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「旧正月」とは? 日本のお正月との違いや海外での祝い方を解説

すぎうら

旧正月とは、旧暦における正月のこと。中国や韓国などのアジア圏では盛大に祝われるようですが、日本ではあまりなじみがない行事と言えるかもしれません。今回は、旧正月の意味や正月との違いを解説。併せて、日本における旧正月事情を紹介します。

カレンダーや手帳で「旧正月」という文字を見かけたことはありませんか? 日本人にとってあまりなじみのない行事なので、旧正月がいつなのか、何をする日なのかを知らない人が多いかもしれません。

そこで今回は、旧正月とは何かを解説。併せて、日本と海外の旧正月事情について紹介します。


旧正月とは?

正月といえば新年一発目の大イベント。家族や親戚で集まり、おせちを囲む家庭も多いのではないでしょうか。

その一方で、あまりピンとこないのが「旧正月(きゅうしょうがつ)」です。まずは、旧正月とはいつのことを指すのか、何をするのかを解説していきます。

旧正月とは「旧暦の正月」の意味

旧正月とは、旧暦における正月のことです。旧暦とは明治5年まで用いられていた暦のことで、1年は約345日となっています。

現在の日本で採用されているのは、新暦。新暦では1年が365日なので、日本の正月は毎年1月1日にやってきますよね。

対して旧暦では、月の満ち欠けのサイクルに合わせて1カ月を定めており、1カ月が約29.5日、年間は354日となります。新暦と比べて11日少ないため、数年に一度うるう月を設ける、つまり1年を13カ月にすることで調整しています。

こうしたことから、旧正月の日付は毎年異なるのです。

ちなみに、2024年の旧正月は2月10日。以下の表のように、旧正月は毎年およそ1月21日~2月20日前後に訪れることが分かります。

2023年 1月22日
2024年 2月10日
2025年 1月29日
2026年 2月17日
2027年 2月6日

旧正月と正月の違い


旧正月と正月は、暦によって訪れる日程に違いがあります。

また、日本のように新暦で正月を祝うのが一般的な国もありますが、中国をはじめ、台湾や韓国などのアジア圏では、現在でも旧暦の正月である旧正月を盛大に祝う習慣があります。

このように、日程と、祝われる地域の違いがあると言えるでしょう。

日本ではなぜ旧正月を祝わないの?


かつて日本でも旧暦を採用していた頃は、旧正月を祝っていました。しかし、現在は日本の多くの地域では旧正月を祝う習慣はなく、その理由もはっきりとしていません。

うるう年である明治6年に月給を13回払わなければならないことを避けるため、新暦に改定したという説。その他には、欧米諸国の文化を積極的に受け入れるためといった説がありますが、どれも定かな理由とは言えないようです。

ただし現在でも、沖縄の一部地域や横浜、神戸、長崎などの中華街では旧正月を祝う習慣があります。またこれらの地域に該当しなくても、家庭によっては旧正月にも仏壇や床の間にお供え物をして、正月料理を囲むところもあるかもしれませんね。

旧正月と立春の違い


立春とは、二十四節気という暦の上で春が始まる日を指します。太陽黄経が315度に達する日を指し、2024年は2月4日が立春に当たります。

旧正月と立春は時期が近く、また1年の始まりとされる点も同じ。そのため同じものと勘違いしている人がいますが、二十四節気と旧暦は違う基準で決められているため無関係です。

