季節や形によって変わる「月の名前」って? 風情あふれる月の名前
「月」には多くの名前がついていることをご存知でしょうか? 月は1つしか存在しませんが、時期や形によって、数々の呼び名がつけられています。今回は、そんな月の名前を季節や見え方別に解説します。
一言に「月」と言っても、呼び方は数多くあります。
見え方による違いはもちろん、毎月異なる名前を持つことは知っていますか?
今回は、月の名前について紹介していきます。
日本の「月の名前」は予想以上に多い
月は「月」ではないか、そう思う人がほとんどでしょう。
しかし月の名前は数多く存在します。いくつあると思いますか? 5個でしょうか、10個でしょうか。
実は月の名前、呼び方は50以上あるともいわれています。
「月」といってもさまざまな形状がある
一言で「月」と言われた時、誰しもが思い浮かべる夜空の月。
しかし、その思い浮かべた月の形は皆同じでしょうか? その月は満月なのか半月なのか、それとも三日月なのでしょうか? もしかしたらスーパームーンを思い浮かべているかもしれません。
このように、一言で「月」と言っても、思い浮かべる月の形が違う可能性があるのです。
例えば三日月の話をしたいのに「月」としか言わなかったら、相手は満月の話と思って聞いてしまうかもしれません。
では、もし三日月という名前がなかったらどのように説明するのでしょうか。円弧状の細長い月、新月から2日の月と説明できるかもしれません。
しかし、「三日月」という言葉があれば誰もが同じ月のイメージを持ち、話が進められます。
なぜ「月」は多くの名前を持つのか
月という実体は1つしかないのに、なぜこんなにも多くの名前が存在するのでしょうか。
それは、日本人が月を眺めて季節を感じたり、見える形によって異なる名前をつけたりしているからです。
月が常に同じ形であれば、もっと名前も少なかったでしょう。しかし人の目から見える月は、満ち欠けしています。また、光の当たり方によって色が異なって見えることも。
そのように、形態や季節によって違う名前をつけることで、同じ月でも「異なるもの」として区別しています。
古くからの名前は和名として漢字で書かれることが多く、海外から入ってきた名前や最近ついた名前はカタカナで表されることが多いです。
このことを頭において、次の項目では、どのような名前があるのか見ていきましょう。
月の名前一覧
ここからは、月の名前を紹介していきます。
見え方や季節、月別など、分類ごとに分けていますが、全て月の名前です。1つずつ見ていきましょう。
【見え方別】月の名前
同じ球状の月ではありますが、満ち欠けによっても見え方が変わることからつけられた名前も多くあります。
有名な満月や三日月はもちろん、他の名前もありますので、新月から順番に紹介していきます。
・新月/1日目
・二日月(ふつかづき)/2日目
・三日月、眉月(びげつ)/3日目
・上弦(じょうげん)の月、弓張り月、半月(はんげつ)/7日目
・十三夜(じゅうさんや)/13日目
・小望月(こもちづき)/14日目
・十五夜(じゅうごや)、満月、望月(もちづき)/15日目
・十六夜(いざよい)/16日目
・立待月(たちまづき)/17日目
・居待月(いまちづき)/18日目
・寝待月(ねまちづき)、臥待月(ふしまちづき)/19日目
・更待月(ふけまちづき)/20日目
・二十三夜(にじゅうさんや)、下弦(かげん)の月、下(しも)の弓張り/23日目
・下弦後の三日月、有明の月/26日目
・三十日月(みそかづき)/30日目
名前だけを見ていると、漢字が連なってどのような月なのか想像つきにくいでしょう。
そんな時は、漢字を分解して考えていくとどのような状態の月なのか、何となく想像がつくようになります。
例えば聞き慣れない名前として、新月から17日目の「立待月」があります。
これは、満月以降月の出が約50分ずつ遅くなることから、早く月が出ないかそわそわとして、立ちながら待ってしまう様子からきています。
19日目の「寝待月」は立って待つ、座って待つことは諦めて、なかなか月が出ないので寝床で待っている様子からついた名前です。
これらの名前には、昔の人々の月を待ちわびる気持ちが込められているほか、月という存在が多くの人に愛されてきたことも感じられます。
【季節別】月の名前
季節による月の名前は、四季に関するものがほとんどです。
1つずつ見ていきましょう。
・春月(しゅんげつ)
・夏月(かげつ)
・秋月(しゅうげつ)
・冬月(とうげつ)
・朧月(おぼろづき)
・寒月(かんげつ)
四季の基本である春夏秋冬はもちろん、春の季語でもあるかすかに霞んだ月の「朧月」、冬の季語の「寒月」という言葉もあります。
季節によって温度や湿度、天候などが異なることから、月の見え方も違います。この違いや風情を相手に伝えるために、それぞれの名前がつけられたのでしょう。
