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「ご無沙汰しております」はどう使う? 「お久しぶりです」との違いや使い方・類語を解説

大部美知子

しばらく連絡を取っていない相手との交流時などに使う「ご無沙汰しております」という言葉。どのぐらいの期間が空いた時に使えるのか、「お久しぶりです」とはどう違うのか、迷ったことはありませんか? 「ご無沙汰しております」という言葉について、ビジネスコミュニケーション指導に従事する大部美知子さんに教えてもらいました。

「ご無沙汰しております」は、ビジネスシーンで久しぶりに会う方へのあいさつだけでなく、文章やメールなどでもよく使われる表現です。

よく使うからこそ、正しい使い方を知っておきたいですね。

今回は「ご無沙汰しております」の意味や「お久しぶりです」との違い、正しい使い方についてご紹介いたします。

「ご無沙汰しております」の意味

最初に、言葉の意味を確認しておきましょう。

「ご無沙汰しております」は、「ご+無沙汰+して+おります」で構成されています。

もう少し詳しく説明すると、「ご」(敬意を表す接頭語)+「無沙汰」+「して」(その状態が続いていることを表す補助動詞)+「おります」(「いる」の謙譲表現)です。

では、「無沙汰」とは、どのような意味でしょうか?

辞書では、次のように説明しています。

ぶさた【無沙汰】
(1)指示や処置をしないこと。ほうっておくこと。
(2)関心を持たないこと。事情にうといこと
(3)行き届かないこと。不都合なこと。いいかげんなこと。
(4)特に、訪問・文通を久しくしないでいること。無音(ぶいん)。
(『広辞苑 第七版』岩波書店)

もちろん、「ご無沙汰しております」の「無沙汰」は、上記の中の(4)「長く相手を訪問していない、便りを出していないこと」であり、その後に「しております」という謙譲表現が続きますから、相手を敬ってその人への「無沙汰」を詫びるという意味になります。

豆知識として、「無沙汰」は「沙汰」(便りや知らせ)がないということですが、「沙汰」の、「沙」には砂、「汰」には選び分けるという意味があり、水でゆすって砂金や米などの砂を取り除くことが語源と言われています。

「ご無沙汰しております」の使い方

ビジネスシーンで「ご無沙汰しております」を使う場合に知っておきたいポイントを3点ご紹介します。

2〜3カ月以上の期間が空いた場合に使う

どのくらいの期間が空いたら「ご無沙汰しております」を使うかは、時間の感覚は状況や人によって異なるために判断に迷いますね。

目安としては、2~3カ月以上を基準に考えるのが一般的です。

それ以上期間が長くなれば、「大変ご無沙汰しております」と「大変」を添えた表現にすると良いでしょう。

例文

・「大変ご無沙汰しております。○○社の鈴木でございます」
・「大変ご無沙汰しており、申し訳ございません」

自分が誰であったか思い出してもらえるように配慮する

かなり久しぶりの連絡である場合やあまり親しくない関係の場合、相手が覚えていない可能性があります。

そのような場合は、思い出してもらえるように、前に会った時期や場所などを明記するようにすると良いでしょう。

例文

・「以前○○の会合でご一緒いたしました鈴木でございます」
・「昨年4月に研修でお世話になりました、○○社の鈴木でございます」

メールや文書でも使える

「ご無沙汰しております」は会った時のあいさつとしてだけではなく、電話やメール、手紙などでも使えます。

普段なかなか会えない方への年賀状の添え書きにもふさわしいですね。

例文

・「ご無沙汰しております。○○株式会社 ○○課の鈴木でございます。○○の際は、大変お世話になりました」(メールの例)

・「すっかりご無沙汰しておりますが、お変わりございませんか? こちらも変わらず元気にしております」(年賀状の例)

目上の人に「ご無沙汰しております」を使っても良いのか?

「ご無沙汰しております」は謙譲表現ですので、目上の人へのあいさつとしてふさわしい表現であることはすでにご説明しました。

ただ、「ご無沙汰しております」にはお詫びの気持ちが含まれますので、「ご無沙汰です」と省略してしまうのは失礼な印象を与えます。

また、「ご無沙汰しております」の後に相手を気遣う一言を添えると、さらに好印象ですね。

例文

・「ご無沙汰しておりますが、その後お変わりございませんか?」
・「大変ご無沙汰しております。秋も深まってまいりましたが、お変わりございませんでしょうか?」
・「長らくご無沙汰しており、大変申し訳ございません。改めまして、○○の際には大変お世話になり、ありがとうございました」

「ご無沙汰しております」と「お久しぶりです」の違い

「ご無沙汰しております」とほとんど同じ意味で「お久しぶりです」もよく使われる表現です。

まずは「久しぶり」の意味を確認してみましょう。

久しぶり
前にそのことがあってから長い時間が経過していること。しばらくぶりである。
(『大辞林 第三版』三省堂)

このことから、「ご無沙汰しております」とほぼ同じニュアンスであることが分かります。

「お久しぶりです」の構成としては、「お」(接頭語)+「久しぶり」+「です」(「だ」の丁寧語)です。

目上の人に対して「お久しぶりです」は避ける

「お久しぶりです」は、「ご無沙汰しております」と比べるとカジュアルな印象を与える言葉なので、友人や同僚などの同等の関係、また後輩や部下へのあいさつに使用し、目上の人へのあいさつには避けるようにします。

「ご無沙汰しております」はしばらく連絡や訪問をすることができなかったことへのお詫びの気持ちが含まれるのに対して、「お久しぶりです」は「会えてうれしい」という気持ちが含まれる表現です。

まとめると、「ご無沙汰しております」は、目上の人にも使える、お詫びの気持ちが含まれる敬意を込めた表現。

一方「お久しぶりです」は、目上の人への使用は避け、会えた喜びを含むカジュアルな表現であるといえるでしょう。

「ご無沙汰しております」と言われたらどう返事をする?

相手から「ご無沙汰しております」と言われた場合、こちらからの返事にも同じように使うことができます。

その場合には、「こちらこそ、ご無沙汰しております」と「こちらこそ」を付け加えると流れがスムーズですね。

もしあいさつだけでは違和感があると感じる場合には、その後に「いかがお過ごしでいらっしゃいますか?」などと近況を尋ねる一言を添えると心遣いが伝わるでしょう。

また、目上の方から「久しぶりだね」と声を掛けられた際には、「ご無沙汰しております」と謙譲表現で返事をします。

特に久しぶりに連絡を受けた場合、相手はこちらがどのような反応を示すかが気掛かりだと思いますので、できるだけ早く(基本は24時間以内)返事をすることも心掛けたいですね。

対面の場合での返事

・「こちらこそ、ご無沙汰しており失礼いたしました。お変わりございませんか?」
・「こちらこそ、ご無沙汰しており申し訳ございません。皆さま、お元気でいらっしゃいますか?」

文書やメールでの返事

・「こちらこそ、大変ご無沙汰しております。いかがお過ごしでいらっしゃいますか?」
・「こちらこそ、ご無沙汰しておりまして申し訳ございません。○○様におかれましては、お変わりござませんか?」

あいさつの言葉を知ってご無沙汰な人との交流に役立てて

「ご無沙汰しております」の意味や使い方、「お久しぶりです」の違いについて、ご理解いただけましたか?

使い方のニュアンスの違いを把握して、しばらく連絡をとっていなかった方とのコミュニケーションがスムーズに再開できるように、あいさつの言葉を上手に活用しましょう。

(大部美知子)

※画像はイメージです

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