お使いのOS・ブラウザでは、本サイトを適切に閲覧できない可能性があります。最新のブラウザをご利用ください。

「重ね重ね」の意味は? 使い方や類語などを解説

Sai

「重ね重ね」の意味、理解できていますか? 「重ね重ね申し訳ございません」などのフレーズを使う機会は多いですが、適切に使えていない人は少なくありません。今回は、ビジネス系ライターのSaiさんに意味や使い方を解説してもらいます。

取引先へのメールやビジネス文書などでよく使う「重ね重ね」という言葉。

「重ね重ねありがとうございます」とか「重ね重ねお詫び申し上げます」などの表現を見聞きする機会は多いですが、あなたは正しく使用できていますか。

今回は、「重ね重ね」の意味や使い方を例文つきで解説。また、類語や使用上の注意点なども併せて紹介します。

「重ね重ね」とは?

まずは、「重ね重ね」とはどんな言葉なのかを確認してみましょう。

読み方は「かさねがさね」

重ね重ねは「かさねがさね」と読みます。口語でも使える表現なので、読み方もぜひ覚えておきましょう。

『デジタル大辞泉』によれば意味は以下のように説明されています。

かさね‐がさね【重ね重ね】

1 同じようなことが繰り返されるさま。たびたび。

2 念入りに相手に頼み込むさま。自分の心情の深さを相手に伝えようとするさま。

(『デジタル大辞泉』小学館)

たびたび繰り返しているさまを表現したい時や、気持ちの深さを伝えたい時・強調したい時などに最適な言葉です。

「重ねて」といった言葉を2度も続けていることからも分かるように、より言葉に重みを持たせる働きをしています。

「重ね重ね」は二重表現ではない

「重ね重ね」という言葉を聞くと、同じ意味の語を重ねる二重表現のように感じてしまう人もいるでしょう。

しかし、「重ね重ね」は同じ言葉を続けて「重ねて」という意味を強調しているだけであり、決して間違った日本語ではありません。

ビジネス上の文書やメールなどにおいても使われる正しい表現のため、問題なく使えることを覚えておきましょう。

英語で表現すると「again」

海外支社や海外の取引先などと頻繁にやり取りをする人の中には、「重ね重ね」の英語表現を知っておきたいという人も少なくはないでしょう。

「重ね重ね」は「again」や「over and over again」などで表すことが可能で、英語で深い心情を表す時には重宝する表現です。

例えば、「Sorry to bother you again.(重ね重ね迷惑をおかけして申し訳ございません)」や「I’d like to apologize to you over and over again.(重ね重ねお詫び申し上げます)」などが代表的なフレーズとなります。

「重ね重ね」の使い方と例文

「重ね重ね」は、主にビジネスシーンやフォーマルな場面などで使われる言葉です。

使い方を間違えると取引先や顧客に悪い印象を与えることにつながってしまうため、シーン別の使い方を例文で詳しく確認しておきましょう。

お礼をする時に使う場合

「重ね重ね」は、お礼をする時に使えば感謝の気持ちをより強調することができる表現です。

最初にお礼の言葉を述べた上でさらに謝意を伝えたい時に使用すると、深い感謝の気持ちを表せるでしょう。なお、感謝の気持ちをさらに重ねる表現のため、文書などの冒頭で使うことはできません。

用法や具体的な使用シーンを理解するためにも、例文を確認しておきましょう。

例文

・この度は弊社の依頼をご快諾いただいた上にご意見まで賜り、重ね重ねありがとうございます。

・先日はお招きいただきまして誠にありがとうございました。また、結構なお品物まで頂戴し、重ね重ねお礼申し上げます。

参考記事はこちら▼

「重ねてお礼申し上げます」の使い方や言い換え表現を紹介します。

お詫びをする時に使う場合

「重ね重ね」は、深いお詫びの気持ちを伝えたい時にもよく使う言葉です。

謝罪をしたけどまだ言い足りていないと思う場合や、相手に許してもらえていないと感じる時などに、より一層謝罪の気持ちを強調する目的で使います。

ビジネスメールなどで「本当に申し訳ございません」などと述べたあと「重ね重ね」を使って謝罪の気持ちを再度表現すると、申し訳なく思っている気持ちが伝わりやすくなるでしょう。

