「汎用性」の読み方や意味とは? 「凡庸性」との違いも一緒に解説
よく使われる「汎用性」という言葉は、意味や読み方を迷いやすい言葉でもあります。今回は、「汎用性」の意味や使い方・対義語などを解説します。
「汎用性」は、日常生活の中でも使う機会が多い言葉の1つです。しかし、「凡庸性」など読み方や意味が似ている言葉も多く、使い方に戸惑うこともあります。
意味や読み方を間違えて恥をかかないためにも、「汎用性」は気をつけて使いたい言葉です。そこで今回は、「汎用性」の意味や使い方、類語や対義語などを見ていきましょう。
「汎用性」とは?
「汎用性」には、以下のような意味があります。
はんようせい【汎用性】
汎用性(はんようせい)とは、ある物事について、幅広く適用したり、一般的に活用したりすることができる性質を意味する表現である。(『実用日本語表現辞典』)
「汎用性」は、「汎用」と「性」という2種類の言葉が組み合わさって、上記のような意味になった言葉です。「汎用」と「性」にはそれぞれ以下のような意味があります。
はんよう【汎用】
いろいろの方面に広く用いること。せい【性】
物事に備わった性質。(『デジタル大辞泉』小学館)
「汎用性」は、上記の意味が重なることで、幅広い対象に使える性質のことを表しているのです。
汎用性が高い(低い)とは
「汎用性」という言葉は、「汎用性が高い(低い)」という言い回しでよく使われます。「汎用性が高い」という言い回しには、以下のような意味があります。
はんようせいがたかい【汎用性が高い】
さまざまな用途や場面で用いることができ、有用であるさま。高度に汎用的であるさま、汎用性の度合いが高いさま。(『実用日本語表現辞典』)
反対に「汎用性が低い」とは、用途が限定されていることを表します。
「汎用性」と「凡庸性」との違い
「汎用性」とよく混同されがちな「凡庸性」という言葉には、以下のような意味があります。
ぼんようせい【凡庸性】
ありふれていて特に目立った点も認められないという性質のこと、または、その程度を意味する語。凡庸であるという性質。(『実用日本語表現辞典』)
「凡庸」には、「平凡で取り柄がないこと」という意味があります。広く使えることを意味する「汎用性」と比べると、ネガティブな意味で使われる言葉です。読み方が似ていることから混同されやすいので、間違えないよう気をつけましょう。
【例文あり】「汎用性」の使い方
「汎用性」の意味を理解したら、使い方も知っておくと便利です。ここでは、「汎用性」の具体的な使用例をご紹介します。
「汎用性がある・ない」の使用例
「汎用性」を使った表現としては、「汎用性がある」「汎用性がない」などの言い回しがよく使われます。下記の例文を見て、使い方を覚えておきましょう。
例文
・汎用性がある商品は使いやすく、購入する人が多い
・あまり生産されていないパーツを使うと製品価格が高額になってしまうため、汎用性があるパーツを使いたい
「汎用性が高い」の使用例
「汎用性が高い」は、製品開発などビジネスシーンでも使うことがある表現です。下記のような使い方がありますので、うまく活用してください。
例文
・汎用性が高い製品の方がよく売れている
・汎用性が高い製品を開発するのか汎用性の高さを重視しないのかで、部署間で意見が対立している
・新しく開発された素材は汎用性が高く、文房具や日用雑貨、収納用具などさまざまな物に使える
「汎用性」の類語表現
「汎用性」には似た意味を持つ表現がいくつかありますので、一緒に覚えておきましょう。代表例をご紹介します。
「万能性」と「汎用性」
「万能性」には、以下のような意味があります。
ばんのうせい【万能性】
あらゆる物事に対応・処置できること。万能であること。またはその程度の度合い。(『実用日本語表現辞典』)
「汎用性」は活用の幅が広いことを意味しますが、何にでも活用できる訳ではありません。一方「万能性」は「汎用性」よりさらに活用しやすく、何にでも使える性質のことです。
「多機能」と「汎用性」
「多機能」には、以下のような意味があります。
たきのう【多機能】
機能が多いこと。道具や設備などが、さまざまな働きを備えていること。(『デジタル大辞泉』小学館)
