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【心理学】初頭効果とは? 初頭効果と新近効果で第一印象UPさせるコツ

高見綾(心理カウンセラー)

初頭効果とは、最初に示された情報が最も印象に残りやすいという心理学用語です。最後の印象が最も残りやすい「新近効果(終末効果)」とよく比較されますが、結局どういうこと? 今回は、心理カウンセラーの高見綾さんが、初頭効果の活用方法を解説します。

最初に示された情報が最も印象に残りやすいという「初頭効果」をご存知でしょうか?

これにより、同じ情報であったとしても、出された順番によって片方に良い印象を持ち、もう片方には悪い印象を抱いてしまうという状況が生まれます。

今回は、初頭効果とは何かを詳しく解説しながら、この心理効果を用いた「第一印象を良くするための方法」を紹介します。

初頭効果の意味

初頭効果とは「最初の情報が最も記憶や印象に定着しやすいという心理」です。一般的によく言われる「第一印象が大切」は、初頭効果を意識したものです。

ソロモン・アッシュの実験

この心理を実験によって裏付けたのがポーランド出身の心理学者ソロモン・アッシュです。アッシュは、以下の2種類の人物評価を示し、それぞれがどういった印象になるかを調べました。

2つの内容は同じなのですが、順番が違います。

・知的、勤勉、衝動的、批判的、頑固、嫉妬深い
・嫉妬深い、頑固、批判的、衝動的、勤勉、知的

すると、1つ目のポジティブな要素が先にあった人の方が「欠点はあるけれども、全体としては良い人だ」という印象になったのです。

2つ目の先にネガティブな要素があった人の方は、「根は良い人かもしれないが、うまく生かせていない人」という印象になったのです。

このような初頭効果は、日常的にもたくさん見られます。

例えば、初対面の時に、相手が25歳だったとします。すると、その印象が強く残り、お互いに年齢を重ねた後も、相手は25歳のままのような印象を持ち続けていたりすることがあるのです。

親近効果とは

初頭効果とセットで語られることが多い親近効果とは最後に与えられた情報によって、その印象が定着する効果のことを指します。

例えば、カフェで長時間料理が出てこず、クレームを伝えたとします。すると、店長さんが直々に謝罪をしてくれたことで印象が良くなり、またこのカフェに通うようになったというようなケースです。つまり、“終わり良ければ総て良し”状態。

マーケティングにおける新近効果

親近効果は、人間関係やマーケティング、営業などにも効果です。商品を紹介する際、メリットを最後に伝えることで顧客の意識に商品が定着しやすくなり、結果的に購買意欲を高められます。

営業における新近効果

営業に関しては、商談の最後に顧客のニーズを満たす提案ができれば、商談の成立や顧客との信頼関係構築につながるでしょう。

親近効果とは、人間関係を構築する上では大切な心理効果です。最後に印象を残すことが可能な親近効果を理解しておくと、人間関係を構築する際は大いに役立つことでしょう

初頭効果と新近効果

長期記憶に働きかける初頭効果と短期記憶に働きかける新近効果は、真逆の心理効果ですが、相互に影響を及ぼし合っているので、コミュニケーションでは2つを同時に高めていくことが大切です。

なお、それぞれの効果的な使い方にはいくつか特徴があります。

初頭効果と親近効果の使い分け例

・初対面の相手や関心の薄い相手の場合
→初頭効果が強くなる

・会うのが2回目以上の相手や関心を持ってくれている相手
→新近効果が強くなる

また、

・情報を並列に扱う場合
→初頭効果が強くなる

・反対の情報を扱う場合
→新近効果が強くなる

初頭効果は関心が低い相手に使う

相手がこちらに関心を持っていないと感じた場合、初頭効果がおすすめです。

関心を持っていない相手に、こちらから一方的に話をしても、しっかりとは聞いてはくれません。そのため、相手にとって興味や関心があることを最初に持ってくることで、話に耳を傾けてくれるでしょう。

また、関心が少ない相手にキャッチーな話題で心を掴むためには、第一印象が非常に重要です。特に初対面の相手に対しては笑顔やあいさつ、丁寧な言葉遣いを心がけましょう

万が一、第一印象が良くないと感じられてしまうと、相手の関心を今後引き寄せるのは困難となります。

親近効果は関心が高い相手に使う

相手がすでに高い関心を持っている場合、最後の方に重要部分を持ってくることで、その人の印象や物事が決定されやすい傾向があります。

相手の関心をより高めるためには、冒頭は重要部分に向かうための序章とし、後半は重要な話を持ってくる構成にするとより効果的です。

話始めは、相手に判断を促すようなことは小出しにして、最後に商品のメリットや重要部分、ニーズを満たす情報を提案すると良いでしょう。そのため、親近効果は相手の願望を確信に変えるような、期待感を含ます話し方が重要となります。

初頭効果で好印象を与える方法

ここでは、実際に初頭効果を使った好印象なコミュニケーションについて解説していきます。

新近効果も上手に取り入れながら、ビジネスや恋愛、人間関係を円滑に進めるコツを習得しましょう。

ビジネス編

まずはビジネスの場面でこれらの効果を生かす方法から見ていきます。

営業で初訪問する場合

まずは初頭効果を意識します。「この人は頼りになるな」と思ってもらうためには、第一印象が大切です。いつもより少しトーンを上げて元気良くあいさつしましょう。

おなかから声を出して語尾をはっきり話すようにすると、堂々と見えて信頼感がアップします。逆に、声が小さくて焦ったように早口で話してしまうと、「仕事を任せて大丈夫かな?」と心配されてしまうので気を付けましょう。

