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「こちらこそ」の意味は? 使い方や例文・言い換え表現を解説

大部美知子

ビジネスシーンでよく使う「こちらこそ」という言葉。頻繁に使用する言葉だからこそ、正しい使い方や注意点を押さえておきたいですね。今回は、ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに「こちらこそ」の意味や使い方、言い換え表現などを紹介します。

ビジネスメールの返信をする時、「こちらこそ、いつもお世話になっております」いう表現を決まり文句のように使いますね。

メール以外でも、会話で感謝やおわびの返しとしてよく使われる「こちらこそ」の表現について、今回はその意味と使い方を確認してみましょう。

「こちらこそ」の意味と使い方

まずは「こちらこそ」という言葉が持つ意味と、使い方を紹介します。

「こちらこそ」は自分の気持ちの方が大きいことを表す

「こちらこそ」は、相手の感謝やおわびなどを受けて、自分からも相手に同じ気持ちを伝えようとする際の表現です。

「こちらこそ」は、「こちら」と「こそ」に分けることができます。

「こちら」は、自分や自分の集団を指す一人称の代名詞であり、「こそ」は、あるものを強調する助詞です。

つまり「こちらこそ」という言葉は、「こちら」の対象となる自分たちを強調し、自分の気持ちも同じ程度、もしくは相手よりも大きいということを表しています。

あいさつや感謝、おわびの言葉への返事で使える

「こちらこそ」は、相手からのあいさつや感謝、おわびの言葉を受けた時の返事として使うことができます。

例えば、「今後ともよろしくお願いします」という言葉を受けた時、「こちらこそ、よろしくお願いします」と返事すると、自分の気持ちが相手と同じ、もしくは自分の方が大きいことが伝わります。

また、相手から感謝やおわびを受けた時にも、「こちらこそ、○○していただきありがとうございます」「こちらこそ、申し訳ございません」など、「こちらこそ」の後に感謝や謝罪などの言葉を添えると、その後のコミュニケーションがとてもスムーズになります。

「こちらこそ」を使う上での注意点

「こちらこそ」の「こちら」は「こっち」の丁寧語表現ですが、相手を敬う尊敬語ではありません。

そのため、相手が上司やお客さまのような尊重するべき存在の場合、相手の感謝や謝罪を受けた上で「こちらこそ」の一言だけで返すと不快感を与えかねません。

目上の人に対しては、何について謝罪や感謝をするのかを明確にして、「こちらこそお会いできて光栄です」「こちらこそすぐに気付かずに申し訳ございませんでした」など、「こちらこそ」に続く言葉でしっかりと敬意を伝えるようにしましょう。

「こちらこそ」はどんな時に使えるのか?(例文付き)

ビジネスにおいて、「こちらこそ」は主に下記の3つのシーンで使われます。

あいさつをする時

相手のあいさつに対して、自分も同じ気持ちであることを表して「こちらこそ」を用いて返答します。

特に「こちらこそよろしく」に対しての「こちらこそよろしくお願いします」は、これから始まることについてのこちらの積極的な意欲を伝えることができます。

例文

・来訪した取引先からあいさつを受けた時

相手:「本日はお時間をいただきましてありがとうございました」
自分:「こちらこそ、お忙しい中ご足労いただき、ありがとうございました」

・久しぶりに会った取引先からあいさつを受けた時

相手:「ご無沙汰しております。お変わりございませんか?」
自分:「こちらこそ、長らくご無沙汰してしまい失礼いたしました。おかげさまで元気にしております」

感謝やお礼の気持ちを伝える時

「こちらこそありがとうございます」などの表現は、相手の感謝を受け入れて、自分も感謝していることを伝える場合に使われます。

例文

・上司の仕事を手伝ったことに対して、労いの言葉を受けた時

相手:「手伝ってもらえて助かったよ。本当にありがとう」
自分:「こちらこそ、貴重な体験をさせていただきました。お役に立ててうれしいです」

・取引先から感謝を伝えられた時

相手:「今回のプロジェクトでは、いろいろとお世話になりました」
自分:「こちらこそ大変お世話になりまして、本当にありがとうございました」

謝罪やおわびの気持ちを伝える時

「こちらこそ、申し訳ありません」という表現は、相手から謝罪を受け、自分も悪かったと同調する場合に使います。

こちらにも非があることを伝えると、相手の申し訳ないという気持ちを軽減する効果があるでしょう。

例文

・連絡が遅くなったことについてのおわびがあった時

相手:「いただいたお問合せへの返信が遅くなりまして、大変失礼いたしました」
自分:「こちらこそ、お忙しい中お手数をお掛けして申し訳ございません」

また、「いえいえ」や「とんでもないです」と、一旦相手の言葉を否定して「こちらこそ」を使うと、相手へ謙遜の気持ちがより強く伝わります。

ただ、相手の言葉を否定することにもなりますので、相手や状況をよく考えて使う必要があります。

「こちらこそ」の言い換え表現

「こちらこそ」と同じような意味で、下記のような表現があります。

「むしろ」

「こちらこそ~です」という表現を「むしろ〜」と言い換えて、自分の方こそ感謝または謝罪すべきだったということを伝えることができます。

「むしろ」は、2つを比べてこちらを選ぶ、またはこちらの方が良いという意味の言葉です。

「こちらこそ」と比べると強調の度合いは、同等か少し弱めのニュアンスです。

例文

・自分のおかげで成功したと感謝された時

相手:「今回は、本当にありがとうございました」
自分:「いえいえ。むしろ私の方こそ○○さんに感謝しています」

・迷惑を掛けたとおわびを受けた時

相手:「今回はご迷惑をお掛けして申し訳ございません」
自分:「とんでもないです。むしろ私の方がいろいろとご面倒をお掛けしたと思っております」

「~なのは私の方です」

悪いのは自分、または感謝しているのは自分であると強調することで、「こちらこそ」よりもさらに相手への高い敬意を表すことができます。

例文

・相手からおわびを言われた時

相手:「この度はお約束の期限に遅れてしまい、大変申し訳ありませんでした」
自分:「いえいえ、ご無理を申してご迷惑をお掛けしたのは私の方です。本当に申し訳ありませんでした」

・相手からお礼を言われた時

相手:「急なお願いを聞いていただいて本当に感謝しています」
自分:「とんでもないです。すぐに気付かずご指摘いただいて、お礼を言うべきなのはこちらの方です。ありがとうございました」

気持ちが伝わる表現を使いこなそう

いかがでしたか? 「こちらこそ」の使い方について、理解が深まりましたか?

日常的によく使われる表現だからこそ、意味を正しく理解して、社交辞令でなくきちんと気持ちが伝わるように使いこなしたいものですね。

(大部美知子)

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