例文

・何度も足を運んでいただいたのにご期待に添えず、重ね重ね申し訳ございません。

・この度は弊社の確認ミスによりご迷惑をおかけし、大変申し訳ございませんでした。また、お手を煩わせてしまい重ね重ねお詫び申し上げます。

参考記事はこちら▼

メールでお詫びをする際に気を付けるべきポイントを、マナー講師の松本繁美さんに伺いました。

念押しをする時に使う場合

「重ね重ね」は、お願いや依頼をする時にも使える表現です。

何かを頼む場合にクッション言葉として使えるため、「申し訳ございませんが」や「恐縮ですが」などのフレーズと一緒に使うと、丁寧で柔らかい印象を与えられるでしょう。

ただし、多用するとくどいと思われる可能性があるので注意する必要があります。

例文

重ね重ねのご連絡で恐縮ですが、何卒よろしくお願いいたします。

重ね重ねの質問になり、大変申し訳ございません。

重ね重ねのお願いで恐縮ですが、週明けまでにご回答をいただけると幸いです。

「重ね重ね」の類語

言葉の意味をより深く理解したり使い方のポイントを把握したりするためには、類語を知ることが効果的です。

「重ね重ね」にも似た類語がいくつかあるので、それぞれの意味や「重ね重ね」との違いを確認しておきましょう。

(1)重々(重重)

「同じことを何度も繰り返すさま」を表す「重々(重重)」という言葉。

「重ね重ね」とニュアンスが似ており、言い換えられるケースも多々あります。

しかし、「重々(重重)」は「十分に」という意味も持っており、この意味で使われる場合は「重ね重ね」に置き換えることができません。

例えば、「重々承知しております」というフレーズは「十分に知っている」という意味になるため、「重ね重ね」で代用できないことを覚えておきましょう。

(2)くれぐれも

「くれぐれも」は、何度も心を込めて依頼をしたり忠告をしたりする時に使用する言葉です。

同じようなことを繰り返したり念入りに相手に依頼をしたりする意味合いの言葉であるため、「重ね重ね」と混同してしまう人は多いでしょう。

しかし、「重ね重ね」があくまでもお礼やお詫び、念押しをする時などに使う言葉である一方、「くれぐれも」はアドバイスをしたり警告をしたりする時にも使う言葉となります。

例えば、「くれぐれもお忘れにならないように」などという場合は「重ね重ね」で言い換えることはできません。

それぞれの言葉のニュアンスをよく理解し、使い分けられるようにしておきましょう。

(3)度々(たびたび)

何度も繰り返し行われるさまを表す言葉で、「重ね重ね」と同じ意味で使われる類語の1つです。

例えば、何度も同じ案件について質問する時に「度々申し訳ありません」「度々のご質問となり大変恐縮ですが」といった前置きをすることがあります。

「重ね重ね」を使う上での注意点

お礼やお詫びの気持ちを表現するだけでなく、クッション言葉にもなる「重ね重ね」。

使い勝手の良い言葉ですが、誤用してしまうと、かえって悪い印象を持たれることもあるでしょう。

そこでここからは、「重ね重ね」を使う上での注意点を解説します。

「重ね重ね」は忌み言葉

フォーマルなシーンでも使える「重ね重ね」ですが、実は結婚式やお葬式で使用を控えるべき「忌み言葉」であり、慶事や弔事の際に使用することはできません。

「重ね重ね」のような「重ね言葉」は縁起が悪く、冠婚葬祭の場で使うと失礼な印象を持たれてしまいます。

結婚式のスピーチなどで使うことのないよう、十分注意するようにしましょう。

ビジネスメールでも使える?

重ね重ねは、ビジネスメールで使うのにもふさわしい言葉です。例えばメールの締めくくりに「重ね重ねよろしくお願いいたします」といった形で使われます。

目上の相手にも使える?

重ね重ねは丁寧な表現なので、目上の相手や取引先などに対して使える言葉。しかしやや堅い表現なので、「度々」や「繰り返しとなりますが」といった言葉に置き換えられることもあります。

例えば「重ね重ねお詫び申し上げます」は、取り返しがつかないような重大な場面での謝罪にふさわしい言葉だと言えるでしょう。

意味や正しい使い方を理解しよう

ビジネスメールや文書などでよく見る「重ね重ね」という言葉。

取引先や顧客と円滑なやり取りををするために欠かせない表現ですが、正確な使い方が分からない人は少なくないでしょう。

しかし、「重ね重ね」の意味や場面に応じた使い方を理解すれば、使いこなすことはそこまで難しくありません。

「重ね重ね」の類語や使用上の注意点なども併せて把握しておき、職場などで自信を持って使えるようになりましょう。

(Sai)

※画像はイメージです

SHARE