営業で2回目以上の場所を訪問する場合

ここでポイントとなるのは、初頭効果ではなく新近効果。

最後の印象が良ければ、次につながります。丁寧にあいさつをした後は、感謝のメールを送りたいもの。くれぐれも、あいさつもそこそこに急いで帰ったり、フォローを何もしなかったりと、雑な対応をしないように。

2回目以降は気が抜けてしまうかもしれませんが、帰り際や帰った後の印象までを意識しましょう。ここで印象が悪くなると、関係が続かなくなってしまう恐れがあります。

商品やサービスに関心のない相手へ営業をする場合

関心のない相手には初頭効果を活用するのがおすすめ。

最初に、商品やサービスにおける“一番の売り”を提示しましょう(結論から紹介するイメージ)。すると、相手の興味を引くことができます。

商品やサービスに関心のある相手へ営業をする場合

関心のある相手には、新近効果の活用がおすすめ。

最初はそれほど重要ではない情報を提示して、途中でネガティブな情報を出します。そして最後に商品やサービスの最も強みになる情報を提示しましょう。

商談の順序
1.アイスブレイク
2.ネガティブ要素・懸念点を伝えておく
3.商品やサービスの一押しポイントを紹介

そうすることで、相手の判断を一押しすることができます。

恋愛編

続いて、恋愛シーンにおける効果の使い方を解説していきます。

合コン

初対面の相手は、出会ってから数秒が勝負だと言われていますので初頭効果を意識しましょう。

良い印象を与えるためには、清潔感のある身だしなみを心掛けたいもの。服にしわがないかチェックし、靴は磨いておきたいですね。爪など細かいところも見られていますので、綺麗に整えておきましょう。そして笑顔でハキハキ話すと好印象です。

逆に、清潔感のない身なりで、うつむき加減でボソボソ話すのはNGです。

デート

2回目以降に会うデートでは、新近効果を意識しましょう。

デートの終盤でおいしいレストランや夜景の綺麗なデートスポットに行ってみたり、別れ際に笑顔で見送ってみたり、「すごく楽しかった」と声を掛けてみたりするのも良いですね。

デートの最後にそっけない態度をしてしまわないように注意しましょう。

知っていると便利! 他の印象UP効果も活用しよう

先に紹介した初頭効果(および新近効果)の他に、合わせて使用することでより印象UPする効果が存在します。

応用編として、これらのコミュニケーションも押さえておきましょう。

アロンソンの不貞の法則

初対面の相手はまず褒めてみましょう。これは、アロンソンの不貞の法則といって、よく知っている相手よりも、よく知らない相手から褒められた方がうれしいと感じる心理効果です。

プライベート・ビジネスどちらでも使えます。初対面の時に、「御社の商品は素晴らしいですね」「〇〇さんって優しい方だと、△△さんから聞いていますよ」など伝えてみると、その時の好印象がのちも続きやすいと言われています。

ハロー効果

ハロー効果とは、肩書や見た目などの目立ちやすい特徴を入れることで、全体の印象が左右される心理効果です。

したがって、ビジネスの場では、名刺に肩書や実績などを入れておくのもおすすめ。信頼度がアップします。具体的には、資格や何らかの受賞歴などが効果的です。

恋愛の場では、アピールしたいポイントに応じて、自分の見せ方を工夫すると良いでしょう。

例えば、

・短髪→好青年
・眼鏡→真面目・几帳面
・白い服→清楚・清潔感、
・ネイビーの服→冷静
・スーツ→仕事ができる
・料理が趣味→家庭的
・読書が趣味→勉強家

など、それぞれの持つイメージがあります。誇張しすぎない程度にアピールしたいポイントを表現し、ハロー効果を上手に活用しましょう。

アンカリング効果

アンカリング効果とは、先に提示された数字や条件が基準となり、それよりも良いか悪いかなどの判断がされる心理です。

例えばビジネスの場面。値引き可能な商談では、“商品やサービスの定価”と“値引き後の価格”、両方を提示しましょう。最初に、「この商品は1万円です」と伝えて「でも今だけ半額の5000円です」と言うと、1万円が基準となり、5000円が安く見えるのです。

価格を2つ出すことでお値打ちだと思わせることができます。せっかく値引きするのであれば、必ず値引き前の金額と比較して見せるようにしましょう。

また、恋愛の場面では、デートに遅刻しそうになった時にアンカリング効果が活用できます。

具体的には、予定よりも遅めの到着時間を伝えておくと効果的。

「20分くらい遅れるかもしれない」と伝えておいて、実際には時間ぴったりに着いたとすれば、「頑張って急いで来てくれた!」という良い印象を与えることができます。

■初頭効果と新近効果を活用する上での注意点

有効に活用すれば、良い結果をもたらしてくれる初頭効果と新近効果。ただし、乱暴に使ってしまっては、逆に悪い印象を与えてしまうこともあります。

ポイントは「いつもと違う自分」で初頭効果を試さないこと

第一印象が大切だからといって、いつのも自分と全く違う印象を作り上げてしまうと、その後がややこしくなってしまうことも。

軽く打ち解けた後、最初の好印象と違う印象を与えてしまうと、最初が良かった分だけ印象が余計に悪くなってしまうことがあるので注意したいものです。

最初と最後、両方大切に!

また、第一印象があまりにも悪過ぎると、新近効果で挽回しようと思っても、相当強いインパクトを与えないと、印象が変わらないままになってしまうこともあります。

最初と最後の印象はどちらも気を付けたいものですね。

最初と最後に気を付けて、印象をアップさせよう

初頭効果と新近効果は真逆の心理効果に思えるものですが、最初と最後の印象はどちらも大切なものです。

それぞれの特性を考慮して、初対面の相手には初頭効果を、2回目以上の相手には新近効果を意識して、上手に活用していきたいですね。ビジネスでプライベートでも、あなたの印象を賢くアップさせていきましょう。

(高見綾)

※画像はイメージです

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