「ドメスティック」の意味とは? 使い方と例文&対義語
「ドメスティック」とは? 「ドメスティック・バイオレンス」の印象が強く、意味を勘違いしている人も少なくないこの言葉。今回はビジネス系ライターのSaiさんに、2つの意味や正しい使い方などを解説してもらいます。
ビジネスシーンやニュースなどでよく見聞きする「ドメスティック」という言葉。なんとなくニュアンスは分かるものの、あいまいにしか理解できていない人が多いのではないでしょうか?
また、「ドメスティック・バイオレンス」の印象が強く、意味を勘違いしている人も少なくありません。
今回は、「ドメスティック」の正しい意味や使い方を詳しく解説します。
「ドメスティック」の意味は?
「ドメスティック」には大きく2つの意味があります。まずは、それぞれ順に確認していきましょう。
(1)家庭内の、家庭的な
「ドメスティック」の1つ目の意味は、「家庭内の」や「家庭的な」です。
ニュースなどで、「ドメスティック・バイオレンス」という言葉を聞いたことがある人は多いでしょう。
この場合の「ドメスティック」は「家庭内の」という意味で、「ドメスティック・バイオレンス」とは「家庭内暴力」を表しています。
なお、「ドメスティック・バイオレンス」のイメージから「ドメスティック」自体を悪い言葉だと思っている人も少なくはありませんが、「ドメスティック」には暴力的なニュアンスはありません。
意味を勘違いしがちな人が多いので、気をつけましょう。
(2)国内の、自国の
「ドメスティック・バイオレンス」の印象が強いことから「家庭内の」という意味にのみ着目しがちな「ドメスティック」ですが、「国内の」や「自国の」という意味もあります。
実はビジネスシーンでは「国内の」の意味で使う場合の方が圧倒的に多く、国内で起こっていることや生じている事象などを表す時に、よく「ドメスティック」が使われます。
特に航空業界やファッション業界などでは頻繁に使用されているため、覚えておくようにしましょう。
「ドメスティック」の使い方と例文
全く異なる2つの意味を持つ「ドメスティック」という言葉。文脈や場面に合わせて適切に使うためにも、それぞれの意味での使い方や例文を確認しておきましょう。
また、「ドメスティック」を英文で使う場合の用法や例文についても併せて紹介します。
「家庭内の」の意味で使う場合
「家庭内の」の意味では、主に家族間で起こっていることを表す場合や社会問題に関して話す場合などに使われます。
「ドメスティック」単体で使うというよりは、「ドメスティック・バイオレンス」や「ドメスティック・ハラスメント」などの成句として使われることが多い点が特徴です。
例文
・「ドメスティック・バイオレンス」は、犯罪となる行為をも含む重大な人権侵害である。
・配偶者に対する暴力などのドメスティックな問題は、今や世界中で起こっていることだ。
・夫婦間や親子間でモラルハラスメントが行われることを「ドメスティック・ハラスメント」という。
「国内の」の意味で使う場合
特にビジネスシーンにおいて頻繁に登場する、「国内の」という意味での「ドメスティック」。
「ドメスティックな〜」「ドメスティックの〜」というように形容詞として後に来る名詞を修飾したり、「ドメスティック」と他の名詞を組み合わせて熟語的に使ったりするのが基本的な使い方となります。
例文
・ドメスティックの市場はどんどん縮小傾向にあるため、早急に海外進出を視野に入れる必要があるだろう。
・悪質な海外製品が出回ったことを受け、ドメスティックな製品の需要は今後どんどん高まると予想される。
・ドメスティック企業の役職者こそ、すぐにでも英語を学ぶべきだろう。
・食料品を選ぶ時に必ずドメスティック・プロダクツを選ぶという人は多い。
「ドメスティック」を英文で使う場合
「ドメスティック」を英文で使う場合は、語源であり全く同じ意味を持つ単語「domestic」をそのまま使用します。
「domestic」は形容詞であり、文中での使い方もカタカナ語の「ドメスティック」とほぼ変わりません。例文で詳しく確認してみましょう。
例文
・It is said pet abuse and domestic violence are related.(一般的に、動物虐待と家庭内暴力には関係性があると言われている)
・The new type of business model that started in developing nation cut into the domestic industry.(新興国で生まれた新しいタイプのビジネスモデルが国内産業に割り込んだ)
「ドメスティック」を含む用語
「ドメスティック」には、「ドメスティック・バイオレンス」のように他の言葉と組み合わせて使われている用語が数多く存在します。
ここからは「ドメスティック」が使われる代表的な用語を紹介しますので、一つひとつしっかり確認しておきましょう。
ドメスティック・ブランド
「ドメスティック・ブランド」は主にファッション業界などでよく使われる言葉で、日本で生まれた国内ブランドのことを指しています。
海外ブランドに比べると服や小物などを日本人の体型に合うようにデザインしているのが特徴で、海外からの「インポート(輸入品)」に対して「ドメスティック(国産品)」とだけ称されることもあります。
ドメスティック・エアライン
「ドメスティック・エアライン」は、飛行機の「国内線」を意味する言葉です。
主に航空業界や旅行業界で使われる言葉ですが、実際に業務上で使用する場合は、「エアライン」を省き「ドメスティック」だけで「国内線」を表すそうです。
なお、企業によってはさらに略して「ドメ」とか「ドメス」などと呼んでいる場合も多いのだとか。
また、空港で「domestic departures(国内線乗り場)」や「domestic arrivals(国内線到着ゲート)」などの表示を見る機会も多いので、航空・旅行業界関係者以外の人も覚えておいて損はないでしょう。
「ドメスティック」の反対語
「家庭内」や「国内」など、物事の内側を表す意味を持つ「ドメスティック」は、外側を表す意味の反対語と組み合わせて使うシーンが少なくありません。
そこでここからは、「ドメスティック」と対になって使われることが多い反対語を紹介します。
「家庭内の」の意味で使う場合の反対語
「ドメスティック」を「家庭内の」という意味で使う場合は、「社会の」という意味の「ソーシャル」が反対語に当てはまります。
家庭内の問題を外の社会である学校や職場などでも考えることで解決策が生まれる場合もあるため、「ドメスティック」な問題を取り扱う際にはよく一緒に使われる言葉です。
「国内の」の意味で使う場合の反対語
「国内の」の意味での「ドメスティック」の反対語は、「国際の」を意味する「インターナショナル」となります。
例えば、「ドメスティック・エアライン(国内線)」に対して「インターナショナル・エアライン(国際線)」という言い方をしたり、「ドメスティック・ブランド」に対して「インターナショナル・ブランド」という語句が使われたりします。
また、「グローバル」や「世界」などの言葉を対で使う場合も多いです。
「ドメスティック」の意味を勘違いしないようにしよう
ビジネスシーンだけでなく、ニュースやメディアなどでもよく見聞きする「ドメスティック」という言葉。どうしても「ドメスティック・バイオレンス」の印象が強いため、なんとなく悪い言葉のようなイメージを持っている人も多いでしょう。
しかし、「ドメスティック」自体には暴力的なニュアンスはなく、決してマイナスな意味を持つ言葉ではありません。
また、一般的によく知られている「家庭内の」の意味以外に「国内の」の意味も持っており、ビジネスシーンでは後者の方がよく使われています。
2つの意味や関連する用語・例文などをしっかりと把握しておき、正しく「ドメスティック」を使えるようにしましょう。
(Sai)
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