かに出会いに行こうと考えてみる。そうすると、不思議と安定した気持ちにならない?」ゆかりん「それが与えるってこと? スタンスを変えるだけで、ぜんぜん気分が違ってくるんだ。幸せを感じないのは、なにももっていないからじゃなくて、自分から与えようとしないからってことなのね」アイ「そう。ケンカしたときも、この要領でね。相手が謝ってきたりやさしい態度を取ったりするまで許さないぞって意地を張るのは求める愛。大切な人ならば、相手の態度には関係なく愛を表現しようとするのが与える愛。仲違いしている時間すら、もったいないって感じね」ゆかりん「心の中の見えない部分が、大人の魅力を育てるんですね。かなり難しいけど、それができたら劇的に人生が変わる気がする」アイ「完璧じゃなくてもいいし、少しずつでかまわないのよ。小さなことでも自分を認め続けることで、他の人へのやさしいまなざしを手に入れてね。そんな大人の余裕あふれる女性を素敵だと思う男性が、必ず現れるから」
★本日のまとめ★
年を重ねるたびに不安になる人は、常識や一般論、平均的な幸せのイメージに、自分を合せようと無理をしているのかもしれません。そんなときは、誰かに認められるための生き方から離れ、物事の基準を「世の中」から「自分」にシフトしてみましょう。人生の主人公は世の中の素敵な誰かではなく、いつも自分自身です。何も持っていないと感じていても、まったく自信がなくても大丈夫。今このときから、この世にひとりしかいない自分だけのストーリーを紡いでいけばいいのです。
Data
『GIRL』
30代へのカウントダウンがはじまった主人公の由紀子と、一足先に30代を謳歌 する3人の友人。自立した大人の女性の日々は、一見華やかで自由に見えて実はしがらみだらけ。仕事、恋愛、結婚、子育てにもまれながらも、自分が輝ける生 き方を模索するキュートな女性たちの物語。監督:深川栄洋 出演:香里奈、麻生久美子、吉瀬美智子、板谷由夏ほかBlu-ray<プラチナスタイル> 6,930円(税込)、DVD<プラチナスタイル> 5,985円(税込)、DVD<カジュアルスタイル> 3,990円(税込) 販売元:ポニーキャニオン
監修・三吉野愛子(心理コーディネーター)