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寸志の意味とは? 言葉の使い方や金額・渡し方&受け取り方

moeka

寸志とは? 賞与、志、心付けとの違いに触れながら意味を解説。寸志を渡す時の金額や言い方、受け取る側のお礼の方法なども紹介します。

お礼をしたい時に登場する「寸志(すんし)」。この言葉を聞いて、そもそも「寸志って何?」と疑問に思った人もいることでしょう。普段あまり馴染みがないと言う人も多いかもしれませんね。

「寸志」は、他人が自分にしてくれた行為に対して、お返しの気持ちとして使われる贈り物のこと。

今回は、「寸志」とは何か、そして使い方やマナーなどを詳しく解説していきます。

「寸志」とは?

まずは「寸志」の意味を押さえていきましょう。

「寸志」の意味

「寸志」の「寸」はもともと長さの単位で、転じて「ほんの少し」という意味を持ちます。また、「志」には「相手のことを思う気持ち」や「相手を慕う気持ち」という意味が込められています。そのため、「寸志」は「相手に対するちょっとした心遣い」という意味になります。

「寸志」は多くの場合、お金を封筒に包み、表書きをした状態で渡されます。また、お金の代わりにのし袋で包んだ品物が渡されることも多いです。

金額自体や実際に贈るものは、それほど高くないことが一般的(数千円~数万円程度)です。相手に気を遣わせず、自身も負担のない程度であれば、良いと言えるのではないでしょうか。

また、「寸志」とは贈る人が相手に対し謙譲して使う言葉です。目下の人が目上の人に使うことは出来ないので注意が必要です。

「寸志」の言い換え表現

「寸志」の言い換え表現には、以下のような言葉が挙げられるでしょう。

・松の葉
・寸情
・寸意
・薄謝

「松の葉」とは、松の葉に包むほどわずかな気持ちのこと。辞書でも「寸志」と同じ意であると説明されることがあり、贈り物の包み紙の上に書く言葉とされています。

「寸情」「寸意」は、少しの気持ちや、それを込めた心ばかりの贈り物のことです。

また、「薄謝」は「はくしゃ」と読み、わずかばかりの謝礼を渡す側がへりくだって言う表現となります。

「寸志」を渡す場面とは?

では、どのような場合で「寸志」を渡すのでしょうか。プライベートとビジネスに分けて確認していきましょう。

プライベートの場面

「寸志」を渡す場面として、結婚式やお葬式が挙げられます。どちらともお礼の気持ちを込めて「寸志」を贈ります。

まず、結婚式であれば新郎新婦が披露宴を手伝ってくれた人へ「寸志」を渡します。

お葬式の場合であれば、喪主が遺体を取り扱ってくれた霊柩車の運転手や火葬場の係員などに渡します。

しかし、場所によっては「寸志」の受け取りを禁じているため、事前にスタッフへ確認してみましょう。

ビジネスの場面

ビジネスの場面では主に2つ、会社から支給される「寸志」とビジネスが絡んだ行事の「寸志」が挙げられます。

まず、会社から社員へ支給される「寸志」は本来の給料ではないが、ボーナスほどの額でもないという意味を持ちます。特に新入社員やパート、アルバイトはボーナスではなく、「寸志」として金銭を支給されることがあります。

次にビジネスが絡んだ行事の「寸志」についてです。

会社では歓迎会や新年会、忘年会をはじめ、さまざまな集まりがあります。その集まりの幹事が部下であった場合や、参加しているメンバーの中で自分が一番目上の存在である場合に、幹事に対して「寸志」を渡しましょう。

ここでの渡し方は、タイミングが重要です。お金の管理が複雑にならないよう、集まりが始まる前に幹事へ渡しましょう。また、相手を立てるために目立たないよう渡すことも求められます。

