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「失恋が忘れられない……」終わった恋の乗り越え方

恋愛以外の人間関係を大切に

アイ「さて。ゆかりんが知りたがっていた、“自尊心を高める”っていう話とつながるエピソードを紹介するわね」

ゆかりん「そう、それが知りたい」

アイ「ロンドンで新聞記者をしているアイリスは、恋人だと思っていた同僚のジャスパーが、別の女性と婚約したのを知って大失恋。いわゆる“いい人”の彼女は、いつも調子のいいジャスパーに都合よく振りまわされてしまう。そんな切ない関係が何年も続いていたところに、一方的に終止符が打たれたってわけ」

ゆかりん「そういうつらい恋愛をしている女性って、意外と多いのかも。他人事に思えなくてつらい……」

アイ「アイリスは、実際にはステキな女性よ。でも、惚れた弱みでジャスパーに合わせすぎてしまうから、対等な関係が築けなくて傷ついてばかり」

ゆかりん「そっか。自尊心って、対等な立場を築くために必要なものなんだ」

アイ「そんなアイリスが、ホームエクスチェンジの二週間で見違えるほど強くなるのよ。ちょうど旅先のロサンゼルスでの生活を満喫しはじめたころに、ロンドンから元彼ジャスパーが押しかけてきちゃう。そこで、図々しくも二股の関係に引き戻そうとする彼の誘いを、アイリスはきっぱりと退けるのよ」

ゆかりん「なびかなかったのね。何が彼女を変えたんだろう」

アイ「出会いがあったのよ。ホームエクスチェンジの相手であるアマンダは、映画関係の会社経営者で豪邸に住むセレブだったのね。雪深い田舎町からやってきたアイリスは、カルチャーショックを受けながらも、持ち前の誠実さで隣人たちから信頼を得ていくの」

ゆかりん「うん、いい話。不器用な正直者って、応援したくなっちゃう」

アイ「なかでも、知的で謙虚なアイリスに好意をもった老紳士との友情を通して、女性としての誇りや自信が芽生えていくの。40以上も歳が離れたこの2人は、お互いに敬意をもって会話を楽しみ、勇気づけ、支え合う友だちになったのよ」

ゆかりん「なるほど。心から認め合える関係が、アイリスの心を強くしたわけね」

アイ「そう。自分は、かけがえのない大切な存在なんだって知ることが自尊心を育むわけだから、自分を認めてくれ、励ましてくれ、見守ってくれる存在は貴重よ。それが恋愛関係とは別にあると、なお心強いわね」

ゆかりん「なるほど。恋愛はいつか終わるかもしれないけど、友情や家族愛はよほどのことがない限りは終わらない。訳ありの恋愛にのめり込んでいるときって、つい友だちや家族と疎遠になりがちだけど、そういうときこそ変わらない愛情が必要なのね」

「もういちど傷つく怖さ」を乗りこえるために

アイ「英国に渡ったアマンダにも、素敵な展開が待っているわよ。アマンダは映画業界で成功し、知性と美貌と抜群のスタイルを誇る自立した女性。そんな近寄りがたいほどの強さの裏には、両親の離婚によって深く傷ついた少女時代という過去があるの」

ゆかりん「アイリスとは全然ちがうキャラね」

アイ「彼女こそ、二度と愛を失うまいとして張り詰めている人よ。理屈をこねて感情を押さえ込むし、傷つきそうな予感がすると自分から相手を突き放してしまう」

ゆかりん「深く愛さなければ、たとえ失っても傷は浅いってこと?」

アイ「そう。それが彼女の鎧なの。鎧をまとって仕事にのめり込んでいれば、孤独を感じなくて済むでしょう」

ゆかりん「ちょっと寂しい気もするけど……」

アイ「そんなアマンダは、英国の田舎町で、アイリスの兄であるグレアムと出会う。妻を亡くして2人の娘を育てているグレアムは、とても愛情深い人なの。その人間味あふれる愛が、鎧に守られたアマンダの心に沁みていくのよ」

ゆかりん「ステキな話。でも、アマンダはもともと人を愛することが難しいタイプで、しかも失恋したばかりでしょ。次の恋愛に飛び込むのって怖くないのかしら」

アイ「その通り、すごく怖いのよ。いつものように理性で自分を抑えて、タフでクールな女性でいようとするんだけど、最後の別れぎわに感情の波が理性をこえちゃうの。アマンダにとっては歴史的な瞬間ね。だって、最愛の父親が去ってから15年以上も涙を流したことがなかったんだから」

ゆかりん「す、すごい。それだけ感情を封じ込めることができるのもすごいし、それを溶かしたグレアムの愛もすごい」

アイ「孤独になることや傷つくことは、誰でも怖いのよ。その怖さを乗り越える勇気は、あふれるほどの愛を全身全霊で感じたときにわきあがってくる。むしろ、その瞬間がくるまでは、無理して次の恋愛に飛び込まなくてもいいってことなのかも」

ゆかりん「なんか、ちょっとホッとしました。私にも、そんな瞬間がくるのかもしれないって。本物の出会いがやってくるまで、私はちゃんと前を向いて生きていればいいんだ」

アイ「そうそう。焦らず、自分を大事に、そして前を向いてね」

★本日のまとめ★

恋愛という濃い人間関係を終わらせたあとは、自尊心が脆くなっています。そんな状態で次々と恋愛をするのは、さらに傷口を広げるリスクが……。失恋の傷を癒すには、自分のために時間やお金を使い、自分のために泣き、心のおもむくまま過ごし、ありのままの自分を愛してくれる友人や家族と過ごすのが効果的。その上で、かけがえのない自分を大切にしてくれる誰かと出会い、かけがえのない相手をあなたも大切にしたいと思えたら、その手をしっかりと握り返せばいいのです。

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Data

『ホリデイ』

大失恋をきっかけに二週間の休暇をとり、自宅や車をまるごと交換する“ホームエクスチェンジ”を試みた2人の女性。旅先での心温まる出会いが傷ついた心を やさしく癒し、運命を好転させていく。たとえ愛を失い深く傷ついたとしても、人はまた新しい愛に出会うことができる。もう一度人を愛する勇気がわいてく る、ハートフルなラブ・ストーリー。

監督・脚本:ナンシー・メイヤーズ 出演:キャメロン・ディアス、ケイト・ウィンスレット、ジュード・ロウ、ジャック・ブラックほか

ブルーレイ 1,980円(税込) 発売元:ジェネオン・ユニバーサル・エンターテイメント

※この記事は2013年02月18日に公開されたものです

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