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【心理学】ミラーリングとは? 恋愛・仕事で好意を持たれるテクニック

大塚統子(心理カウンセラー)

「ミラーリング」を知っていますか? 「相手の動作を意識的に取り入れること」で、心理学では信頼関係を築くのに効果的とされる技法です。心理カウンセラーの大塚統子さんに、ミラーリングの意味や効果、恋愛・仕事で実践できるやり方を教えてもらいました。

心理学では、信頼関係を築くのに効果的といわれるものに、「ミラーリング」という技法があります。

相手をよく知っているわけでもないのに、「なぜか安心できる人」「あの人は味方な気がする」と思うことはありませんか? 相手に親近感や安心感を抱かせやすい人は、このミラーリングを用いているのかもしれません。

ミラーリングは、誰もが日常的に活用できるテクニックです。今回のコラムではその方法や効果、注意点を紹介します。

「ミラーリング」とは? 心理学における意味と効果

まずは、ミラーリングの意味や効果を見ていきましょう。

ミラーリングは「相手の動作を取り入れること」

基本的にミラーリングとは、相手の姿勢・しぐさ・態度・視線・表情などの一部をまねて、意識的に自分の動作に取り入れることです。

動作だけではなく、相手が用いる言葉・声のトーン・会話のテンポ(速さ)・間の取り方などを模倣することも含みます。

ミラーリングの効果で「信頼関係を築きやすくなる」

体の動きや話し方は、非言語のコミュニケーションです。

言葉ではない動作などのコミュニケーションに同調することで、相手に親近感や安心感を持ってもらいやすくなります。

適切なミラーリングは、恋愛や仕事の場面などでも信頼関係の構築に役立ちます。

ミラーリングのやり方は?

