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「ご多幸」の意味は? 読み方と正しい使い方・言い換え表現

水城みかん

「ご多幸をお祈り申し上げます」という表現をよく耳にしますが、ご多幸ってどんな意味? 今回は、「ご多幸」の正しい使い方を解説。ご健勝、ご祈念など一緒に使われる言葉の意味についても解説します。

スピーチの最後やビジネスメールの締めとして使用される、「ご多幸をお祈り申し上げます」という表現。

「ご多幸をお祈り申し上げます」とは「相手の幸せを願っています」という意味です。「ご多幸」はスピーチやビジネス上のやりとり、手紙などさまざまなシーンで活用することができる表現です。

今回は「ご多幸」の意味や読み方を例文と共に解説。正しい使い方を押さえておきましょう。

「ご多幸」の意味

「ご多幸」は「ごたこう」と読み、相手の幸せを願う時に使われます。

「多幸」は、多くの幸せ、たくさんの幸せを指す言葉で、敬意を表す接頭語の「ご」をつけることで、より丁寧さが増した表現となります。

誰に対しても使用することができ、目上の人を相手に使っても問題ありません。

「ご多幸」の使い方

「ご多幸」は祝いの席や年賀状など、改まったシーンでよく使われる言葉です。メールや手紙などの文面でのやり取りから、スピーチや挨拶など幅広く使用できます。

また、「ご多幸」は人に対して使用します。企業や組織に対しては使用せず、代わりに「ご発展」などを使用することを覚えておきましょう。

シーン別にみる「ご多幸」の例文

「ご多幸」は実際にはどのようなシーンで使うのでしょうか? シーンごとに「ご多幸」の例文を見ていきましょう。

年賀状

年賀状の締めの一文として「ご多幸」を含んだ文章は定番です。

「皆様」とつけることで、送り先の家族や組織全員の幸せを祈願する言葉として使うことができます。取引先・顧客宛の年賀状の一文としてもよく使用される表現でしょう。

・皆様のご健康とご多幸を心よりお祈りいたします。本年も何卒よろしくお願い申し上げます。

・皆様のご多幸を祈り、本年も変わらぬご愛顧のほどお願い申し上げます。

退職の挨拶

「ご多幸」は退職の挨拶にも使える言葉です。

辞める会社の人や取引先の方への挨拶の最後に添えると丁寧な印象を持ってもらえるでしょう。逆に退職する人への挨拶としても使用可能です。

・本日付で退職いたしました。長年にわたる皆様の温かいご指導に深く感謝申し上げます。皆様の今後のご多幸を心よりお祈り申し上げます。

・ご在職中には並々ならぬご厚情を賜り、拝謝申し上げます。○○様のさらなるご多幸とご活躍を心よりお祈り申し上げます。

メール・手紙

「ご多幸」はメールや手紙でも使用できる表現です。取引先とビジネスメールのやり取りの際などに、結びの挨拶として使われます。

また、採用見送りを伝える際にもよく使用されます。就活や転職のいわゆる「お祈りメール」で見かけたことがある方も多いのではないでしょうか。

・末筆ながら貴殿のご多幸をお祈り申し上げます。

・末筆ながら、○○様の今後益々のご活躍、ご多幸を心よりお祈り申し上げます。

結婚式

結婚式などおめでたいスピーチでもご多幸は使用可能です。結婚をした二人、及びその家族や出席者の幸せを願う意味で使われます。

・お二人のさらなるご多幸とご健勝をお祈りいたします。

・最後に両家の皆様方のご健康とご多幸をお祈り申し上げ、私の挨拶といたします。

「ご多幸」と一緒に使うことが多い言葉

「ご多幸」と一緒に組み合わせて使うことの多い言葉に「ご祈念」と「ご健勝」があります。

二つの言葉を組み合わせるとどのような意味になるのか、またどのような時に活用すればいいのか、例文と合わせて見ていきましょう。

「ご健勝(ごけんしょう)」

「ご健勝」は、健康で健やかなさま、体に悪いところがなく心身が丈夫であるさまを表した丁寧な表現です。

「ご健勝」も組織や会社に使うことはなく、人に対して使用します。個人やその身内、家族に対して使用可能です。

もちろん目上の方や同僚、後輩といったビジネスシーンでも利用することができます。

・ご多幸とご健勝を祈念いたしまして~。

・皆様のご健勝とご多幸をお祈りいたします。

・ますますご健勝のこととお慶び申し上げます。

「健康」を願う言葉なだけに、相手が元気でない時には使用しない方が無難です。病気や喪中の方には避けるようにしましょう。

「ご祈念(ごきねん)」

「祈念」は祈り念ずることを表現する言葉で、「ご多幸」と組み合わせると、相手に「幸せを祈っています」と伝えることができます。

・皆様のご多幸を祈念いたしまして~。

・ご多幸を祈念申し上げます。

「皆様のご多幸を祈念いたしまして」は、一本締めや一丁締めの冒頭に添えられることの多い言葉です。飲み会や忘年会で聞き覚えのある方も多いのではないでしょうか。

「ご多幸」の類義語・言い換え表現

「ご多幸」は相手の幸せを願う言葉です。主に人に対して使用します。

一方、会社や組織の場合はどのような言葉を使えばいいのでしょうか? また、「ご多幸」を他の言葉で言い表したい場合、どんな表現があるのでしょうか?

