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「校正」とは? 意味や「校閲」との違いについて解説

武田 麻希

「校正」という言葉を聞いても、専門用語なので何を指しているか分からないという人も多いでしょう。今回は、「校正」とは何か、その意味や仕事での使い方などを解説します。

校正という言葉を耳にしたけれど、どういう意味か分からない……という人も多いですよね。出版物やWebメディアなどでミスを避けるのに重要な役割を持つのが「校正」です。

出版社や新聞社勤務でなければこれまではあまり縁のない言葉でしたが、ITが発達したことなどから、関わる機会がある人も増えているのでは。

今回は「校正」の意味や関連語との違いなどを見ていきましょう。

「校正」とは

「校正」には、以下のような意味があります。

こうせい【校正】

1.文字・文章を比べ合わせ、誤りを正すこと。

2.印刷物の仮刷りと原稿を照合し、誤植や体裁の誤りを正すこと。

3.測定器が示す値と真の値の関係を求め、目盛の補正などを行うこと。

(『デジタル大辞泉』小学館)

一般的には、印刷物やWebコンテンツなどの文字の誤りを直したり、誤植や体裁の誤りを正したりする場合によく使われる言葉です。

元々は印刷物を作成する際に行われていた工程

「校正」という言葉は、元々は製版行程における専門用語です。印刷工程で画像のでき具合を確認するために行う検査や、発行物の文字チェックなどを「校正」と呼んでいました。

さらに細かく区分すると、製版所や印刷所の中で行う校正を「内校」、クライアントに提示して行う校正が「外校」といわれます。

ITの発達で携わる人が増えている

前述した通り、「校正」という言葉は、書籍や新聞、雑誌などの印刷物を作成する行程で使われていた用語でした。しかしITが発達するにつれて、IT業界でも使われる機会が増えています。

例えば、自社でホームページの運営やWebサイトの作成などをする際、誤字脱字や文章の誤りがないか確認する場合にも、「校正」という言葉が使われます。

「赤字照合」とは

校正の過程は、大きく「赤字照合」と「突き合わせ」に分類できます。

「赤字照合」では、1つ前の原稿に書き込まれた修正内容が、新しい原稿に反映されているかどうかをチェックする作業のことです。内容に問題がないかを確認する作業のことだと覚えておきましょう。

「突き合わせ」とは

校正のもう1つの過程である「突き合わせ」では、1つ前の原稿で指摘された内容が、新しい原稿に反映されているかどうか、1文字ずつ確認していく作業のことです。

つまり「突き合わせ」は、文字の確認を行い、誤字脱字や言葉遣いの誤りをなくすために行います。

校正が行われるコンテンツとは

校正は、内容や文字・言葉遣いなどが正しいかどうかの確認を行う作業です。現在では印刷物だけでなく、さまざまなコンテンツで校正が行われています。

どのようなコンテンツで校正が行われるのか、具体的に見ていきましょう。

印刷物

印刷物は、一度印刷して世の中に出てしまうと訂正するのが難しいです。そのため、以下のようなコンテンツの印刷前には校正が行われます。

・新聞

・書籍・雑誌

・カレンダー

・カタログ

・社内報

・名簿など

間違った内容や誤字・脱字などがあると、印刷物の信頼性も下がってしまいます。信頼性の低下を防ぐために、何度も校正が行われることも多いです。

Webコンテンツ

現在は、インターネットで自ら情報を発信する企業が増えています。以下のようなコンテンツを作る時にも、校正が行われることが多いです。

・自社Webサイト

・オウンドメディア

・Webマガジン

・メールマガジン

印刷物と比べると修正はそう難しくはありませんが、信頼性を担保する意味でも、間違いがないよう校正が行われます。

「校正」と関連が深い言葉

「校正」と関わりが深い言葉がいくつかありますので紹介します。「校正」の意味と比較しながら違いを見ていきましょう

「校閲」と「校正」との違い

「校閲」には、以下のような意味があります。

こうえつ【校閲】

文書や原稿などの誤りや不備な点を調べ、検討し、訂正したり校正したりすること。

(『デジタル大辞泉』小学館)