ミラーリングは恋愛や仕事の場面でも活用することができます。

ここでは恋愛・仕事別に、ミラーリングのやり方をいくつか紹介します。

恋愛の場合

(1)話し方のペースを合わせる

相手が考えながら間を取って話す時には沈黙があっても待つ、次々と話題が出る時にはテンポ良く反応するなど、相手の話し方のペースに合わせます。

さらには、声のトーンやテンションを合わせると、相手は「一緒にいて居心地がいい」と感じやすいでしょう。

(2)相手の言葉を繰り返す

いわゆる「オウム返し」と言われるもので、相手が使った言葉をそのまま使って返します。例えば、「今日は大変だったよ」に「大変だったんだね」と応答するなど。

本人の言葉のままなので、伝えている内容と返ってくる反応に違和感がありません。相手は「肯定的に受け入れられた」「理解された」と感じやすいでしょう。

(3)相手の反応をまねする

相手がうなずくところで自分もうなずく、相手が笑っている時に自分も笑うなど、相手と同じような反応をします。

相手に同調する行動からは、「価値観が近い」と親近感や安心感が生まれやすいです。

物事を行う調子や気分がぴったり合うことを「息が合う」といいますが、息が合う状態こそが「相性がいい」「フィーリングが合う」という印象につながります。

ビジネスの場合

(1)姿勢を合わせる

人は、大事な話をする時には姿勢を正し、情熱的に話す時は前のめりの姿勢になる傾向があります。

自分も相手と同じような姿勢を取ることで、相手は「真剣に聞いてくれている」という印象を持ちやすくなります。

(2)メールや文書の調子を近づける

相手が使う言葉や文体を自分も使うほか、文量やひらがな・漢字の割合、句読点・改行のタイミングなどを相手の文面に近づけていきます。

文面には相手が「これがいい」と思っている要素が表現されています。それを尊重してやりとりすることで、円滑なコミュニケーションがしやすくなるでしょう。

(3)呼吸を合わせる

話しやすい雰囲気がある人は、相手とタイミングを合わせるのが上手です。タイミングは、相手と呼吸を合わせていくことで読みやすくなります。

呼吸が合うと、相手が話し出すタイミングや、会話のテンポ、間の取り方がくみ取りやすくなるのです。

ミラーリングを実践する際の注意点

ミラーリングは、適切に行えば信頼関係を築くのに役立ちますが、誤った使い方をすると信頼関係を失うことにもなりかねません。

そこで、ミラーリングをする際の注意点をお伝えします。

(1)露骨にやりすぎないこと

人から露骨にまねをされるのは、あまり気分の良いことではありません。

人によっては悪意と感じたり、ばかにされていると思ったりする場合も。また、不自然さは違和感となり、不信感の元になります。

完全にコピーするのではなく、相手が不快に思わない程度にさりげなくミラーリングを取り入れるようにしましょう。

(2)ネガティブな行動はミラーリングしないこと

相手の否定的な口癖やイライラした態度、拒絶を暗示する腕組みなどのしぐさをミラーリングするのは避けましょう。

ネガティブな意味合いとして捉えられ、かえってお互いの心の距離を遠ざけてしまいかねません。

(3)同調しすぎないこと

「気に入られたい」「嫌われたくない」からといって、自分の意思に反して相手に合わせすぎると、心に無理が生じます。

また、都合のいい人として扱われやすくなり、自分の魅力が打ち消されて、つまらない印象を与えてしまうこともあります。

(4)ミラーリングに頼りすぎないこと

ミラーリングは効果的な方法ですが、万能な方法ではありません。言葉で伝え合うコミュニケーションも大切にしましょう。

また、ミラーリングにばかり気を取られて、相手の内面的な部分に興味を持てなくなるのは本末転倒です。相手からも、「自分と一緒にいるのに、なんだか他のことを考えているみたいだな」と誤解されかねません。

「自然と相手にミラーリングする人」の心理

ちなみに、長年連れ添った夫婦や仲の良い友人同士は、なぜか似てくることがあります。その理由の1つに、親しい間柄でミラーリングが多く行われることが関係しているようです。

意識的でなくとも、日常生活の中で無意識的にミラーリングをしていることはあるものです。

最後に、自然と相手にミラーリングする人の心理を3つ紹介します。

(1)相手を理解したい

自分を相手と同じ状況にすることで、「相手を理解しよう」とする心理があります。

例えば、落ち込んでいる人と話す時に、相手と同じようにうつむく、声のトーンを合わせるなどがミラーリングにあたります。

(2)相手に好意がある

興味がある人に近づきたい、憧れの人と同じことがしたいという心理から、相手をまねることがあります。

例えば、好きな人の行動をまねする、憧れの人の口癖を自分も使うなどが、それにあたります。

(3)相手に対して緊張感がある

初対面の相手と接する時やどう思われるかを気にしている時、脅威に感じている時など、相手に対して緊張感がある場合、無意識的に相手に合わせようとミラーリングすることがあります。

ミラーリング以外に恋愛で使える心理学は?

最後に、ミラーリング以外に恋愛でも活用できる心理学を紹介します。

吊り橋効果

胸のドキドキを脳が勝手に恋だと勘違いすることを、専門用語で「吊り橋効果」といいます。

吊り橋効果をリアルに活用するなら、心拍数が上がりそうな場所に相手を誘うのがおすすめです。

例えば絶叫系のアトラクションがある遊園地やお化け屋敷に行く、一緒にスポーツをするのも良いかもしれません。

ゲインロス効果

ゲインロス効果とは、マイナスからプラスの印象に変わる、またはその逆に変化する度合いが大きければ大きいほど、相手に与える影響が大きくなる心理効果のこと。

いつもはちょっと頼りない印象の人が真剣な表情で仕事をしていたり、大事な場面で強さを見せてくれたりするとキュンとする……それは、ゲインロス効果によるものかもしれません。

単純接触効果

意中の人に親近感を持ってもらいたければ、何度も彼の視界に入るのがおすすめです。

なぜなら、人は同じ相手を何度も目にしているうちに親近感や好意を抱き始めるものだからです。この心理を、専門用語で「単純接触効果」といいます。

気になる人や好きな人がいるなら、顔を合わせる機会や近づく機会を増やしてみては? 直接は話さなくても、視界に入るだけで効果があるかもしれません。

ミラーリングを上手に取り入れよう!

ミラーリングは、誰もが気軽にできるコミュニケーション技法です。相手に興味を持って観察し、言動をまねてみましょう。

ミラーリングで大切なのは、「さりげなく」「自然に」です。わざとらしくやるのは逆効果なので、注意が必要です。

関係づくりにミラーリングを取り入れて、恋愛相手と心の距離を近づけたり、仕事で接する人たちと信頼関係を築いたりするのに役立てていきましょう。

(大塚統子)

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