ここからは、企業や組織向けに使用できる表現を中心に、ご多幸の類義語を紹介します。

「ご発展(ごはってん)」

企業や会社、組織に対して使う言葉に「ご発展」があります。対象物が栄えていくことを指し、そのため人に対しては使用しない言葉です。

・貴社の益々のご発展をお祈り申し上げます。

・末筆ながら貴社の一層のご発展をお祈りいたします。

「ご繫栄(ごはんえい)」

「ご繫栄」は栄えているさま、発展しているさまを表します。こちらも、人に対しては使用しない言葉で、会社や組織に対して使用します。

・貴社のさらなるご繁栄を心よりお祈り申し上げます。

「ご隆昌(ごりゅうせい)」

企業や組織が非常に栄えている、勢いがあることを指す言葉に「ご隆昌」があります。

「ご隆昌」は、栄えていない相手に使うと嫌味に聞こえてしまいます。使う相手は選んで使用しましょう。

・貴社ますますご隆昌のこととお慶び申し上げます。

「ご清栄(ごせいえい)」

相手の健康や繁栄を喜ぶ言葉に置き換えたい場合は「ご清栄」を利用しましょう。

「栄」が経済的な繁栄という解釈を持つため、企業や会社向けの言葉です。組織が健全なことを喜んでいること、また相手への敬意を表すことができます。

・時下ますますご清栄のこととお慶び申し上げます。

・○○様におかれましては、ますますご清栄のこととお喜び申し上げます。

・貴社ご清栄の段、何よりと存じます。

「ご盛栄(ごせいえい)」

「ご盛栄」とは、相手の商売が繁盛しているさまを指します。基本的に企業や組織に対して使用する言葉です。

ビジネスメールやビジネス文に使われているのをよく見かけますよね。商売をしている個人にも使用できます。

・貴社ますますご盛栄のこととお慶び申し上げます。

「ご清祥(ごせいしょう)」

「ご清祥」とは、相手が健康で幸せに暮らしていることを喜ぶ言葉です。そのため、個人、人に対して使用しましょう。手紙の中で使用します。

健康で幸せに暮らしていることを祝う言葉であるため、そうでない状態の相手には使用しません。喪中や病気の相手へ手紙を書く時には避ける必要のある言葉です。

・晩秋の候、皆様方にはますますご清祥のこととお慶び申し上げます。

「ご自愛(ごじあい)」

相手の健康を気遣う結びの言葉として「ご自愛」は利用されています。「お労りください」と同じ意味を持ちます。

人に対して使用する言葉であり、組織や会社相手には使用しません。目上、同僚、部下などさまざまな立場の相手に使用できます。

なお、「お体ご自愛ください」と「お体」をつけるのは誤用です。注意しましょう。

・寒さ厳しき折、どうぞご自愛ください。

「ご壮健(ごそうけん)」

元気盛んで丈夫という意味を持つ言葉が「ご壮健」です。

「ご壮健」は目上の人に対して使用できます。他の言葉のように誰に対しても利用できる言葉ではありませんので、間違えないように注意しましょう。

・○○様にはますますご壮健のことと拝察いたします。

「ご活躍(ごかつやく)」

相手がめざましく活動することを願う言葉に「ご活躍」があります。基本的に人、それも個人に対して使用します。

・さらなるご活躍をお祈り申し上げます。

・益々のご活躍をお祈りいたします。

「ご多幸」を英語で言うと?

「ご多幸」を英語で表す表現はさまざまなものがあります。

・We wish you continued success and health.(今後ますますのご成功とご健康をお祈り申し上げます。)

・I wish everyone good health.(皆様の一層のご健康を心よりお祈り申し上げます。)

・I wish all the best for you.(あなたに良いことがありますように。)

最後の表現がシンプルで使いやすいでしょう。forの後に続く単語をシチュエーションごとに変えれば、さまざまなシーンで活用できる文章になりますよ。

たとえば、for you の後に「and your family」を付け加えると、あなただけでなく家族全員のご多幸を願う文章に変わります。

・I wish all the best for you and your family.(皆様のご健康とご多幸をお祈り申し上げます)

「ご多幸」は締めの一文に便利な言葉

「ご多幸」は相手の幸せを願う時に使われる言葉です。口語やメール、手紙などさまざまなシーンで使用することができます。

「皆様のご多幸をお祈り申し上げます」「〇〇さんのご多幸を祈願いたしまして……」など、スピーチや手紙、メールの締めにはぴったりの言葉です。

一度覚えてしまえば、今後の人生で繰り返し用いることができます。今後締めの言葉に迷った時はぜひ使ってみてください。

(水城みかん)

※画像はイメージです

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