校正では指摘したことが反映されているかの確認を行いますが、校閲ではさらに掘り下げたチェックを行います。例えば事実関係に誤りがないか、差別表現など不適切な表現がないか、同じコンテンツ内で矛盾がないか、改行は適切かなど。

コンテンツの質を下げないために、校閲で細かくチェックするのです。

「執筆」と「校正」との違い

「執筆」には、以下のような意味があります。

しっぴつ【執筆】

文章を書くこと。

(『デジタル大辞泉』小学館)

印刷物やWebコンテンツの文章を作る時に関わりがあるのが執筆です。担当者が執筆した文章は、校正や校閲での確認をへて、問題がなければ世の中に出ていきます。

校正と執筆に大きな関わりはありますが、作業内容は全く異なる点を理解しておきましょう。

「編集」と「校正」との違い

「編集」には、以下のような意味があります。

へんしゅう【編集】

一定の方針に従って資料を整理し、新聞・雑誌・書物などにまとめること。また、撮影済みの映像を映画などにまとめること。また、その仕事。

(『デジタル大辞泉』小学館)

また「編集」は、映像コンテンツの制作など、幅広いジャンルで使われる言葉でもあります。執筆・校正・校閲された文章をまとめるのが編集の役割です。

校正は文章の修正作業のことを指すのに対して、編集はコンテンツ全体をまとめる役割を指します。

「校了」とは?

「校了」には、以下のような意味があります。

こうりょう【校了】

校正がすっかり終わること。

(『デジタル大辞泉』小学館)

校正が終了して、印刷やWebコンテンツへのアップロードなどが可能な状態になることを指して「校了」と表現します。

校正が必要な理由

文章に自信があると、「校正は本当に必要なの?」と思う人もいるかもしれません。しかし校正は、以下のような目的のためにとても重要な作業です。

(1)コンテンツの品質を上げる

誤字脱字や間違った内容があると、コンテンツの品質が低下して、信頼性も下がってしまいます。校正が行われない場合、コンテンツの品質が低下するリスクは高くなるでしょう。

そのような事態を避けてコンテンツの品質を上げるために、校正は重要な役割を果たしています。

(2)トラブルを未然に防ぐ

校正が十分に行われず、誤字脱字や内容の誤りが残ったままだと、以下のようなさまざまなトラブルが起こる可能性があります。

・会社名を間違えてクレームになった

・商品の価格を間違えてトラブルになった

・カレンダーに誤記があり、刷り直し費用がかかってしまった

・法令に反する表現があり、会社としての責任を問われてしまった

ちょっとした間違いでも、重大なトラブルにつながることもあります。トラブルを事前に防ぐためにも、校正は重要です。

校正を行うために必要なこと

校正は誰にでもできる訳ではなく、個人の力量や体制なども求められます。校正を行う際に必要なことについて具体的に見ていきましょう。

文章力や教養、幅広い知識

校正では、文章や内容の誤りの修正がされているかどうかの確認を基本的には人が行います。担当者に文章力や、コンテンツに対する知識がなければ、校正は難しいです。

校正を行う人に公的資格は必要ありませんが、文章力や幅広い知識などの教養が求められます。

体制を整える

コンテンツの作成者が校正を担当すると、誤った部分を見付けにくかったり本人では気付かなかったりすることがあります。また、専門性の高いプロセスですので、専門知識がある人が担当することが求められる行程です。

そこで、校正や校閲は、担当者をきちんと決めるなど、体制を整えて行うことが大切です。誤った内容のコンテンツになるのを避けられるよう、体制を整えて校正や校閲を行いましょう。

「校正」や「校閲」はコンテンツの品質を保つのに必要な最後の砦

今回は、「校正」の意味や役割についてご紹介しました。「校正」とは文字や画像を比べ合わせ、誤りを正すことを意味しています。

コンテンツに誤字脱字や誤りがあると、信頼性が疑われてしまったりトラブルになったりすることもあります。校正や校閲ができるよう体制を整えて、質の良いコンテンツを制作していきましょう。

(武田 麻希)

※画像はイメージです

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