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「懸念」の意味は? 使い方や類義語との違いを解説(例文付)

Sai

職場などでよく聞く「懸念」という言葉。「懸念点」や「懸念する」「懸念される」などの表現は知っているものの、具体的な意味が分からない人もいるのでは? 今回はビジネス用語に詳しいライターのSaiさんに、意味や使い方などを解説してもらいます。

上司や取引先など、目上の人と会話する場面でよく使われる「懸念」という言葉ですが、その意味を正しく説明できますか?

今回は、「懸念」の意味、「危惧」や「杞憂」などの類義語との違い、ビジネスシーンにおける使い方などを例文付きで解説します。

「懸念」とは?

まずは、「懸念」がどういう意味の言葉なのかを確認しましょう。

辞書の意味

まずは、言葉の意味を辞書で調べてみましょう。

け‐ねん【懸念】 の解説
[名](スル)
1 気にかかって不安に思うこと。「安全性に―を抱く」「先行きを―する」

2 仏語。一つのことに心を集中させること。

3 執着すること。執念。

「かやうの者までも皇居に―をなしけるにや」〈盛衰記・一〉

出典:『デジタル大辞泉(小学館)』

「懸念」とは、「物事が気になって不安になること」や「気になっている事柄が心から離れない状態」を意味している言葉です。

「執念」や「執着」という意味も持っていますが、一般的には心配する様子や将来起こるかもしれない出来事への不安を表現したりする時に使われます。

敬語として上司にも使える言葉

「懸念」は、主にビジネスなどのかしこまったシーンで使用されます。

また、「ご懸念」などの敬語表現を加えて、目上の人や取引先に対して使うことができます。

インフォーマルな場面や同僚、後輩などに使うと心の距離があるように感じられてしまう可能性もあるので、状況によりうまく使い分ける必要があるでしょう。

「懸念」の使い方(例文付き)

「懸念」という言葉は、主に動詞や名詞と組み合わせて使います。

懸念がある・高まるなど、動詞と組み合わせて使う

「懸念」は、「懸念する」や「懸念される」のように、動詞と組み合わせて使う場合が多いです。

使い方のイメージをつかむために、ここでは動詞との組み合わせ方を例文で紹介します。

例文

・開発途上国が軍事対立に巻き込まれていることを懸念する人は多い。

・新しいプロジェクトにおいて、社内で様々な懸念が高まっている。

・台風による悪天候が懸念されるため、社内イベントは延期されることとなった。

・豪雨による土砂災害への懸念が強く持たれている。

・昨今の世界経済に関するニュースを見ると、将来への懸念を抱かずにはいられない。

 

「懸念材料」など、名詞と組み合わせて使う

また、「懸念点」など、「懸念」に他の名詞を続けて熟語として使うパターンも、フォーマルな場面などでよく見られる表現です。

例文

・新事業に関しては様々な懸念点があるが、まずは行動しないと前には進まない。

・イベントを成功させるためにも、事前に懸念事項を洗い出しましょう。

・欧州の金融不安と円高が懸念材料ではあるものの、引き続きアジア市場は底堅い相場展開が見込まれる。

「懸念」の類義語と意味の違い

「懸念」の使い方に悩む理由の1つに、似たような意味の言葉が多いことが挙げられます。

「心配」や「危惧」「杞憂」などの類義語と混同してしまい、使い分けに困ってしまう人も多いでしょう。

ここからは、類義語である「心配」「危惧」「杞憂」と「懸念」との意味の違いを解説します。

「懸念」と「心配」の違い

「心配」は、「懸念」と違って日常生活においてよく使う言葉のため、なじみがあるという人が多いでしょう。

「気になって不安になる」というニュアンスがあるため「懸念」とよく似ていますが、「心配」という言葉は、「懸念」よりも個人的な感情を表す場合が多い点が特徴です。

「懸念」が災害や経済などの大きな物事に対して使われる一方、「心配」は身の回りの出来事に対して使われると理解しておくと、使い分けがしやすくなります。

「懸念」と「危惧」の違い

「うまくいかないのではないかと恐れること」を意味する「危惧」は、「不安になる」というニュアンスを含むため、「懸念」と意味を混同しやすいでしょう。

しかし、「危惧」は「懸念」よりもより緊急性が高い言葉です。物事が気になっているだけの状態の「懸念」に対して、「危惧」は具体的な心配事がある状態という特徴があります。

また、「懸念」とは違い、「危惧」には「悪い結果になることを恐れている」という意味合いが強いため、より切迫した状態の時に使う言葉だと覚えておくと良いでしょう。

「懸念」と「杞憂」の違い

「杞憂(きゆう)」も心配するというニュアンスを含んでいるため「懸念」の類語となりますが、「懸念」とはっきりと異なる点は、「無用な心配をしている」という点です。

「杞憂」は、取り越し苦労や起こるかどうか分からないことを心配している状態のため、根拠のある心配をしている場合が多い「懸念」とはニュアンスが異なります。

また、ネガティブな感情が伝わる言葉でもあるので、ビジネスシーンでは極力使用を避けるようにしましょう。

「懸念」の対義語

「懸念」と反対の意味で使える言葉には、以下のようなものが挙げられます。

安堵

安堵とは、懸念点が解消されてほっとする、安心することです。「安堵する」「安堵の胸をなでおろす」といった使い方が一般的でしょう。

安堵と安心の意味は同じですが、安堵は書き言葉として使われることが多い一方、安心は話し言葉によく使われる傾向にあります。

放念


放念とは、「念を放す」という文字のとおり、心に掛けないこと、心配しないことを意味します。

主に「ご放念ください」のような形で、相手への配慮を示す表現として使われます。

「懸念」を英語で表現すると?

「懸念」は、英語で表現する場合「concern」「worry」という単語が当てはまります。

どちらも名詞としてだけではなく動詞として使用することも可能で、「懸念している」という状態を表す時にも使える単語です。

例文

・Actually, there are a lot of points of concern about this project.(実は、このプロジェクトにはたくさんの懸念すべき点が存在しています)

・I am worried about a global pandemic.(世界的規模のパンデミックに懸念を抱いています)

・We should consider whether we will do business with that company because there is a concern about confidentiality.(秘密保持に懸念があるため、あの企業と取引をするかどうかは熟考すべきだろう)

正しく理解し、自信を持って「懸念」を使おう

職場やフォーマルな場面ではよく聞く「懸念」という言葉。日常生活ではあまり使わない言葉の上に、意味を混同しやすい類語が多く、使い方に悩んでしまう人は多いでしょう。

しかし、意味や類語との違いを一度理解してしまえば、正しく使用することはそれほど難しくありません。

今回紹介した内容をぜひ参考にしつつ、自信を持って「懸念」を使えるようになりましょう。

(Sai)

※画像はイメージです

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