【1~12月別】月の名前
アメリカなどの英語圏では、古くから農業や狩猟などの基準とするために、月の動きから暦を作っていたとされます。
その中に、各月別の満月の呼び方も複数存在しています。地域によっても違いがあるそうですが、ここではその一例と和名を紹介します。
・1月:Wolf Moon(ウルフムーン)/狼月
・2月:Snow Moon(スノームーン)/雪月
・3月:Worm Moon(ワームムーン)/芋虫月
・4月:Pink Moon(ピンクムーン)/桃色月
・5月:Flower Moon(フラワームーン)/花月
・6月:Strawberry Moon(ストロベリームーン)/苺月
・7月:Buck Moon(バックムーン)/雄鹿月
・8月:Sturgeon Moon(スタージェンムーン)/チョウザメ月
・9月:Harvest Moon(ハーベストムーン)/収穫月
・10月:Hunter’s Moon(ハンターズムーン)/狩猟月
・11月:Beaver Moon(ビーバームーン)/ビーバー月
・12月:Cold Moon(コールドムーン)/寒月
月と名前を見比べていくと、2月の「スノームーン」や9月の「ハーベストムーン」などイメージしやすいものと、8月の「スタージェンムーン」や11月の「ビーバームーン」など、日本ではあまり身近ではないものもあります。
8月は豊漁を祈願した名前、11月はビーバーがダムを作り始めるため、そのビーバーを捕まえるワナを仕掛ける時期からきた名前です。
6月の「ストロベリームーン」も不思議に感じる人がいるでしょう。1月から5月が食べごろなことから「苺」とついたという説もありますが、真偽は定かではありません。
この苺月は苺ではなく木苺の旬の時期からついた名前の可能性もあります。木苺は6月から9月が旬なので、6月の苺月にはぴったりです。
【珍しい月別】月の名前
月は約29.5日周期で満ち欠けしているので、基本的には1カ月に1回は同じ形の月が見られるはずです。
しかし、なかなか見られない珍しい月には、以下のように名前がついています。
ブラックムーン(Black Moon)
ひと月に新月が2回ある時の月の名前です。
月の満ち欠けは約29.5日といわれていますので、まれにひと月に2回新月が見られることがあります。
影になっている新月は黒く見えることから、ブラックムーンと呼びます。
ブルームーン(Blue Moon)
これはブラックムーンの満月バージョンで、ひと月に満月が2回ある時の月の名前です。
現在ではひと月に2回ある満月のうち、2回目の満月をブルームーンと呼ぶことが多いです。
マイクロムーン(Micro Moon)
これは、地球から見た月のサイズが最も小さく見える時の月の名前です。
言葉で説明されると分かりづらく感じるかもしれません。月は地球の周りを楕円を描きながら回っています。そのため、地球に近い時の月、遠い時の月というのが存在するのです。
スーパームーン(Super Moon)
これはマイクロムーンの反対の言葉です。月が地球に最も近づくことによって、サイズが大きく見える月の名前です。
スーパームーンは大きく見えることからニュースなど話題に上がりやすく、見聞きすることも多い言葉でしょう。
・ブラッドムーン(Blood Moon)
これは、皆既月食の時の月の名前です。
太陽の光を地球が遮ることで、地球の影が月にかかります。これにより太陽からの直接的な光は月に届かなくなり、間接的な光のみ月に届きます。
この時に見える色がオレンジや赤色なことから、ブラッドムーンという名前がつきました。
月の名前はカレンダーに載っている?
月の名前は分かったけれど、では「今日」はどの月なのか知りたい人もいるでしょう。その場合、役に立つのはカレンダーやスケジュール帳です。
種類によりますが、カレンダーやスケジュール帳などには、大安や赤口などの六曜と共に、月の満ち欠けや名前が載っているものが多くあります。
月の満ち欠けの絵しか載っていなくても、満月の次の日は十六夜、その次の日は立待月と簡単に分かります。
月の名前が載っているものも販売しているので、購入時に確認してみましょう。
月の名前を覚えて夜空を眺めてみよう
いかがでしたでしょうか。
1つしか存在しない月に、こんなにも多くの名前がついているなんて、驚いた人も多いでしょう。
少しの形の違いや季節によって異なる見え方、珍しい月にも名前をつけるのは、月が多くの人に愛されている証拠でしょう。多くの人が見上げる月だからこそ、これほど多くの名前がついたのです。
今回は「月の名前」について解説してきました。ぜひ参考にしてください。
(蛍)
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