「寸志」の渡し方とマナー

ここでは、実際に寸志を渡す際の方法やマナーを紹介します。しっかりとチェックをして失礼のないようにしましょう。

(1)のし袋の用意

「寸志」はのし袋に入れて相手へ渡します。したがって、のし袋の選び方と表書きの書き方について知ることがマナーを守る上で大切です。

プライベートでは、一般的に「寸志」を包む際、写真のように「花結びののし袋」を使うことが良いとされています。

何度も帯紐を結び直せる花結びののし袋には「何度あっても良いこと」という願いが込められており、お祝いのシーンで用いられているものです。

ビジネスでは、プライベートと同様に「花結びののし袋」を使用してもよいですが、「白い封筒」に表書きをして「寸志」を渡すことも可能です。

(2)表書きの書き方

次に表書きの書き方です。筆ペンの濃墨で水引の上中央に「寸志」と書きましょう。薄墨はお葬式などの弔事で用いるものなので、感謝の気持ちを伝える「寸志」のお礼では使用しません。墨の濃さに気を付けましょう。

また、筆ペンの他に毛筆やフェルトペンの太字を使用することも可能ですが、ボールペンや万年筆は避けた方が良いです。

水引とは、のし袋に用いられる飾りのことで、紅白の帯紐などさまざまなかたちで表現されています。最初から「寸志」と印刷されたのし袋を使うのも良いでしょう。

その「寸志」の文字の下に自分の名前を添えるのが正しい書き方です。

会社名のみを書く場合も同様です。自分の名前と肩書や会社名を並べて記載したい場合は、中央に名前を書いてその右上に肩書や会社名を記します。

(3)いくらが相場? 金額の目安

「ほんの気持ち」とは言っても金額に目安がなければ不安になりますよね。

一般的な飲み会などは設定された会費より少しだけ多めの金額を包みましょう。

結婚式や披露宴の場合は3,000~1万円が目安です。金額の幅が広い理由としては、手伝った内容や時間、主催者との関係が関与し、バランスを考えた結果の金額を用意するといいからです。

引越しの手伝いなどでは1,000~3,000円程度が一般的とされています。葬式の場合は、僧侶の送迎運転手に 2~5千円、配膳係員に 2千円、受付などのお手伝いいただいた方に 5千円~1万円渡すことが一般的です。

(4)「寸志」を渡す時の言い方

「寸志」を渡す際、相手にどんな伝え方をしたらいいのでしょうか。

決まりはありませんが、「寸志」はわずかな気持ち。従って、堂々と渡す素振りは不釣り合いかもしれません。

「寸志」を渡すのは、相手に感謝があるから。まずは感謝の理由を添えながら「○○してくださってありがとうございます」とお礼を伝えましょう。その上で、「気持ちばかりですが」「わずかですが」と遠慮気味な言葉を添えて渡すとスムーズです。

「寸志」を受け取ったらどうする?

基本的に「寸志」に対するお返しはしなくても問題はありません。

「寸志」には「心ばかりなので、お返しなど気を使わないでね」という意味も込められているからです。

しかし、ビジネスの場合ではお返しがあるといいとされます。それでは、どのようなお返しが良いとされているのでしょうか。

(1)言葉でのお礼

言葉の場合は自身の金銭面をはじめとした負担が少なく、比較的簡単にお礼の気持ちを相手に伝えられます。そのため、ビジネス関係なく相手に「寸志」をもらったお礼を伝えたいという人は言葉で伝えてみましょう。

受け取った側は「ご厚志」「ご芳志」と表現

「寸志」は目上の人からもらうもの。そして、相手が自分へへりくだっている表現です。従って、受け取った側が「寸志」という言葉を使うのは、マナー違反。

相手を立てるためにも「ご厚志」や「ご芳志」と言い換えて使うことが大切です。

「厚志」とは思いやりの気持ちを意味します。また、「芳志」はさらに相手を敬うニュアンスがあり、相手の親切心を指すのに使える言葉です。

お礼の言い方例文

お礼の言葉は以下の表現を参考にしてみてください。

・ご厚志をいただきましてありがとうございます。

・先日はご厚志を頂戴し、心よりお礼申し上げます。

丁寧な言葉で、相手の気持ちへの感謝を伝えましょう。

(2)メールやお礼状

「寸志」をもらった相手が社内の上司や比較的距離の近い相手であれば、お礼状であると堅苦しいイメージがあるため、お礼メールを送るのが良いです。

しかし、取引先や社外の人など距離の遠い相手から「寸志」をもらった場合はお礼状を送りましょう。すぐに送付できない場合は取り急ぎメールを送ることも可能ですが、必ずお礼状を送るのを忘れないようにしましょう。