「多機能」は、その製品や物自体にたくさんの機能があることです。「汎用性」とは材料などをさまざまな用途に使えることを指しており、その物自体に機能があるとは限りません。
「多目的」と「汎用性」
「多目的」の意味は下記の通りです。
たもくてき【多目的】
同時に種々の目的を持っていること。また、そのさま。(『デジタル大辞泉』小学館)
例えば「この素材は汎用性が高い」は、「この素材は多目的に使える」とほぼ同じ意味です。同時にさまざまな目的を持っており幅広く使用できるという点で、「多目的」は「汎用性」と似たような状況で使える、類義語の1つといえます。
「多様性」と「汎用性」
「多様性」には、以下のような意味があります。
たようせい【多様性】
いろいろな種類や傾向のものがあること。変化に富むこと。(『デジタル大辞泉』小学館)
「多様性」は、その物自体にたくさんの種類があることですが、汎用性は1つの物をたくさんの用途に使えることを指します。類義語ですが、少しニュアンスが異なる点に注意して使いましょう。
「汎用性」の対義語
「汎用性」には、反対の意味で使われる言葉がいくつかありますので、一緒に覚えておきましょう。「汎用性」の代表的な対義語をご紹介します。
「専門性」と「汎用性」との違い
「専門性」には、以下のような意味があります。
せんもんせい【専門性】
特定の分野についてのみ深く関わっているさま。高度な知識や経験を要求されること、またはその度合い。(『実用日本語表現辞典』)
例えば人材の特徴を表す場合に、特定の分野に関する知識や技能が突出している人を「専門性が高い人材」と表現します。
一方、どんな分野の仕事でも必要とされるスキルを備えている場合は「汎用性がある人材」です。
このように、「汎用性」と「専門性」は、人材の特徴を表す時に、対極の意味で使われます。
「専用性」と「汎用性」との違い
「専用性」とは、「専用」に接尾辞「性」がついた言葉です。「専用」には、以下のような意味があります。
せんよう【専用】
1.特定の人だけが使うこと。
2.ある特定の目的・対象だけに使うこと。
3.それだけをもっぱら使うこと。(『デジタル大辞泉』小学館)
上記のように、目的が限られていることを表す「専用性」は、多目的で使える「汎用性」の真逆の意味で使われます。
「汎用性」の英語表現
仕事で英語を使う機会があるなら、「汎用性」の英語表現も覚えておきましょう。
直訳すると「versatility」
「versatility」という英単語「多芸」や「多才」といった意味があり、「汎用性」の英語表現として使われます。
例文
・high versatility data(汎用性が高いデータ)
・high general versatility(汎用性が高い)
日常会話ではあまり使われませんが、特許の出願などで使われる機会がある表現です。
「general purpose」が使われることもある
「general purpose」には「多目的の」といった意味があるため、「汎用性」の英語表現として使われることがあります。
例文
・excellent in general purpose(汎用性に優れている)
・have high general purpose(汎用性の高さを備えている)
こちらも日常会話で使う機会はそう多くありませんが、製品の説明をする際に役立つ表現です。
「汎用性」は幅広く適用できる性質のこと
今回は、たくさんの用途がある性質を意味する「汎用性(はんようせい)」についてご紹介しました。「汎用性」という言葉は、「汎用性が高い」「汎用性がある」などの言い回しで使われることが多いです。
混同しがちな表現に「凡庸性」がありますので、間違えないよう気をつけましょう。また類義語には「万能性」や「多目的」などがありますが、使う上でのニュアンスが少しずつ異なります。違いを理解して使い分けましょう。
対義語には「専門性」や「専用性」があります。意味を勘違いしやすい表現ですので、間違えないよう気を配りながら、正しく使っていきましょう。
(武田 麻希)
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