ただし、約30年に1回だけ旧正月と立春が重なる年があり、それを「朔旦立春(さくたんりっしゅん)」や「立春正月」と呼び、大変縁起が良い日とされています。

中国の旧正月(春節)事情

春節(しゅんせつ)とは、旧暦における正月、つまり旧正月のことです。中国では一大イベントとされ、新暦の正月よりも盛大に祝われます。

ここからは、中国では旧正月をどのように祝うのか、お祝いでどんな料理を食べるのかを見ていきましょう。

中国の旧正月(春節)の祝い方


中国の春節には、以下のような風習があります。日本の正月に似ているものもあれば、中国独特のものもありますよ。

(1)縁起物を飾りつける

春節の期間は、町中に赤い灯籠やちょうちんが取りけられます。中国で赤は大変縁起が良い色とされているのです。

また、春聯(しゅんれん)と呼ばれる、縁起が良い言葉が書かれた赤い紙を家の出入り口に貼って新年を迎える風習もあるようです。

(2)圧歳銭を渡す

日本のお年玉と同様、孫や子どもに現金を渡す圧歳銭(あつさいせん)という風習も。

お金をあげることで子どもを祟りから守り、その年を健康で幸せに暮らせるようにという願いが込められているそうです。

(3)爆竹や花火を打ち上げる

町中では文化的なイベントが数多く開催され、爆竹や花火を打ち上げて盛り上がります。爆竹には、邪気を払って福を招き入れるという意味が込められているのです。

古くから親しまれている習慣ですが、近年は爆竹の使用を禁止している地域も増えています。

(4)家族で集まって過ごす

春節は家族で集まって過ごすのが定番。春節の夕食は団欒飯と呼ばれ、1年で特に重要な食事とされています。

団欒飯を食べた後は、紅白歌合戦のような特別番組を観て過ごすことが多いようですよ。

旧正月(春節)のお祝いに食べるもの


春節のお祝い料理は、地域によって異なります。中国北方では、春節に家族そろって餃子を作って食べるのが定番だそう。餃子の形が中国の昔の貨幣に似ていることから、「富をもたらす」という意味があるといわれます。

また、春節に魚を食べる風習もあります。中国語で「魚」の発音が「余」と同じことから、「年年有魚」を「年年有余」と置き換え、毎年良い収穫があることを願うのだそうです。

その他には、春巻きや長寿麺、おもちなど、日本のおせち料理のように豪華な食事が食卓に並ぶようですよ!

日本・中国以外の旧正月事情

中国以外にも、旧正月を祝う国は数多くあります。そこで、続いては各国の旧正月事情を紹介します。

台湾の場合


台湾の旧正月は中国と同様に「春節」と呼ばれ、1週間程度の連休となります。大晦日は「年菜」と呼ばれる、台湾のおせち料理を家族で囲む風習があります。縁起の良い食べ物として、大根・パイナップル・魚・みかんなどが食卓に並ぶのだとか。

さらに、「年貨大街(ニェンフォダージェー)」と呼ばれる歳末市が開催され、年越し商品を買い求める人々でにぎわいます。

韓国の場合


日本のお隣、韓国において旧正月は「ソルラル」と呼ばれ、親戚が集まって先祖を供養します。旧正月は3日間前後が休日となり、帰省する人たちで交通機関がにぎわうようです。

お正月は、日本の雑煮に似た「トックク」という料理が定番。トッククを囲み、家族や親戚と共に旧正月を過ごすようです。

ベトナムの場合

ベトナムの旧正月は「テト」と呼ばれて祝祭日となります。家に金柑の木や桃を飾る習慣があり、町中でさまざまなイベントが開催されるようです。

旧正月に食べる料理は地域によってさまざま。「バインチュン」と呼ばれるちまきに似た料理や、煮込んだ肉を冷やしたゼリー、キノコスープなどを食べるといわれています。

マレーシアの場合


多民族国家であるマレーシアでは、年に4回も正月を祝う習慣があるのだとか。中華系の人が多く住んでいるため、旧正月の過ごし方や祝い方は中国と似ています。

チャイニーズニューイヤーである旧正月には、中国と同様に町が赤色にデコレーションされます。「イーサン」と呼ばれるおめでたい料理を食べるそうですよ。

旧正月は旧暦の正月を意味する


旧正月とは、旧暦の1月1日、また元日からの数日間を指します。日本では明治初めに旧暦から新暦へ切り替わったことをきっかけに、旧正月を祝う習慣は少なくなりました。

一方で中国の旧正月は春節と呼ばれ、1年の中で特に盛り上がる国民行事として知られています。他にも、韓国やベトナムなどでも旧正月をお祝いする習慣があることが分かりました。

同じアジア圏でも、旧正月の位置づけや祝い方がさまざまなのは興味深いものですね。

(すぎうら)

※画像はイメージです

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