「寸志」をもらった翌日までにお礼状やメールを送ることが大切です。

文の流れは宛名、挨拶文、会合の出席や協力のお礼、「寸志」のお礼、抱負や決意表明、結びの順で書きます。

ここで重要な点は、「寸志」として受け取ったお金や品だけに触れないことです。「寸志」自体にのみ触れることは非礼にあたるので気をつけましょう。

また、言葉で伝える場合と同様に文章の中で「寸志」ではなく、「ご厚志」や「ご芳志」、「御志」と言い換えて書くことを覚えておきましょう。

(3)お返しの菓子折り

菓子折りを用意する場合は、「寸志」としてもらった金額より少ない金額のものがいいでしょう。豪華であると「寸志」の方が劣っているように見えてしまい、相手(目上の人)を立てることが出来なくなってしまいます。

また、相手の好みの品や、持ち帰る際にかさばらないものであるとなお良いです。

「寸志」と似た表現

最後に、「寸志」と似た表現を押さえていきましょう。ほぼ同じ意味合いで使うこともできますが、細かな違いを理解していないと恥をかいてしまう場面も……。

いくつか代表的な例を紹介していきます。

「寸志」と「ボーナス」「賞与」の違い

「寸志」と聞いて、会社から支給される「ボーナス」や「賞与」を思い浮かべる人もいるでしょう。

一般的に「ボーナス」「賞与」は、給与とは別に払われる特別手当のこと。“給与とは別に”といったポイントが、「寸志」との共通点に感じる人もいるのでしょう。

しかし、その大きな違いは、まず相場感にあります。「寸志」とはわずかな気持ち。そのため、相場は1万円前後であることが多いと先述しました。社員に特別手当として渡される場合も、そのニュアンスを考えると1~10万円程度と考えるのが普通でしょう。

一方の「ボーナス」や「賞与」は年齢や役職にもよりますが、平均30万円前後とされています。

従って「寸志」は、入社して間もない社員などに「満額の賞与は渡せないけれど、頑張ってくれたお礼」といった意味合いで渡される場合があるようです。

「寸志」と「志」の違い

「志」と書いて、「こころざし」と読みます。「志」は元々厚意を指す言葉。好意や謝意を込めた贈り物のことを示し、故人に供える物としての意味合いも持ちます。

同じ「志」という漢字が使われるので混同しがちですが、一般的に葬式などの不祝儀として渡されるのが「志」。葬儀に参列した際に渡される香典返しの表書きとして、馴染みのある人も多いでしょう。

このように「寸志」と「志」が渡される場面の違いが分かっていないと、相手に不快な思いをさせてしまうことがあるので気をつけましょう。

「寸志」と「心付け」の違い

「心付け」は「こころづけ」と読み、感謝やお祝いとして渡すちょっとしたお金や物のことです。海外で一般的なチップのような意味合いとして紹介している辞書もあります。

結婚式でお世話になるスタッフに渡したり、自分を送迎してくれた運転手に渡したりする「心付け」。従って、「寸志」も「心付け」も基本的には同じような場面で使われる言葉です。

そのニュアンスの違いを辞書などからひも解くと、「寸志」には“へりくだった表現”という説明が添えられています。わずかばかりという気持ちが強い場合は、「寸志」とするなどの使い分けをするのもいいでしょう。

「寸志」と「金一封」の違い

「金一封」は「きんいっぷう」と読み、袋に包んで贈られる金銭のことです。「包み金」などとも言われ、一般的には金額を明らかにしたくない場面で「金一封」として渡します。

賞金や寄付金、礼金などを渡す際に使われる表現。金銭を渡すという意味では「寸志」との共通点がありますが、やはり「寸志」のほうがへりくだった印象を含む言葉でしょう。

そこに込められた思いや状況を鑑みて、言葉を選ぶと適切に使えるはずです。

■「寸志」は気持ちのやりとり


「寸志」において、物や金額のやり取りが重要なのではありません。相手の気持ちを受けること、そして自身の気持ちを贈ることが大切です。

その際に失礼のないよう、マナーを理解し、正しい寸志の意味や使い方を知る必要があるのです。

あなたも相手も気持ちのいいやり取りを目指し、周囲の人たちと良好な関係を築いていきましょうね。

(moeka)

※画像はイメージです

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